第73話:王宮で出会ったのは…
翌日
「叔母様、行って参ります」
「気を付けてね。あなた、ルーカス、サリーの事をお願いね」
「はい、サリーの事は僕に任せて下さい。行こうか、サリー」
ルーカス様と一緒に、馬車に乗り込む。
ちなみに今日のドレスは、お母様が私の為に準備してくれたドレスの中から、ルーカス様と一緒に選んだオレンジ色のドレスだ。幼女サイズのものは着られないので、お母様の方のドレスを身にまとっている。
ドレスを選ぶとき、迷わずオレンジ色のドレスを進めたルーカス様。この国でそれが何を意味するのか…やはりルーカス様は。
なんてつい都合のいい事を考えてしまう。今日王宮から戻ったら、改めてルーカス様と話をしないと。
「サリー、真剣な顔をしてどうしたのだい?そんな顔をしなくても大丈夫だよ。王太子殿下は、とてもお優しい方だからね。君に何かしてくることはないよ。
とはいえ、場所は違えどサリーにとって王宮はいい思い出がいないものね。さっさと用事を済ませて、早めに帰ろう。見てサリー、あれが王宮だよ」
ルーカス様の指さす方向には、これまた白を基調にした立派な宮殿が建っていた。
「なんて美しいのかしら…あれが王宮なのですね」
「そうだよ、中はもっと立派だよ」
「サリー、ミレンズ王国はどうだったか知らないが、我が国の王宮の人たちは皆優しい人ばかりだから、安心してくれ。さあ、行こうか」
叔父様とルーカス様と一緒に馬車を降り、王宮使用人に連れられ中に入っていく。ルーカス様がおっしゃった通り、王宮の中はとても立派だ。とはいえ、中も白で統一されている為、ただ豪華なだけではなく、気品が感じられる。
「こちらで王太子殿下がお待ちです。どうぞ」
叔父様とルーカス様と一緒に、部屋の中に入っていく。
そこにいたのは…
「サリー、久しぶりだね。随分きれいになって。僕のせいで、辛い思いをさせてしまって、本当にすまなかった」
真っ先に飛んできたのは、なんとジョージ殿下だ。どうして彼が、ここにいるの?
「ジョージ殿下…どうしてあなた様がこちらへ?」
「ジョージ殿下だって…それでは彼が…」
その瞬間、ルーカス様が私を庇うかのように、ジョージ殿下と私の間に立った。
さらに
「お初にお目にかかります。私はサリーの叔父、ローレン・グラッサムと申します。あなた様は、ミレンズ王国の王太子殿下でございますね。お会いできて光栄です。それで本日は、どういったご用件でサリーは呼ばれたのでしょうか?」
叔父様がルーカス様の横に並び、笑顔でジョージ殿下の前に立ったのだ。
「グラッサム公爵、ルーカス殿、それにサリー嬢。よく来てくれたね。実は今後積極的にミレンズ王国と貿易をする事になって。それでわざわざミレンズ王国の王太子殿下が、我が国に来てくださったのだよ。
グラッサム公爵家のサリー嬢は、ミレンズ王国出身という事で…その…」
何やら気まずそうに、チラチラと叔父様を見つめる我が国の王太子殿下。
そんな王太子殿下を、真っすぐ笑顔で見つめる叔父様。いつもお優しくて穏やかな叔父様が、なんだか非常に怒っている様な気がするのは、気のせいだろうか…
「王太子殿下、言いたい事は山ほどありますが…今は我慢いたします…ミレンズ王国の王太子殿下、ようこそ我が国へ。我が国はミレンズ王国よりも暖かい気候という事もあり、ミレンズ王国ではあまり見かけないようなものも沢山ございます。
ぜひ我が国の魅力を、肌で感じて下さい。視察にいらしたという事は、サリーは必要ありませんね。ルーカス、サリーを連れて先に帰っていなさい。私は殿下の視察に同行するから」
「…あっ…いや…グラッサム公爵…」
「分かりました、叔父上。それでは私共はこれで失礼いたします」
ルーカス様が王太子殿下たちの方に向かって一礼すると、私を連れてそのまま部屋から出て行こうとした時だった。




