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あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


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第89話:ジョージ殿下と視察に向かいます【その3】

「あの建物は、一体何ですか?ずっと気になっていたのですが」


 ここにきて、ジョージ殿下が白い古びた建物を指さしたのだ。


「あちらは修道院兼孤児院です」


「孤児院ですか。実は今、我が国でも孤児院の改善に向けて、少しずつ動き出しているのですよ。もしよろしければ、少しだけ見せていただく事は可能でしょうか?」


「ええ、構いませんよ。すぐに手配いたしますので、少しお待ちください」


 ジョージ殿下が、自ら孤児院に行きたいとおっしゃるだなんて…それも孤児院の改善に向けて動いているですって?


 確かに慈悲活動の一環で、ジョージ殿下も何度か孤児院に足を運んではいたが、それでもあまり積極的ではなかった気がするのだが…


「お待たせいたしました。参りましょう」


 どうやら手配が出来た様で、皆で修道院兼孤児院に向かった。入り口には既に修道女と子供たちが待ってくれていた。どうやらマレリス王国の孤児院は、比較的恵まれている様で、綺麗な服を着ている。


 ミレンズ王国の孤児院は、皆つぎはぎだらけの服を着ていたものね。少しでもと思い、服や日用品を送り、足しげく通って来たけれど…ジョージ殿下の婚約者候補になってからは、ほとんど孤児院にも行けなくなってしまった。


 お金だけは毎月送金していたが、結局あの子たちの暮らしが改善したのか、わからないままだ。


 あの子たち、今頃元気にしているかしら?きっともう、随分大きくなっているのでしょうね…


 ついそんな事を考えてしまう。


「皆様、ようこそいらっしゃいました。ゆっくりご見学なさって行ってください。どうぞこちらです」


 優しそうな修道女が、建物の中へと誘導してくれる。それに合わせて、ついていく。どうやらここでは、修道女たちが、子供たちのお世話をしている様だ。


「こちらが子供たちが、普段過ごしている部屋でございます。王太子殿下を始め、沢山のご貴族様たちからのご寄付で、随分と暮らしにもゆとりがでてまいりました。


 本当にありがとうございます」


 深々と頭を下げる修道女。部屋の中では修道女たちが、子供たちと一緒に遊んだりお勉強をしたりしている。お勉強道具もしっかりそろっているし、おもちゃも沢山あるようだ。


 本当に支援が行き届いているのね。


 素晴らしいわ。我が国でもいつか、これくらい支援が行き届くといいな…なんて、国を出た私が、一体何を考えているのだろう。もう私にできる事は、何一つないのに。


 その時だった、3歳くらいの女の子が、不思議そうにこちらにやって来たのだ。どうやら私のドレスに興味がある様で、そっと私のドレスに触った。


「こら、メアリー!申し訳ございません、大切なドレスに触ってしまって!」


 修道女が飛んできたかと思うと、女の子をしかりつけた。びっくりした女の子は、泣きだしてしまったのだ。隣では修道女が必死に頭を下げている。


「気にしないで下さい。それよりもあなた、メアリーといったわね。もう泣かないで」


 そっとメアリーを抱きかかえた。小さくて可愛い、それに温かい。


「おねえちゃん、いい匂いがする」


 そう言ってすり寄って来たのだ。なんて可愛い子なのかしら?


「せっかくなので、この子と少し一緒に遊んでもよろしいですか?」


 近くにいた王太子殿下たちに許可を取った。


「ああ、構わないよ」


 そうおっしゃってくださったので、早速メアリーを連れて子供たちがいる部屋へと向かった。遠くから私の様子を見ていた子供たちにも、声をかけると皆が集まって来たのだ。


「おねえちゃん、絵本読んで」


「このドレス、可愛いね」


「お姉ちゃんの髪、水色でとっても綺麗ね」


 ニコニコしながら話しかけてくる子供たち。懐かしいわ、ミレンズ王国にいた時も、こうやって子供たちが話しかけてくれたのよね。どこの国でも、子供たちは人懐っこくて皆いい子だ。


 昔を思い出しながら、子供たちに絵本を読んであげたり、おままごとをしたりして過ごす。


「サリーは相変わらず、子供たちにも優しいね。君は自国の子供たちにも、こうやって笑顔で接していたね」


 私の元にやって来たのは、ジョージ殿下だ。

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