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あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


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第71話:生きないと~ローレティエン公爵視点~

 サリーが私に手紙を?


 一体何が書かれているのだろう。あれほどまでに酷い事をしたのだ、きっと私への恨みつらみが書かれているはずだ。たとえそうだったとしても、サリーが私の為に手紙を。


 震える手で、手紙をゆっくりと開ける。


 すると、手紙がふわりと浮き上がる。そして


「マリア…」


 目の前には、マリアそっくりの女性が浮き上がったのだ。隣には銀色の髪をした男性が。この人は、アマリリスの夫、ローレン殿か?それにしても若い気が…


 “お父様…お久しぶりです。サリーです”


 浮かび上がったマリアそっくりの女性が、ゆっくりと話し始めたのだ。この女性がサリーだと?サリーはもっと顔色も悪く、ガリガリに痩せていたはず。


 それにしても、マリアにそっくりだ。サリーはこんなに、美しい女性だったのだな…サリーの姿を見たら、涙が込み上げてきた。


 挨拶から固まってしまい、俯くサリーの傍に寄り添い、男性が何かを呟いている。この人がきっと、サリーを支えてくれている男性なのだろう。それにしても、ローレン殿によく似ている。


 ゆっくりと顔をあげたサリー。


 “お父様、まずはこのブローチを贈って下さり、ありがとうございました。少なくともお父様も、私が生まれる前までは私の事を大切にしてくれていたと知れて、嬉しかったです。


 とはいえ…正直まだお父様と会う勇気がありません。お父様の事を考えると、恐怖で足がすくみ、震えが止まらなくなるのです。


 ですが…


 それでも私はまた、お父様に会いたいです。もしミレンズ王国に行く機会があれば、私に会って下さいますか?


 どうかそれまで、生きて下さい。お兄様から話しを聞きました。お父様が無理をなさったせいで、病気にかかっていると。きちんと治療をすれば、治ると伺っております。


 どうかしっかり治療をしてください。そして長生きしてください。


 いつかまた、お父様に会えるその日まで生きて下さい。それが私の願いですから…


 辛い事もたくさんありましたが、今私は幸せです。ですから私の事は、心配しないで下さい。


 それから、ミレンズ王国はこれから冬に入りますよね。厳しい寒さが続くと思いますが、お体には十分気を付けて下さい。少しでも寒さをしのげるよう、ひざ掛けを送ります。隣にいる私の大切な人、ルーカス様と一緒に選びました。


 宜しければ使って下さると嬉しいです。


 それではお父様、お元気で“


 サリーが最後、にっこりとほほ笑み姿を消した。


「サリー…君って子は…」


 どうしてこんな愚かな父の為に、そんな事をしてくれるのだい?私は君を傷つけ、苦しめて来たのに。どうして…


 手紙を強く握りしめて、声を殺して泣いた。会いたい、サリーに会いたい。出来る事なら過去に戻って、サリーを守りたい。


 だが…そんな事は出来ない。


 どんなに後悔しても、過ぎてしまった時間を戻す事は出来ないのだから。


 近くに置いてあった包み紙をゆっくりほどく。そこには、温かそうなひざ掛けが。


「サリー、ありがとう。大事に使うよ」


 ひざ掛けを抱きしめ、さらに涙が込みあげる。このひざ掛けは、私の宝物にしよう。


 それから…


「今すぐ医者を呼んでくれ。すぐに治療を受けたいんだ。それから、病気が完治するまでは、仕事もセーブするつもりだ。悪いが至急手配を頼む。私が死んだら…サリーに会えなくなってしまうからな。


 サリーが私を受け入れてくれるその日まで、頑張って生きないとな」


 本来なら私の顔なんて、二度と見たくないだろう。それなのにサリーは、いつか会える日が来たら、会いに行くと言ってくれた。私に生きろとも。


 その発言が、どれほど勇気がいるものだったか…


 サリーの強さや優しさを、絶対に無下には出来ない。その為にも、生きないと。


 いつかサリーに会えるかもしれない、その日まで…

次回、サリー視点に戻ります。

よろしくお願いします。

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