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あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


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第65話:お母様の最期の願いを叶えたい

 そんな中、昨日お兄様にお母様の日記を見せてもらいました。そこには…そこにはお母様の家族への、そして私への強い愛情が溢れていたのです。息を引き取る寸前、私達家族への愛情で溢れかえっていました。


 自分が命を落とすとわかっていたのに、最後にあのようなメッセージを残してくれたお母様。きっと私たち家族の幸せを、誰よりも願っていてくれていたのです。


 そんなお母様の気持ちも知らずに、私はずっと無理をしてきました。その隣で、私以上にお母様は傷つき、苦しんでいるとも知らずに…私はずっと、お母様の愛に包まれていたのです。


 これほどまでに私は、お母様に愛されていたのです。この国に来られたのも、全てお母様のお陰。だからこそ、今度はお母様の最期の願いを、少しでも叶えたいと思ったのです。


 命を落としてからもずっと辛い思いをしていたお母様が、安心して天国で過ごせるように…」


 どんな時も私を愛してくれたお母様。亡くなった人が、どのように魔力を使えるのか分からない。それでも、血の涙を流しながら必死に叔母様に訴え私を救ってくれた。血の涙なんて、聞いたことがない。


 それほど辛く苦しい思いをしていたのだろう。私以上に苦しんだお母様が、少しでも安らかに眠れるように…せめてお兄様とは、きちんと向き合いたい、そう思いこの場所に来たのだ。


「サリー、君は本当に優しくて強い子だね…俺たちがどれほどサリーに酷い事をして来たかを考えたら、たとえ母上の最期の願いだったとしても、到底俺を受け入れられないだろう。もし俺なら、冗談じゃない!さっさと帰ってくれと思うだろう。


 それでも君は、母上の為に俺に会う事を選んでくれたのだね。ありがとう、サリー」


 涙を流しながら頭を下げるお兄様。今のお兄様を見ていると、まるで別人だ。とはいえ、今まで受けてきた仕打ちを思うと、すぐにお兄様を許すことはできない。何よりもまだ、お兄様に恐怖を抱いている事は確かだ。


「私はお兄様が思っているほど、強くはありません。ここに来るまでに、何度も何度も引き返そうと思いました。足がすくみ、中々この部屋に入る事が出来なかったのも事実です。


 ですが、私の隣にはいつもルーカス様がいて下さいました。どんな時も私を守ってくれる、味方でいてくれるルーカス様の存在が、私に勇気を与えてくれたのです。彼がいてくれるから、一歩踏み出すことが出来たのです。


 今もこうして、ルーカス様が傍にいて下さっているので、お兄様と普通に会話をする事が出来ているのです」


 ルーカス様の存在が、私に勇気を与えてくれる。彼が支えてくれるから、勇気をくれるから、私は動けるのだ。


「サリーにとって、ルーカス殿はかけがえのない存在なのだね。ルーカス殿、サリーを支えてくれてありがとうございます。もし許されるのなら、2人の結婚式は、ぜひ呼んでください。もちろん、無理にとは言いません」


 結婚式ですって?しまった、完全にお兄様は誤解をしてしまったようだ。


「お兄様、私とルーカス様は、その様な…」


「もちろんです、ぜひ結婚式には、来てください。その為にも、もっと頑張らないといけないな…」


 なぜか嬉しそうに呟くルーカス様。やはり令嬢たちが言っていた通り、ルーカス様は…


 今はそんな事を気にしている場合ではない。私がずっと気になっていたことを、お兄様に聞かないと。


「あの…お兄様。その…お父様は今、どうされているのですか?」


 お母様を誰よりも大切にしていたお父様。私を王妃にしたかったのも、お母様がそう願っていたからと思っていたからだ。でも実際は、お母様は私の事を王妃になんてしたくないと思っていた。私には苦しい思いも痛い思いをさせたくないと願っていたお母様。


 そんなお母様の本心が書かれた日記を、お父様も見ているはずだ。だからこそ、お父様の事が気になったのだ。


「サリーは父上から、酷い虐待を受けていたよね。君の命すら奪おうとした父上を、サリーは心配しているのかい?」


 切なそうに呟くお兄様。


「正直今でもお父様の存在は、お兄様以上に恐怖でしかありません。ただ、私のせいでお父様の人生をも滅茶苦茶にしてしまったので、せめてお父様には幸せになって欲しいと、思いっております。だから…その…」


 お父様が苦しんでいないといいな…そう思ったのだ。

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