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あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


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第49話:無事夜会は終わったけれど

「皆僕たちに注目しているね。今日の主役はサリーだ。もっとみんなを驚かせてやろう」


 ニヤリとルーカス様が笑った。その瞬間、ふわりと体が宙に浮いたのだ。そしてそのまま私をクルリと回した。


 確かにダンスの最中、こうやって私をクルクル回して遊んでいたが、まさか本番で回されるだなんて。それでもいつも通り着地し、そのまま踊る。


 “ルーカス様、さすがにここで回すのはお止め下さい”


「どうしてだい?周りからも歓声が上がっているよ。サリーは知らないかもしれないが、この国ではこういったパフォーマンスは人気なんだよ」


 確かに周りからは歓声が上がっている。この国の人たちは皆フレンドリーだし、ルーカス様の言う通りなのかもしれない。沢山この国について勉強したはずなのに、まだまだだったようだ。


 ダンスが終わると、周りから大きな拍手が沸き上がった。


 さらに、私たちの元に令嬢たちがやって来たのだ。


「お2人のダンス、とても素敵でしたわ。ルーカス様は今まで誰とも踊られなかったので、ダンスが苦手なのかと思っておりましたが、サリー様がいらしたので誰とも踊られなかったのですね」


「それで、いつお2人は婚約されるのですか?」


 なぜか令嬢たちが、訳の分からない事を言っている。


「皆様、何か誤解をされている様ですが、私とルーカス様は…」


「サリー、今日は色々な人たちと話をして疲れただろう。君たち、申し訳ないが、サリーは色々あってまだ体調が万全ではないんだ。これで失礼するね」


 私の言葉を遮ったルーカス様が、令嬢たちに挨拶をしてそのまま歩き出したのだ。


「ルーカス様、さすがにあのような態度は…令嬢たちに変な誤解を与えかねません」


「変な誤解?何の事かな?言いたい人たちには、言わせておけばいいよ。もしかしてサリーは、今日のパーティで気になる殿方でも出来たのかい?」


「気になる殿方ですか?特にその様な方はいませんでしたわ。というよりも、あまり殿方とお話も出来ませんでしたし」


 ずっと、ルーカス様と一緒だったのだ。殿方どころから、令嬢ともあまり話が出来なかった。とはいえ、今回のお披露目をきっかけに、今後は色々なパーティに誘われるだろう。


 その時に、他の貴族たちと仲良くなればいいか。


 それに私は16歳だ。そろそろ婚約者を見つけないといけない。ルーカス様だって、もう16歳。そういえばルーカス様にはまだ、婚約者がいないと叔母様が言っていた。


 年齢的に、そろそろ婚約者を探さないといけない時期だ。こんなにも優しくてカッコいいルーカス様だ、その気になればすぐに婚約者も決まるだろう。


 ルーカス様の婚約者か…


 なぜかまだ見ぬルーカス様の婚約者の事を考えたら、胸がチクリと痛んだ。


「サリー、どうしたのだい?急に僕の手を強く握って。何か嫌な事でもあったのかい?」


 心配そうにルーカス様が、私の顔を覗き込んできたのだ。


「いいえ、何でもありませんわ。ルーカス様ももう16歳ですし、そろそろ婚約者を探さないといけない時期ですね。誰か気になる令嬢はいるのですか?」


「そうだね、僕もそろそろ婚約の件も真剣に考えないといけないと思っていてね。婚約したい令嬢はいるのだけれど、とはいえ無理強いは出来ないから。彼女が僕を受け入れてくれるまで、待とうと思っているんだ」


 婚約したい令嬢が…いる…


 その言葉にが、胸に突き刺さる。ルーカス様はグラッサム公爵家をいずれ継ぐ。その為には、令嬢と結婚するのは当たり前だ。


 年齢的にも、好きな令嬢のひとりやふたりいても、おかしくはない。


 でも…


 どうしてだろう、胸が苦しくてたまらない。わかっている、ルーカス様と私は、義理とはいえ兄妹だ。その上私は、ルーカス様の命を救った恩人、彼が私を大切にしてくれるのは、私が家族だという理由以外にも、恩人という意味も大きいだろう。


 それでも私は、ルーカス様の優しさが嬉しかった。急にやって来た赤の他人の私にこんなにもよくしてくれたルーカス様を、いつしか私は…


「サリー、どうしたのだい?何だか顔色が悪いね。疲れてしまったのかい?」


「ええ、少し疲れてしまった様です。今日はゆっくり休みますね。それでは失礼いたします」

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