第91話:ジョージ殿下から伝えられた真実
「それは…」
ジョージ殿下が口を開きかけたタイミングで、王宮に着いてしまったのだ。
「ジョージ殿下、サリー嬢、せっかくだから続きは王宮で話をしたらどうだい?サリー嬢が去った後、ミレンズ王国で何があったのか、君にも知る権利があるだろうからね。
グラッサム公爵も、それでよろしいですよね?」
王太子殿下が私たちに、そう提案をしてきてくれたのだ。確かに私も、ミレンズ王国がどういう状況になっているのか、どうしてメリンダ様が修道院に送られる事になったのか気になる。
「サリーがそうしたいというのでしたら、私は構いませんが…サリー、君はどうしたい?」
「私は、ジョージ殿下のお話を伺いたいです。どうしてメリンダ様が、その様な事になってしまったのか…」
「分かったよ、ジョージ殿下、私も一緒に立ち会わせていただいてもよろしいでしょうか?この子の保護者として、傍にいたいので。サリーもそれでいいかい?」
「はい、大丈夫ですわ」
「僕も問題ありません」
「それでは早速行きましょう」
王太子殿下を先頭に、皆で馬車を降りた。
「サリー、おかえりなさい」
「随分遅かったね。大丈夫だったかい?」
馬車を降りると、叔母様とルーカス様が待っていてくれていたのだ。
「2人とも待っていて下さったのですね。ありがとうございます」
「サリーも疲れているだろう。さあ、家に帰ろう」
ルーカス様が私の元にやってきてくれたのだ。
でも…
「ルーカス、アマリリスも待っていてくれたのかい?実は今から、少しだけジョージ殿下とお話をする事になっていてね。話が済んだら帰るから、少し待っていてくれるかい?」
「ジョージ殿下とですか?今更どうして…」
「グラッサム公爵夫人、ルーカス殿、あなた達もよければ一緒に来てください。あなた達にも、聞いていただきたいと思っておりますので。サリーが去った後の、ミレンズ王国の事を」
「それではこちらへどうぞ」
案内された場所は、昨日ジョージ殿下と面会をした部屋だ。それぞれ席に着く。
「ジョージ殿下、メリンダ様が修道院に送られたとの事ですが、一体何があったのですか?彼女はどんな罪を犯したのですか?」
ジョージ殿下に問いかけた。一体何があったのだろう…
「彼女は法を犯したのだよ。サリーも知っているかと思うが、僕の婚約者になるには、僕に魔力を提供する事が絶対条件だ。だからサリーは、4年もの間、僕に魔力を提供し続けてくれたのだろう?
サリーが一番よく分かっていると思うが、魔力の提供は激しい激痛を伴うだけでなく、体への負担も大きい。体調不良も続き、体の栄養も十分行き渡らない。それほどまでに辛い思いを強いられる。
そんな辛い思いをしてでも王太子を支えられる人こそが、王妃になれる唯一の人なんだ。お妃候補を決めるとき、メリンダ嬢は一番にNOを突き付けた。あの時彼女は、お妃になる事を放棄するという書面もかわしている。
それなのに僕に近づき、サリーが得るはずだった権利を奪った。もちろん僕にも責任がある。君が魔力を提供してくれている事を知らなかったとはいえ、メリンダ嬢の誘惑に惑わされてしまったのだからね。
だからこそ、この事を知っている侯爵以上の貴族たちは、強く抗議をしたのだよ。もしこのような事がまかり通るのであれば、今後誰も王太子の婚約者候補になる人がいなくなると言ってね。
その結果、メリンダ嬢は王家との約束を破ったとして、修道院に送られたんだ。彼女の罪は、国家反逆罪に値する程の重罪。本来なら国外追放、最悪極刑もあり得た。
それでも修道院送りで免れたのは、今回破った場合の罰則が明確に決まっていなかったからと、さっきも話したが、君の父親が寛大な心を持ってくれていたからだよ。
サリー、君が4年もの間、僕に魔力を提供してくれていたとも知らずに、僕は君の裏切った。言い訳になるかもしれないが、メリンダ嬢にずっと“サリー様が体調が悪いのは、好きでもないジョージ様と無理やり婚約をさせられたから”そう聞かされていたからなんだ。
とはいえ、僕はメリンダ嬢の嘘に騙され、君を傷つけ裏切った。許される事ではないとは分かっている、でも、どうか謝らせてくれ。本当にすまなかった」
ジョージ殿下が立ち上がり、深々と頭を下げたのだ。




