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あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


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第86話:私にできる事はなんでもします

「サリー、ルーカスもここにいたのだね」


 私達の元にやって来たのは、叔父様だ。出掛けた時とは違い、穏やかな表情をしている。ただ、どこか困ったような顔をしているのは、気のせいだろうか。


「叔父上、おかえりなさい。王太子殿下に、抗議をして下さったのですよね?」


「その件なのだが…立ち話も何だから、一旦屋敷に入ろう」


 何だか叔父様の様子が変な気がする…もしかして、よくない方向に話しが進んでいるのだろうか?


 一気に不安が襲った。


「サリー、大丈夫だよ。さあ、行こう」


 ルーカス様に促され、叔父様と一緒に屋敷に入る。そのまま居間に向かうと、叔母様が既に座って待っていたのだ。


 私達も急いで座った。


「さっき王太子殿下と、話をして来たよ。王太子殿下は、サリーに申し訳ない事をしてしまったと、何度も謝罪をしていたよ。


 サリーが自国でどんな状況で生活をしていたか、サリーがこの国に来ることが決まった時に、話しておいたからね。それなのにミレンズ王国の王太子殿下を招き入れてしまった事は、申し訳ないと思っているとの事だ。


 ただ…


 ミレンズ王国の王太子殿下とは古くからの友人の上、今後ミレンズ王国とはより良い関係を続けていきたいと考えている王太子殿下は、どうしても断る事ができなかった様なんだ」


「だからって、サリーを元婚約者に会わせるだなんて!王太子殿下は何を考えているのだろう。それで謝罪を受け入れたのですか?」


「ルーカス、落ち着いてくれ。謝罪は受け入れたよ。それから…」


 叔父様が、言いにくそうにこちらをチラチラと見ている。


「あなた、言いにくいのは分かるけれど、サリーにはっきりと伝えた方がいいわ!サリー、今回ジョージ殿下が来国されたのは、表向きは我が国との関係を、より強固なものにして行こうというものなの。我が国の事をもっとよく知ってもらい、我が国の魅力をミレンズ王国に、もっともっと伝えたいという意図があるの。


 私がこの国に嫁いだことで始まった2か国の関係を、もっと良くして行こうという話みたいなのよ。


 とはいえ、ジョージ殿下の本心は分からないけれどね。


 それでね、ジョージ殿下と縁のあるあなたも一緒に、視察について来てほしいそうなの。もちろん、嫌なら断ってもらってもいいと王太子殿下はおっしゃってくれている様なのだけれど…」


「私がジョージ殿下の付き添いとして、視察にですか?」


 この国に来てから、ろくに屋敷の外に出たことがない私が、ジョージ殿下の視察についていっても何の役にも立たない。


 でも…


「叔母上、何をおっしゃっているのですか?あの男はサリーを苦しめた男なのですよ!どうしてそんな男の視察に、サリーが付き合わないといけないのですか?


 それにサリーは、この国に来てからあまり屋敷から出たことがない。とてもではないが、殿下に説明できるほどの知識はありません!お断りしてください」


 私の代わりに、ルーカス様が叔母様にはっきりと告げたのだ。


「ルーカスの気持ちもわかるけれど、王太子殿下から泣きつかれてしまったそうなの。それにサリーがこの国にスムーズに来られたのも、王太子殿下が色々と動いて下さったお陰だし。あまり殿下を、無下には出来ないのよね…


 ローレンも視察に参加するし、サリーと殿下を2人きりにする事はないだろうから。ジョージ殿下も他国の公爵令嬢になったサリーを、力づくで手に入れようとはしないはずよ。


 それに彼の母親、マーガレットにも今回の件は伝書鳩伝いで伝えてあるし。きっと大丈夫よ。とはいえ、サリーがどうしても嫌だと言うのなら、断る事も出来るわ」


 真っすぐ叔母様が、私の方を見つめた。


「サリー、無理して参加する必要はないのだよ。君はずっとあの男に苦しめられてきたのだろう?顔も見たくないだろうし」


 顔を見たくない程嫌いか…


「ルーカス様、お気遣いありがとうございます。ですが私は、ジョージ殿下の視察に同行いたしますわ。私はもう、この国の貴族、グラッサム公爵家の令嬢なのです。ですから、国の為に動くのは当然ですし、何よりも皆様のお役に立てるのが嬉しいのです。


 それに…ジョージ殿下には沢山酷い事もされてきましたし、沢山傷つく事もありました。ですが、殿下に助けていただいた事もあったのです。ずっと孤独だった私に、ジョージ殿下と王妃殿下だけが、私に優しくしてくださった。


 だから私は、生きてこられたと言っても過言ではありません。ですので、あまりジョージ殿下を無下には出来ません」


 確かにジョージ殿下には沢山傷つけられた、でもそれ以上に、幼い頃は沢山支えてくれたのだ。もちろん、もう彼の婚約者として、国に戻る事は出来ない。それでも、少しでも2か国の為に動けたら。


 大好きな叔父様や叔母様の役に立てたら、そう思っている。

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