第24話:公爵家に着きました
「サリーはずっと、辛い思いをして来たのだもの。きっとこれからは、楽しい事や嬉しい事がいっぱい待っているわ。だからどうか、もう泣かないで」
叔母様が、ハンカチを手渡してくれた。
「はい、これからは沢山楽しい事や、やりたい事をしますわ。私、もう我慢しません」
「そうよ、それでいいのよ。見て、サリー。あれがこれからあなたが暮らす屋敷よ」
叔母様が窓の外を指さした。そこにはこれまた白を基調にした、立派な屋敷が建っていた。周りには木々や花々が奇麗に手入れされており、白い噴水も見える。
「なんて素敵なお屋敷なのかしら?こんな素敵なお屋敷に、今日から住めるだなんて」
「喜んで貰えてよかったわ。この国のお屋敷は、皆こんな感じなのよ。私も初めてこの国に来た時、あまりにも美しい街並みに、感激したものよ」
叔母様の言う通り、街全体がとても美しいのだ。美しい国だとは聞いていたが、まさかここまでとは思わなかった。
「サリー、着いたよ。疲れただろう」
叔父様に促されて馬車から降りると…
「「「「「ようこそいらっしゃいました、サリーお嬢様」」」」」
沢山の使用人たちが、待っていてくれたのだ。こんなにたくさんの使用人に、歓迎されるだなんて…
「サリーお嬢様、長旅お疲れ様でした。私は公爵家でメイド長をしております、マーサと申します。何か不自由な点等ございましたら、何なりと申しつけ下さい」
少し年配の女性が、丁寧に挨拶をしてくれたのだ。
「ありがとう、マーサ。ミレンズ王国から、私の専属使用人たちもここでお世話になるの。どうか彼女たちの事も、よろしくお願いします」
私の為に、縁もゆかりもないこの国について来てくれたあの子たちには、この地で少しでも快適に暮らしてほしい。そんな思いを込めて、マーサにお願いしたのだが…
なぜか目を見開き、固まっている。一体どうしたのだろう。
「マーサ、サリーはずっと家族から冷遇されていて、使用人が家族みたいなものだったのだよ。どうかサリーの専属使用人たちとも、仲良くしてやってほしい」
すかさず叔父様が、フォローをいれてくれた。
「そうだったのですね…ミレンズ王国では、公爵令嬢として生活されていたと聞いておりましたので…一緒に来た使用人の事まで心配なさるだなんて…なんてお優しい方なのでしょう。
サリーお嬢様、私が責任を持ってあなた様の専属使用人たちの面倒を見ますので、どうぞご安心を」
そう言って笑ったマーサ。良かった、あの子たちもこれで快適に仕事が出来るだろう。
「サリー、そろそろお屋敷に入りましょう。あなたのお部屋も、もう準備してもらってあるのよ」
叔母様に案内され、お屋敷に入る。お屋敷の中も、とても立派だ。あら?あの写真は…
沢山の家族の写真が並んでいる中、ある1つの写真に目が留まった。
「これはね、若い頃の私とあなたの母、マリアよ。私達、よく似ているでしょう?それに、今のサリーにもよく似ていると思わない?」
「確かにサリーによく似ているね。サリーは母親の血を、色濃く受け継いだのだね」
確かに髪や瞳の色は、お母様や叔母様と一緒だが、私は2人ほど美人ではない。とはいえ…こんな形で昔のお母様に会えるだなんて、なんだか嬉しい。お父様が私の事を毛嫌いしていた為、私はお母様の写真を1枚も持っていないのだ。写真だって、今までほとんど見せてもらった事がなかった。
写真で見るお母様の姿、叔母様にそっくりだ。お父様が叔母様をお母様と勘違いしたのも、頷ける。
「サリー、写真はずっとここに飾ってあるから、いつでも見たい時にみられるから。さあ、行きましょう」
気を取り直して、準備して頂いた部屋へと向かった。
「ここがサリーの部屋だよ。令嬢の部屋はどんなものか分からなくてね、使用人と相談しながら準備したのだが、どうかな?」
「まあ、なんて素敵なお部屋なのでしょう。とても可愛らしいお部屋ですわ。こんな素敵なお部屋、私が使ってもいいのですか?」
「ああ、もちろんだよ。君の為に準備したのだからね。他に必要なものがあれば、何でも言ってくれ。すぐに準備するから」
「これだけあれば、十分ですわ。ありがとうございます、叔父様」




