第46話:お披露目当日を迎えました
「お嬢様、16歳のお誕生日、おめでとうございます。今日はいよいよ、お披露目当日ですね。既にたくさんの贈り物が届いていると、伺っております。さすがグラッサム公爵家ですね。
お披露目のパーティは夜からですので、昼間はリラックスして過ごしてくださいませ。早速マッサージをさせていただきますね」
「ありがとう、皆。今日はお母様の命日でもあるから、マッサージの前にお祈りをしようと思っているの。でもその前に、ドレスを選ばないと。どっちがいいかしら?」
1ヶ月前、マダムからドレスが届いたのだが、オレンジもシルバーもどちらもとても素敵なドレスだった。まだどっちにしようか、選びきれていないのだ。
2着のドレスを並べ、腕を組んで悩む。
「お嬢様、ルーカス様がいらっしゃっております」
ちょうどルーカス様が、部屋を訪ねていらしたのだ。
「サリー、16歳のお誕生日おめでとう。今日という日を一緒に迎えられた事、とても嬉しく思うよ。それでね、今日君が着るドレスなのだけれど…このドレスは?」
「ありがとうございます、ルーカス様。以前デザイナーと一緒にデザインをしたドレスですわ。今日のお披露目パーティで着ようと思っているのですが、どちらも素敵で。どっちがいいと思いますか?」
せっかくなので、ルーカス様に選んでもらおう。
「サリーの体調がまだ戻らないときに、叔母上が勝手にデザイナーを呼び寄せた時に作ったドレスだね。オレンジにシルバー、どちらも素敵な色だね。この色は、サリーが選んだのかい?」
「はい、色も私が選びました」
「そうか…サリーがオレンジとシルバーを」
ルーカス様が口元を抑えながら、俯いている。一体どうしたのだろう。もしかして、ルーカス様の髪と瞳の色だったのが、気に入らなかったのかしら?
「ルーカス様、ごめんな…」
「どっちも素敵だね。だが、今日はオレンジにしよう。きっとサリーに、よく似合うと思うよ。実は僕も君に、オレンジ色のドレスを準備してきたのだが、必要なさそうだね」
「まあ、私の為にわざわざ準備してくださったのですか?それならそちらのドレスを…」
「いいや、こっちにしよう。サリーがデザイナーと、色々と相談して決めたドレスだろう。とても斬新で素敵なデザインだ。きっと我が国の令嬢たちが、こぞって真似をするよ」
「ルーカス様ったら、大げさですわ。でも、そう言って頂けると嬉しいです。それでしたら、オレンジのドレスにしますわ」
よかった、無事にドレスが決まって。
「サリー、今日もダンスの練習をするのかい?もしするのなら、付き合うよ。その確認に来たのだよ」
「今日はダンスの練習はしませんわ。あまり頑張りすぎて、夜会で疲れてしまったら大変なので。いつもダンスの練習に付き合って下さり、ありがとうございます。そのお陰で、もうばっちりですわ。
それに今日は、お母様の命日でもありますので、ドレスが決まったら、少しだけお祈りに行きたいと思っております」
ダンスはお披露目の日が決まってから、ずっとダンスの相手役を買って出てくれたルーカス様。公爵家を継ぐため、色々と勉強を進めており、多忙の中私の為にレッスンに付き合ってくれていたのだ。
あまりご迷惑をかける訳にはいかないと思い、使用人に相手をしてもらおうと思ったのだが
“当日は僕と踊るのだから、僕と練習した方がいいだろう”
そうおっしゃってくださったのだ。それになぜか私がダンスの練習をお願いすると、どの使用人も忙しいからと申し訳なさそうに断って来る。忙しい使用人に無理強いも出来ない。
その結果、ルーカス様に相手をしてもらう事になったのだ。
「今日は君の母上の命日でもあったね。それなら僕も一緒に、お祈りに行くよ。君を生み、亡くなった後もずっとサリーを見守り続けた立派な方だ。ぜひ僕からも、感謝の気持ちを伝えないと。すぐに準備をして来るから、待っていてくれ。
それから、サリーの16歳のお誕生日プレゼントも沢山準備したから、後でゆっくり見てほしい。それじゃあ、後ほど」
笑顔でルーカス様が部屋から出ていく。
「ドレスも無事決まったし、私も準備をしないと」




