第22話:マレリス王国に着きました
叔母様と一緒に、食堂へと向かう。船の中とは思えない程、立派な食堂だ。
叔母様と向かい合わせで、イスに座る。
「今日から我が公爵家の料理人が、料理を作っているのよ。お口に合うといいのだけれど…」
目の前には、立派なお料理が。まさか船の中でも、こんなお料理を頂けるだなんて、思わなかった。
早速お料理を頂く。
「とっても美味しいですわ。このお魚も、このお肉も。まあ、このお芋、とてもなめらかですね」
どのお料理を食べても、とても美味しいのだ。
「サリーの口にあった様で、よかったわ。最近少しずつ、食べる量も増えてきたわね。髪も艶が出て来たし」
確かに叔母様の言う様に、少しずつ食欲も出て来たし、体も以前よりも軽くなった。きっとおいしいお料理と十分な睡眠、そして使用人たちの手厚いケアがあるからだろう。
食後は自室に戻り、マレリス王国について、勉強をする。マレリス王国に行く事が決まってから、少しでもマレリス王国の事が知りたくて、たくさん勉強をしているのだ。
お勉強が終わると、そのまま眠りにつく。ふと窓の外を見る。満点の星空が広がっていた。なんて綺麗なのかしら?すっかり忘れていたけれど、ここは船の中なのね。周りは海、なんだか神秘的だ。
まさか私が、船に乗って他国に行くだなんて、夢にも思わなかった。マレリス王国…自然豊かでとても美しい国だと聞いている。
早くマレリス王国に着かないかな…
そんな事を考えながら、眠りについた。
翌日も朝から娯楽施設でダーツを楽しんだり、デッキに出てお茶をしたり、カモメに餌をあげたりしながら過ごす。
そして…
「叔母様、あれがマレリス王国なのですか?」
白を基調とした建物が、あちこちに並んでいる。
「そうよ、綺麗な国でしょう?」
「はい、とても美しい国ですね。自然豊かと聞きました、私、この国に来るのをとても楽しみにしておりましたの」
「それは良かったわ。あなた、ずっとマレリス王国について、勉強をしていたものね」
お勉強していた事、叔母様にバレていたのね。叔母様は何でもお見通しという訳か。
「さあ、着いたわよ。夫とルーカスが待っているはずよ。行きましょう」
いよいよ叔父様とルーカス様に会うのね…なんだか緊張してきた。私の事、受け入れてくださるかしら?
不安の中、叔母様と一緒に馬車から降りた。
「ようこそ、マレリス王国へ。君がサリーだね。アマリリスにそっくりだな」
船を降りた瞬間、男性にギューッと抱きしめられたのだ。男性に抱きしめられた経験などない私にとっては、どうしていいのか分からない。
「あなた、サリーが固まっているわ。ごめんなさい、サリー。この人、とても情熱的な人なのよ」
叔母様がすぐに引き離してくれた。どうやらこの方が、叔父様の様だ。銀色の髪をした、優しそうな男性。我が国には銀色の髪の人はいなかったから、なんだか新鮮だ。
「お初にお目にかかります、叔父様。私の事を引き取って下さり、ありがとうございます。どうかこれから、よろしくお願いいたします」
叔父様とは血のつながりもない私を、引き取って下さったのだ。感謝以外何物でもない。
「そんな事は、気にしなくてもいいのだよ。君はアマリリスの大切な姉、マリアの子なのだから。それにしても、こんなにも可愛い子を、あの男は殺そうとしたのか?信じられない。アマリリスやマリアの若い頃に、そっくりなのに!」
さっきまで優しい顔をしていた叔父様が、急に怖い顔で怒りだしたのだ。私、そんなに叔母様やお母様に似ているのかしら?確かに髪や瞳の色は、同じだけれど…
「もう、あなた。あまりベラベラと、サリーの前で話さないでちょうだい。ごめんなさいね、サリー。この人、感情豊かで」
「謝らないで下さい、叔母様。初めて会った私の事をこうやって心配して下さるだなんて、叔父様がとてもお優しい方だって分かりましたわ。叔父様、私の為に怒って下さり、ありがとうございます。
今まで私の為にこうやって怒って下さる人は、あまりおりませんでしたので、嬉しいです」
「サリーはなんていい子なんだ。可哀そうに、まだ顔色が悪いね。さあ、長旅で疲れただろう。すぐに屋敷に帰ろう」




