第28話:ルーカス様が気になる
「サリー、ルーカスもここにいたのね。ルーカスったら、すっかりサリーと仲良くなったのね。良かったわ。さあ、2人ともお昼ご飯にしましょう。今日も料理長が腕によりをかけて、美味しい料理を作ってくれたわ」
「もうそんな時間なのですね。私、お腹ペコペコですわ」
「サリーもここに来てから、一人前しっかり食べられる様になったものね。それに魔力もすっかり回復したし。本当によかったわ」
確かに叔母様がおっしゃる通り、ここに来てからしっかり栄養と休息をしているせいか、体調もすっかり良くなった。鶏がらみたいだった体も、随分まともになってきたし。それもこれも、皆叔母様を始め、このお屋敷の人たちのお陰だ。本当に感謝しかない。
3人で食堂へと向かい、いつも通り和やかな空気の中、食事を済ませた。
あら?ルーカス様、今日もあまり食べられていない様ね。それになんだか、少し顔色も悪い様な…
叔母様も同じ事を思ったのか
「ルーカス、あまり食べていないじゃない。もしかして体調が悪いの?すぐに医者に診てもらいましょう」
叔母様も、ルーカス様の異変に気が付いた様だ。
「叔母上、大丈夫ですよ。いつもの発作ですから…薬を飲んで少し休めば、元気になりますから。それでは僕は部屋で休んで来ますね」
笑顔で去っていくルーカス様。
「叔母様、ルーカス様はご病気なのですか?発作とは…」
「ルーカスは定期的に体調を崩すことがあるの。薬を飲めばよくなるから、サリーは心配しなくても大丈夫よ。さあ、食事の続きをしましょう」
薬を飲めばよくなるのならよいのだが…さっきまで元気そうだったのに、なんだか心配ね。
それに…
部屋に戻った後、ルーカス様の事を考える。いつも穏やかな笑みを浮かべ、私に親切にしてくれるルーカス様。
ただ…
彼はきっと、本音では私を受け入れていないのだろう。その証拠に、私の名前を一度も呼んだことがない。それでも必死に、私を受け入れようとしている。そんな葛藤が見えるのだ。
私の存在が、ルーカス様にとって邪魔なものだとしたら…
何だか胸がズキリと痛んだ。せっかく出来た、温かい家族。ルーカス様とは血が繋がっていない。そんな私を、葛藤しながらも受け入れようとしてくれるルーカス様を、私は大切な家族だと思っている。
もしルーカス様の役に立てることがあれば、何でもしたいな…
とはいえ、優秀なルーカス様のお役に立てる事なんて、ないか。そう思い、近くにあった本棚から本を取り出した。
午後は読書だ。こうやってゆっくり好きな本が読める、この時間がとても幸せだ。ミレンズ王国にいた頃は、いつもせわしなく動いていた。とはいえ、私は正式にグラッサム公爵家の令嬢になったのだ。
お披露目が終わったら、本格的にお茶会や夜会に参加して、貴族たちと交流を深めないと。それが私に出来る、この家への恩返しだ。でも、ミレンズ王国では友人らしい友人もいなかったし、うまく振舞えるかしら?
考えれば考えるほど、暗い方へ行ってしまう。だめよ、しっかりしないと。こんな時は、読書が一番だわ。
再び本を手に取り、読書を始めたのだった。
「お嬢様、夕食のお時間です」
「えっ…もう夕食の時間なの?」
窓の外を見ると、既に暗くなっていた。色々と考えているうちに、かなり時間が過ぎていた様だ。叔父様と叔母様、ルーカス様を待たせる訳にはいかない。
早く食堂に行かないと。
ルーカス様、体調が戻っているといいな。
「お待たせして申し訳ございません」
急いで食堂に向かうと、叔父様と叔母様が待っていた。まだルーカス様は来ていないようだ。
「そんなに慌ててこなくてもいいのだよ。さあ、食事にしよう」
叔父様がにっこり微笑んでくれた。
ただ…
「ルーカス様は?」
「ルーカスはまだ、体調が戻らない様でね。気にする事はない、さあ、食べよう」
なんと!まだルーカス様は体調が悪いのね。大丈夫かしら?




