↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/134

第36話:混乱する気持ち~ルーカス視点~

 その後裁判所に、正式に我が家の子供になれる様に申請を行ったサリー。もうすぐ屋敷につくという頃、急に泣き出したのだ。どうやら宴を準備してもらっていたという事が、嬉しくて泣いた様だ。


 真っ青な瞳からポロポロと溢れだす涙。単なる家族だけの歓迎会くらいで、泣くほど嬉しいものなのか?この子は屋敷で、一体どんな生活を送っていたのだろう…


 そう思ったが、幼い頃から母親から虐待されていた僕にはわかる。この子も僕と同じように…いいや、それ以上に辛い思いをしていたのだろう。それも15年もの間。


 ずっと孤独と絶望の中で、もがき苦しみ、唯一信じた王太子にも裏切られ…


 この子はどれくらい涙を流してきたのだろう。そう考えると、涙が溢れそうになる。一体僕は、どうしたのだろう。他人になんて、興味がなかったはずなのに…


 無事屋敷についた後、早速自室に案内されたサリー。どうやら準備した部屋は気に入ってくれた様だ。


 ただ叔父上は…


 “どうしてあんなにやせ細っているんだ!あの子は公爵令嬢だろ?いくら魔力を長期間提供していたからって、あまりにも酷すぎる。あの子はまだ15歳だぞ!それなのに…”


 いつも穏やかな叔父上が、怒りをあらわにしている。


 “あれでも随分ましになったのよ。私が初めてサリーに会った時なんて、もっとひどかったのだから。あの男、あろう事かサリーに攻撃魔法をかけようとしたのよ。サリーは既に覚悟を決めていたのか、抵抗もせず瞳を閉じていたの。


 その姿を見た時、怒りで気が狂いそうになったわ。ただ…その瞬間、温かい光が部屋を覆ったの。きっとマリアの仕業だわ。あの懐かしい魔力は、マリアのものよ。マリアも必死にサリーを守ろうとしていた。


 サリーはね、本当にマリアにそっくりなの。自分を裏切った王太子には、幸せになってほしい。だから自分は身を引くと言ったのよ!4年もの間、体を引きちぎられる様な痛みに耐えてきて、その上あっさり捨てられたのに。そんな男の事を考えているの。王太子だけではないわ、王妃でもあるマーガレットにまで気遣っていたし。


 それに自分の専属メイドたちの行く末も心配していたのよ。結局サリーを慕っていた使用人たちは、皆我が家に来てくれることになったけれどね。サリーは本当に心の優しい子なの。


 それなのにあいつらは…“


 叔母上が唇を噛み、涙を流している。叔母上がこんな風に怒る姿は初めて見た。だが、叔母上の気持ちもわかる。サリーの父親も王太子も、本当に最低だ。心優しい叔母上が、そんな人間の仮面をかぶった悪魔の元に、姪を置いておきたくないと考えるのも無理はない。


 僕だって…


 ギュッと拳を握り、唇を噛む。


 “ルーカス、あなたそこにいたの?やだわ、私たちの話、聞いてしまった?”


 いつの間にか叔母上に見つかってしまった。盗み聞きをしていた事、怒られるかな?そう思ったが…


 “ごめんなさい、ルーカス。あなたは何も気にしなくてもいいのよ。ただ、もしあなたさえよければ、サリーとも仲良くしてあげてくれると嬉しいわ”


 そう言って笑った叔母上。あえて僕に強制はしない、この人はそういう人だ。


 “ええ、もちろん、仲良くするつもりですよ”


 いつもの様に、笑顔を作る。ただ、僕はまだサリーを受け入れられずにいる。確かに気の毒だと思うし、なんだか気になる。だけれども…僕だって実の親には散々苦労してきた。やっと手に入れた温かい家庭を、叔父上や叔母上を奪われたくはない。


 ただ…


 馬車の中で見たサリーの涙を思い出すと、胸が張り裂けそうになるのだ。


 “ルーカス、無理にサリーとの距離を縮めようとする必要はないわ。急にサリーが来て、ルーカスだって戸惑っているのよね。それは当然の事よ。大人の理由であなたまで巻き込んでしまって、ごめんなさい。あなたは今まで通り、この屋敷で自分の思う様に生きていけばいいのだから”


 自分の思う様にか…叔母上もそう言ってくれているし、しばらくはサリーと距離を置こう。そう思っていたのだが…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。