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あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


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第7話:辛すぎます

「サリー…」


 瞳からはとめどなく涙が溢れでる。それでも必死に笑顔を作った。


「サリー、お前は何を言っているのだ!勝手な事を」


 お父様が真っ赤な顔をして、こちらにやって来た。ずっと私を疎ましく思っていたお父様。私のせいで、最愛のお母様を失ったお父様の希望を少しでも叶えたい、そう思っていたけれど、これだけは譲れない。


「お父様、親不孝者で申し訳ございません。ですが、もう決めたのです。どうか我が儘をお許しください。皆様も、どうかジョージ様とメリンダ様のご婚約を、認めてあげてください。


 よろしくお願いいたします」


 他の貴族に向かって、頭を下げた。そして


「それでは私は、これで失礼いたしますわ」


 これ以上この場にいたら、惨めになる。せめて公爵令嬢として、凛とした姿で退場したいのだ。


 そんな思いで、背筋をピンと伸ばし、ゆっくりと出口に向かって歩き出した。これでいい、これでいいのよ。そう何度も自分に言い聞かせながら…


 王宮の外に出た瞬間、一気に涙が溢れだす。本当はジョージ様の傍にずっといたかった。彼の幸せそうな顔を、ずっと傍で見ていたかった。ジョージ様と、幸せな家庭を築きたかった。


 私は実の家族から疎まれて育った。家族の愛を知らない。だからこそ、温かい家庭を夢見ていたのだ。でもその願いは、もう決して叶わない。


「やっぱり私は…誰からも愛されないのね…」


 悲しくて辛くてたまらない。それでも自分で決めた道だ。せめてジョージ様とメリンダ様の幸せを願おう。


 そう思い、馬車に乗り込んだ。きっと後でお父様に物凄く怒られるだろう。もしかしたら勘当され、家を追い出されるかもしれない。


 でも…それでも仕方がない事だ。お父様にとって、私の存在価値は、王妃になる事だけなのだから。


 なんだかもう疲れてしまった。きっと公爵令嬢の私が、屋敷から追い出されたとしたら生きていけないだろう。そうしたら、お母様が迎えに来てくださるかしら?


 でも…お母様にも嫌われているから、迎えには来てくれないかもしれない。やはり私は、どんな時でも一人ぼっちなのだろう。


 色々と考えている間に、屋敷についた。そのまま部屋へと向かう。


「お嬢様、随分お早いお帰りでしたね」


「ええ、色々とあって…何だか疲れたから、湯あみをさせてくれるかしら?」


「はい、かしこまりました」


 不安そうな使用人たちが、私の体を綺麗に洗ってくれた。私が勘当されたら、この子達はどうなるのかしら?この子たちも一緒にクビになってしまうのかしら?私のせいで、この子達まで路頭に迷わせることになるかもしれない。


 そう思ったら、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。たとえ私がこの屋敷を追い出されたとしても、どうかこの子達だけは置いてもらえる様に、お父様に頼んでみよう。


 とはいえ、お父様が私のお願いを聞いてくれるとは思えない。私の専属使用人になったばかりに、彼女たちにまで苦労を強いる事になるだなんて。


 本当に私は、疫病神以外、何物でもないわね…


 湯あみが終わり、着替えを済ませた時だった。


 ものすごい勢いでドアが開いたかと思うと、真っ赤な顔をしたお父様が部屋に入って来たのだ。


「サリー、貴様よくも勝手な真似をしてくれたな!お前があんな事を言ったせいで、お前と王太子殿下の婚約が白紙になってしまったではないか!どこまでも役立たずなやつだな」


 お父様がすごい剣幕で怒鳴りつけてきたのだ。かなりお怒りの様で、おでこには青筋が出来ている。怒りからか、手からは炎が出ている。


「お父様、申し訳ございません。それでも私は、ジョージ様の幸せを願いたかったのです…どうか我が儘を…」


「黙れ!お前みたいな役立たず、もう公爵家には必要ない!さっさと消え失せろ」


 怒りからがお父様が一気に炎を出し、私に向ってぶつけようとしてきたのだ。お父様にとって私は、お母様を殺した憎い存在。それでも、実の娘でもある。


 結局お父様は、最後まで私の事を憎んでいたのね。だが、それでお父様の気が済むのなら、本望だ。これ以上生きていても、辛いだけ。


 それならいっその事…


 ゆっくりと瞳を閉じたのだった。

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