第2章 ---予期せぬ贈り物
SE:更新が遅れてすみません。ここ数週間は試験が始まってしまい、なんとか小説を書いて頑張っているところです。
十分な睡眠がとれなかった。 昨夜は目を閉じることもできず、あの家には一体何があったのかと、次から次へと疑問が押し寄せてきた。 気づいた時には、雄鶏の鳴き声と共に、窓から最初の朝日が差し込んでいた。
「…の前に、もう少し寝たほうがいいな」
「アルト、もう朝よ。お父さんと一緒に出かけるんでしょ。テーブルで待ってるわよ」と、ダイアナが私の部屋のドアを開けながら言った。
「あと5分だけ、母さん…」と、眠気に負けそうになりながら私は呟いた。
(今は子供なんだから、成長するためにはよく寝ることが大事だ。まだ早いし…)と考えながら、私は寝返りを打ち、シーツにくるまって眠りにつこうとした。
まぶたがとても重く、すぐにでも眠りに落ちそうだったが…音よりも速く、何かの力が私の上から毛布を剥ぎ取った。 私は至福の時を奪った正体を見るために首を向けた。
目を開けた瞬間、冷たい水が顔に直撃した。 私は必死に目をこすった。
「一体何だ…?」体が反応せず、迫り来る嵐から身を守るために、私の心は言葉を遮った。
「お父さんが…待ってるって…言ったでしょ〜 ア・ル・ト〜」満面の笑みを浮かべたダイアナが、今にも解き放たれそうな破壊的な力と鋭い視線で私を見下ろしていた。
「はい、母さん…今起きます…」
(怖い。なんで朝の母親ってこんなに威圧感があるんだろう?)濡れた服を脱ぎ、乾いた服に着替えて外に出た。
「すぐ戻るよ、ディディ。昼前には帰ってくるから」と、エラリオンはダイアナに近づき、キスをしながら言った。
(ディディ…中学時代にジェイコブがつけてくれたあだ名に似てるな)と、私はドアから彼らを観察しながら思った。
「すぐ戻るよ、母さん」
「道中気をつけてね。二人とも愛してるわ」
家の窓から見えず声も届かない、入り口から少し離れた場所で、父は立ち止まり、しゃがみ込んで私に話しかけた。
「なあ、息子よ…。お前も冷水を浴びせられてベッドから叩き起こされたのか?」と、少し疲れた顔で私を見た。
「うん、父さん。着替えなきゃならなかったよ…」私は今聞いた言葉について考え込んだ。
(父さんも!?)エラリオンの言葉に私は衝撃を受けた。
「父さん、父さんも同じ目に遭ったの? 母さんに水かけられて起こされたの…?」私は心配そうに彼を見た。
その瞬間、私が話し終える前に、彼は私の肩に両手を置いた。
「よく聞くんだ、アーサー。大人になったら、誰に恋するか十分気をつけるんだぞ。そうしないと、地獄は思っていたほど悪くないと感じるようになるかもしれないからな」
(心のメモ:女性は怒らせないように細心の注意を払うべき存在である)
真剣な話の直後、私たちは目的地に向かった。 エラリオンは私を、村の北側にある井戸の近くの店へ連れて行った。 道のりはそれほど長くなかったが、ゆっくりと時間をかけて歩いた。 その道中、村の人々が平和に暮らしている様子が見えた。
彼らは風の魔法を使って服を乾かし、火の魔法で肉を焼くための炭に火をつけ、水の魔法で子供たちを楽しませていた。
(この世界に魔王や邪悪な存在はいるのだろうか? それとも、この世界は平和な時代なのだろうか?)
到着する少し前、エラリオンがある建物を指差した。
「あれが見えるか、息子よ。村のこの端には、男たちのほとんどが狩りで獲った獲物を置いていく兵舎があるんだ。 夜に通りを見回るための交代場所でもある。 お前の素晴らしい父親が、狩りで仕留めた獲物を持ってくるのはここだ」と、彼は誇らしげな笑顔で私を見た。
「わあ…」私はその場所を見つめた。 巨大というわけではなかったが、他の家々の中で際立っていた。
「おい、エラリオン! 元気か? しばらく顔を見てなかったな」 エラリオンを手伝う狩り仲間のファリルだった。
「やあ、ファリル。この前の怪我はもう治ったのか?」
「もう少しで、また活動に戻れるよ」
「そうだといいな。この前は木の根っこにつまずいて転んだからな…」
エラリオンとファリルはしばらく立ち話をしていた。 時間がかかっていたので退屈し始めていたが、数分後、遠くに村でできた数少ない友人の一人を見つけた。
彼は遠くから私に挨拶し、早足で近づいてきた。 彼とは仲が良かった…結局のところ、ここ数年かなり一緒に過ごしていたのだから。
「やあ、アルト!」彼の声はエネルギーに満ちていた。
「おはよう、マックス。元気…?」
「なんで僕たちと遊ばなくなったんだ? 前回何も言わなかったから、僕たちに飽きちゃったのかと思ったよ」マックスは不満げに文句を言った。
(最近は家を抜け出して、静かに訓練するために彼らを避けていたんだ)
「ごめん、マックス! 父さんの手伝いで忙しくて、遊びに出られなかったんだ。 許してくれないか? 埋め合わせになんでもするから!」私は本気であることを示すために彼を見つめた。
「そう言うなら、村の中心にある噴水まで競争しよう」と、マックスは負けず嫌いな態度で宣言した。
「わかった、マックス。負ける覚悟をしておけよ」
(しばらく姿を消していたからって、遅くなったとは思わないでくれ)
私たちは走り出す準備をし、位置についた。 ドアが勢いよく閉まる音を合図に、レースが始まった。 私たちは互角で、どちらも首位を譲らなかった。
突然ドアが開き、人々が私たちの前に飛び出してきた。
「お前がどれだけ俊敏か見せてもらおう、マックス!」
「今にわかるさ、アルト!」
私たちは群衆の中を避けたり跳んだりし始めたが、それでもどちらも譲らなかった。 噴水まであと数メートルのところで、私はマックスを見て勝利を宣言した。
「僕の勝ちみたいだな、マックス…!」
「そうはさせない…! 危ない、アルト!」
私は前を向いたが、もう遅かった。 進路の真ん中に何かがあり、避けきれずにかなり強く衝突してしまった。 幸い、転倒によるダメージは少なく、擦り傷程度で済んだ。
「くそっ…これは…予想外だった」私は顔をこすり、血が出ていないか確認した。
「おい、アルト、何日かで君の俊敏さは鈍ったみたいだな。 窓にぶつかる鳩みたいだったぞ。全然見えてなかったじゃないか! ははっ!」マックスは地面に倒れたまま笑い転げていた。
私は地面から立ち上がり、それほど強くない背中の痛みをさすりながら、何にぶつかったのか確認するために顔を上げた…それは、シルクのように白く長い髪をした、私より少し背の高い女の子だった。
「ぶつかってごめん、大丈夫?」私は彼女を助けるために手を差し伸べた。
彼女は顔を上げ、目を開けて私を見た。 その深い水色の瞳は、不快感と嫌悪感を放っていた。
「前を見て歩きなさいよ、誰かに怪我させるかもしれないでしょ!」彼女は私の手を払い除け、自分で立ち上がった。「あなたの助けなんていらないわ」
(彼女の目は水色だ…すごい)私は、彼女が服についた埃を払うのを見つめていた。
「おい、聞けよ、彼は助けようとしただけだろ。もう少し思いやりを持てよ!」マックスが飛び出し、私をかばった。
「誰の親切もいらないって言ったでしょ!」少女はさらに怒った。
彼女の後ろに、私の父と同じように背の高い男が現れた。 彼は厳しい茶色の髪と目を持ち、大きな威厳を放つ濃い灰色のローブを着ていた。
「四方八方に響き渡っているこの騒ぎはなんだ? 単なる謝罪で済ませられないのか?」
「ベリル、この子たちが…」少女は文句を言おうとした。
「お嬢様、目立たない方が得策です…。ですから、穏便に済ませていただくようお願いいたします」
男の断固とした視線に、彼女はついに折れた。
「謝罪を受け入れるわ、許してあげる」と少し頭を下げて呟き、歯を食いしばりながら付け加えた。「二度とあなたに会わないことを願うわ」
「これ以上長引かせることなく、失礼するよ。 気をつけて、これからは走る場所によく注意するんだな…坊主たち」男はそう締めくくり、二人は背を向けて群衆の中に消えていった。
「やっと終わった、生きたまま食われるかと思ったよ」私は緊張で止めていた息を吐き出した。
「あの男がいなかったら、あの女の子は道の真ん中で喧嘩を始めてたぞ」マックスはズボンの埃を払いながら不平を言った。 「でもまあ、ポジティブに考えれば…君が彼女に気を取られていたってことは、僕の勝ちだな!」マックスはちゃっかりと自分の勝利を祝い、笑い出した。
(馬鹿げた言い争いに勝つために、あんなにあからさまに状況を利用するなんて…)
私は一瞬目を閉じた。 中学時代、同じようにちゃっかりした方法で私を笑っていたジェイコブの姿が、稲妻のように頭をよぎった。
「なあ、マックス…」私は一時的な狂気に駆られ、衝動的に尋ねた。 「ひょっとして、『世界がレモンを与えるなら、梨の水を作れ』って言葉を知ってるか? それとも…ジェイコブって名前に聞き覚えは?」
「レモン? 梨の水? ジェイコブ? アルト、あの女の子に強く頭をぶつけたんだな。変なこと言うなあ!」彼は大声で笑った。
(殴ってやろうか?)私はすでに彼を殴るために拳を握っていた。
(僕は馬鹿だった。 強盗の前で銃弾を受けたのは僕だ。 ジェイコブはあそこに残った…彼は生き続けなければならないんだ)私は心の中で自分を責め、ノスタルジーの痛みを感じた。
私はため息をつき、マックスから目をそらした。
(でも、よく考えてみれば…僕のようなただのオフィスエンジニアがここに来てしまったのだから、転生にはどんなルールが適用されるんだ? 完全に運なのか? それとも何か奇妙な条件があるのか?)
私は頭を振り、その狂気を頭から追い払った。 確認できないことを考えても意味がなかった。 マックスに返事をしようとした時…
「やっと見つけたぞ、逃げ足の速いチビめ」
背後から手が私の服を掴み、空中に持ち上げた。
「また私から逃げられるとでも思ったか? お前の父親は、お前についていけないほど年老いてはいないぞ」疲れた笑顔を浮かべたエラリオンだった。
「こんにちは、エラリオンさん!」マックスは敬意を払って挨拶したが、猫のように吊り下げられた私を見て笑いをこらえていた。
「こんにちは、マックス。最後に会った時から随分大きくなったな」 エラリオンは驚いたように彼を見た。 「遊び相手を奪って申し訳ないが、アーサーと私には重要な用事があるんだ」
「問題ありません。さようなら、アルト。 また一緒に遊べるといいな」マックスは手を振りながら遠ざかっていった。
父は私を下ろし、角を曲がって群衆から少し離れた後、私の服についた土を払うのを手伝ってくれた。
「ごめん、父さん。 父さんが友達と話していたから退屈して、ちょうどマックスが現れて…」
言い訳を終える前に、私は凍りついた。 私たちの前には古い木造のファサードがあり、昨夜追いかけていた金色の魔力の痕跡がちょうどそこで終わっていたのだ。 私は魔法にかけられたように、無意識のうちにドアに向かって数歩歩き出した。
(またここに来てしまった…)
「おい、離れるな!」エラリオンは私を止めるために肩を掴んだが、その後、使い古された看板を見上げた。
私が見ていた家の古い木のドアを見て、彼はため息をついた。
「ああ…着いたぞ…予定より早かったな。運がいいぞ、息子よ。 中に入るが、頼むから何も触らないでくれ。 代わりに何か買ってやるから」
「北の井戸の近くにあるんじゃなかったの?」私は彼の肩から手を払い、彼を見た。
「えーと…あー…うっかり別の店と勘違いしてたみたいだ、はは…は」 彼の顔は、今気づいたということを表していた。 「今は気にしなくていい、入ろう」
(なんてうっかり者の父親なんだ。 魔法の痕跡を追うために立ち止まらなかったら、パンの代わりに花を買う羽目になっていたかもしれない。 でもまあ、その申し出は受け入れよう)
敷居をまたぐと、錆びた真鍮の鐘が私たちの到着を知らせた。 室内は埃、溶けた蝋、そして古い羊皮紙の匂いがした。 錆びたアーティファクト、刃の欠けた武器、すり減った本がぎっしり詰まった棚で溢れていた。
しかし、私にとっては空気が軽く感じられた。 金色の魔力の微かな痕跡が、薄暗闇の中を店の奥へと漂い、灯台のように私を呼んでいた。
「ここはどんな場所なの、父さん?」
「ここは、狩りの前に獣についての情報を探したり、店主に特定の頼み事をしたりする場所だよ」
(頼み事?)
カウンターの奥には、ボサボサの白髪と手入れされていない髭を生やした、猫背の老人がいた。 疲れているように見える彼の目は、私を寒気させるほどの冷たさで私たちを値踏みした。
「エラリオン…」老人はしわがれた声で言った。 「ギルドの依頼で来たんだろう」
「その通りだ、爺さん。 頼んでおいた金属の補強材は手に入ったか?」
大人二人が価格や装備について話している間、私の足は勝手に動いた。 その純粋なエネルギーの糸に魅了され、私は店の一番暗い隅へと歩いて行った。 そこには、虫食い穴のある地図の山の底に埋もれるように、使い古された黒い革表紙の分厚い本が置かれており、そのタイトルが見えていた。
「英雄年代記」
好奇心から開いてみた。 最初の数ページには、この世界の子供たちに語られる典型的なおとぎ話が書かれていた。
困っている人々に富を与え、すべての人を助けた慈悲深い王。
怪我人や病人を癒す金色の光を伴って、神聖な啓示を送る女神ソラリス。
そして、人々と女神に選ばれ、怪物たちを打ち倒して大陸に平和と調和をもたらす存在として崇拝される英雄の集団。
すべてが、あまりにも誇張された壮大な表現で書かれていたため、私は拒絶反応を覚えた。 物語というより、むしろコミックのようだった。
しかし、本の終わりに達した時、私は眉をひそめた。 完全に白紙のページが何十ページもあったのだ。
(白紙のページ? いや…紙の感触が違う)
ザラザラした表面を指でなぞると、心臓の近くで震えるようなうずきが目覚めた。 私の手は、ほとんど目に見えないほどの金色の光の脈動を放った。
突然、本はそれほど強くない閃光を放ったが、私の手にあったため…私には眩しすぎた。
「(痛っ! 目が…くそっ!)」その光に私は一瞬呆然とし、本を床に落として少し音を立ててしまった。
少し視力が回復した時、再び本を見ると、本は少し弱い脈動で反応した。
もう一度本を開くと、まるで先ほど放たれた光が紙の表面を焦がしたかのように、黒いインクの細い糸が湧き出し始め、言葉、名前、そして日付を形成した。
「王は救世主ではない、冷酷な屠殺者である。
教会の資金は困窮者のためのものではない。反対者を沈黙させるための冷酷な大虐殺に資金を提供しているのだ…
彼らは私たち全員を裏切った。
もしこれを読んでいるなら、王冠を信じるな。 神々を信じるな…」
血の気が引いた。 その文章を読んでいる間、背筋に寒気が走った。 大虐殺? 教会? もっと知りたいと必死になってページをめくろうとしたその時…
「トイレの行き方を覚えたばかりのガキにしては、随分と進んだ読書だな」
私はビクッとして本をバタンと閉じた。
首を向けると、棚に寄りかかりながら私のすぐ後ろに立っている老人が見えた。 彼は歩く時に一切の音を立てていなかった。 以前は濁っていた彼の視線は、私の右手からゆっくりと上がって私の目と合うまで、しっかりと釘付けになっていた。
「そうか、お前も『それ』を持って生まれたのか? 興味深いな…」彼は目をそらさずに呟いた。
(お前も? 光の魔法に関することか?)
彼は知っていたのだ。 私が触れた時に本が放った光を目撃していたのだ。
「アルト!」近づいてくる父の声が、息苦しい沈黙を破った。
エラリオンは近づき、私が見知らぬ本を手にしているのを見て厳しく私を見た。
「何も触るなと言っただろう。 申し訳ありません、この年頃の子供は何でも触りたがるもので…元の場所に戻させます」
エラリオンは本を取り上げようと手を伸ばした。
(いけないことだと分かっていたが、私の感覚がそうしろと要求していたのだ)
私は彼に渡そうと決意したが、老人の傷だらけの荒れた手が私の手に重なり、それを止めた。
(…!)
私から目をそらすことなく。 彼の声は無気力に聞こえたが、彼の目は私には理解できない無言のメッセージを伝えていた。
「持って行かせなさい…私の棚のスペースを占領しているただの古いゴミだ。 役に立たないおとぎ話の本をとっておいても意味がない。 持って行け、坊主。贈り物だと思ってな」
エラリオンは瞬きをし、店主の奇妙な親切さに驚き、銅貨を数枚渡そうとしたが、老人は疲れたように手で払いのけて拒否した。
「私の言ったことが聞こえなかったのか? 贈り物だと言っているんだ」彼の声は苛立っているように聞こえた。
父は物資を受け取るために振り返り、店を出る準備をした。 私は老人と二人きりになり、言葉を交わすことなく、ただ一瞬視線を交わした。
「じゃあな、爺さん。 また別の注文の時に来るよ」エラリオンは外に出るためにドアを開けた。
「さようなら」私は敬意を表して少し頭を下げた。
家へ帰る道すがら、私は手にした本を見つめていた。 読んだ内容を思い出すたびに、次々と疑問が湧き上がってきた。
誰がこれを書いたのか?
なぜ彼は私にこれを持って行かせたのか?
そして、このページの間にはどんな秘密が隠されているのか?
答えられる疑問はただ一つだけだった。 あの店主は、軽々しく扱うべき人物ではないということだ。
IM:私もSEと同じ問題を抱えています。ただ、私の試験はすでに始まっていて、彼の方は発表されたばかりですが……。それでも、今回の章を楽しんでいただけたら嬉しいです。読んでいただきありがとうございます!




