第55話:モヤモヤが止まりません
今日もいい天気ね…こんな日は、お庭でお茶を飲みながら青バラを眺めたいな。
でも…
お披露目パーティ以降、私はルーカス様と距離を置くため、極力部屋で過ごしている。ルーカス様と距離を置くという事が、これほどまでに辛いとは思わなかった。
お優しいルーカス様もきっと、気が付いているだろう。私が彼を避けているという事を。そのせいか、お披露目の翌日、彼から謝罪を受けた。
ルーカス様は何も悪くない、私の為にずっと傍にいてくれただけ。それなのに彼に謝罪をさせてしまった事を、本当に申し訳なく思っている。
「は~」
ついため息が出てしまう、本当は今まで通り、ルーカス様と話がしたい。彼の傍にいたい、でも、そんな事をすれば、どんどん私の気持ちを大きくなってしまう。そう考えると、今は辛くても距離を置くのが一番なのだ。
「サリー、あなた、そんな大きなため息をついて。天気がいいのだから、いつも通り中庭でお茶をしたらどう?」
「叔母様…私は…」
「ほら、行きましょう」
叔母様に連れらえて、中庭にやって来た。
「明日のお茶会なのだけれど、こちらの中庭をアレンジして、会場を作りましょう。ここはあなたの大好きな場所だものね。明日が楽しみね」
「そうですね…」
叔母様が嬉しそうに話しかけてくれるが、なんだか心が晴れない。
「あら?あんなにお茶会を熱望していたのに、あまり嬉しそうではない様ね。何か悩みでもあるの?最近ルーカスを避けている様だけれど、ルーカスと何かあった?」
どうしよう、どう答えたらいいのだろう。
「サリー、あなたが今何に悩んでいるのかは知らないけれど、一人で抱え込まないで。辛いときは、私に相談して。私はいつも、あなたの味方だからね。そういえば昔、マリアもお義兄様の事で随分と悩んでいたわね。
昔からお義兄様はマリアの事が大好きだったのよ。それはもう、周りがひくほどに。でも当のマリアは、全くお義兄様の愛情表現を理解できてなくてね。
それどころか、お義兄様が他の令嬢を好きだと勘違いしていて。同じ双子なのに、どうしてこんなにこの子は鈍いのかしら?と、呆れたくらいよ。
とはいえ、人間言葉にしないと伝わらないものよね。サリー、あなたもマリアに似て、少し鈍いところがあるみたいね。もう少し、周りを見てみたら?」
「周り…ですか?」
叔母様に言われて、周りを見る。
「いや…その周りではなくて…て…ルーカス、あなた…」
周りを見ると、木の傍から不安そうにこちらを見ていたルーカス様と目が合った。その瞬間、一気に胸が苦しくなる。
「すまない、盗み見をするつもりはなかったんだ。ただ、サリーが久しぶりに外に出ていたから、つい。申し訳なかった、それじゃあ、失礼するよ」
そう言うと、ものすごいスピードで去って行ったルーカス様。
「ルーカスはずっと、あなたに避けられている事を気にしているみたいよ。午前中もここに座って、抜け殻のようになっていたし。ルーカスにとって、あなたは…いいえ、何でもないわ」
ルーカス様が、そんな状態に…
胸がズキリと痛んだ。
でも…
「叔母様、ルーカス様には気になる令嬢がいらっしゃるそうなのです。その令嬢に振り向いてもらえる様に、今頑張っていると。私が傍にいたら、ルーカス様にご迷惑がかかりますわ。ですから…」
「まあ、ルーカスがそんな事を?サリー、あなた、本当にマリアにそっくりね」
そう言って声をあげて笑った叔母様。一体何がそんなにおかしいのだろう。訳が分からず、首を傾げた。
「それであなたはルーカスを避けていたのね。本当に世話が焼ける子たちね。サリー、一度きちんとルーカスと話をした方がいいわ。あなた、きっととてつもない誤解をしているはずだから」
とてつもない誤解?叔母様は、一体何を言っているのだろう。
「とにかく、明日令嬢たちが来たら、少しはあなたの考えも変わるかもしれないわね。少し冷えて来たし、部屋に戻りましょう」
「ええ、そうですね…」
今日の叔母様、なんだかわけのわからない事ばかり言っている。一体どうしたのだろう…




