第58話:ルーカス様の気持ちが知りたい
「ルーカス様も、酷いですよね。サリー様が異国から来た事をいい事に。サリー様をうまく誘導して、ルーカス様の瞳の色のドレスを着させるだなんて」
「もしサリー様が、他の殿方との結婚をご希望でしたら、私たちが力になりますわ。サリー様さえよろしければ、私がよさそうな殿方を紹介いたします」
「私もです。そうですわ、今度我が家で夜会を行う予定になっておりますから、ぜひ参加してくださいませ。そこで素敵な殿方を見つけるのもよいでしょうし。夜会は絶好の出会いの場ですから」
「ルーカス様が邪魔をしない様に、私たちで協力いたしますから」
令嬢たちが、目を輝かせて色々と提案してくれる。私の為に、こんな風に考えて下さるだなんて。嬉しくて涙が出そうになるのを、必死に堪えた。
「皆様、私の為に色々とご提案頂き、ありがとうございます。私は自国では、こんな風にご友人と呼べる方たちが居りませんでしたので、なんだか嬉しくて。あの…もしよろしければ、今後も定期的にお茶に誘ってもよろしいですか?」
「ええ、もちろんですわ。それにしても、こんなにも素敵なサリー様にお友達がいなかっただなんて、信じられませんわ」
「本当ですわよね。こちらこそ、ぜひお友達になりたいですわ」
「「私もです」」
「皆様、ありがとうございます。嬉しいですわ。あの…皆様、その…ルーカス様は本当に、私に好意を抱いて下さっているとお思いですか?私は自国で誰からも必要とされていなかった人間ですので、どうしても信じられなくて」
「まあ、こんなにもお可愛らしい方が、自国では必要とされていらっしゃらないだなんて。もしかして、自国でお辛い思いをされていたから、この国にいらしたのですか?」
「ええ、自国では家族から嫌われていたうえ、婚約者にも他に好きな人が出来たと捨てられて…見かねた叔母様が、私を引き取って下さったのです。ですのでルーカス様も、私に同情しているのではないかと。それに…皆様も知っている通り、私はルーカス様に魔力提供もしております。だからその恩を、感じていらっしゃるのではないかと思っておりまして」
「なるほど、それでネガティブになられておられるのですね。ですが私から見る限り、ルーカス様は明らかにサリー様に好意を抱いている様にしか見られませんわ」
「私もそう思います。お披露目の時も、サリー様から片時も離れられませんでしたし。いくら恩があるとはいえ、興味のない令嬢に、そこまでするとは思えませんわ」
「ルーカス様が、何度も愛おしそうにサリー様を見つめているのお見掛けしましたし。そもそも興味のない女性の瞳の色のスーツを選ぶでしょうか?それもあの日は、サリー様のお披露目の日という、通常の夜会とは違う特別な日でしたし」
「あの場で主役でもあるサリー様の瞳の色と同じスーツを着るという事が、何を意味するかはルーカス様だって重々承知でしょうし。どう考えても、サリー様を他の殿方に取られない様に、外堀を固めていらした感じがいたしましたわ。
正直申し上げまして、ルーカス様がサリー様に好意を抱いている以外、考えられないのですが…」
令嬢たちが次々と口にする。確かに彼女たちが言っている事は正論だ。それじゃあ、ルーカス様の好きな相手って…
「もし本当にルーカス様が、私に好意を抱いて下さっていたのなら…私…」
嬉しくてつい頬が緩んでしまう。皆様私に気を使って言ってくれているのかしら?でも、そんな風には見えないし。
「もしかして、サリー様もルーカス様を?」
「頬を赤らめられて、本当にお可愛らしい方ですね。サリー様、一度きちんとルーカス様とお話をされた方がよろしいのではありませんか?」
「私もその方がよいかと」
「皆様、ありがとうございます。そうですね、一度ルーカス様に聞いてみますわ」
彼女たちと話をしたら、なんだか勇気が出てきた。いつまでも避けていてもよくない。一度きちんとルーカス様と話をしよう。
その後は終始和やかな空気の中、お茶会は進んでいった。ミレンズ王国にいた時は、嫌味が飛び交う事も多く、辛いお茶会だった。
でも、今日のお茶会は、楽しくてたまらない。マレリス王国の令嬢たちは、本当に優しくて素敵な女性たちばかりだ。これからは彼女たちとも仲良くしていきたい、そう強く思ったのだった。




