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あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


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第18話:甥との時間~アマリリス視点~

「さあ、サリー。ここでゆっくり過ごして。私はちょっと出かけてくるから。何かあったら、使用人たちに言うのよ。あなた達、サリーの事を頼んだわよ」


「「「承知いたしました。行ってらっしゃいませ、奥様」」」



 使用人たちにサリーを託し、馬車に乗り込む。向った先は、ローレティエン公爵家だ。


「アマリリス…今日も来たのだな」


「本当に叔母上がいらしたのですね」


 公爵家に着くと、出迎えてくれたのはお義兄様と息子のサレオだ。


「お義兄様、今日もお邪魔して申し訳ございません。サレオ、大きくなったわね。あなたに最後に会った時は、まだとても幼かったのに…」


 大きくなったサレオ、私の大切な甥だ。マリアはサレオを、とても可愛がっていた。母親が亡くなった時、泣き叫んでいたサレオも、こんなに立派になって…


「叔母上…父上から聞きました。それで、本当にサリーを連れていくのですか?サリーは役立たずで、あんな奴連れて行っても、叔母上には何の得もありませんよ。母上を殺し、我が家から笑顔と幸せを奪ったのだから…」


 唇を噛み、悔しそうに呟くサレオ。その顔には、どこか葛藤が感じられる。本当は妹をそんな風に思いたくはない。でも…そんな葛藤が、彼から見え隠れする。サレオにこんな思いをさせているのは、きっとお義兄様が原因なのだろう。


「サレオ、それは違うわ。サリーがマリアを奪った訳ではないのよ。そもそも出産は、命がけなの。どんなに丈夫な人だって、命を落とす事は珍しくはないこと。それにサリーは本当に、マリアを殺したの?


 マリアはきっと、サリーを愛していたと思うわ。だからマリアは、自分の命ではなくサリーの命を選んだのだと、私はそう思っているの。


 ねえ、思い出してみて、マリアはあなたに、サリーの事を何か言っていなかった?それが母マリアの、願いだったのではなくって?」


 私の問いかけに、サレオが考え込んだ。


 “可愛いサレオ。この子はあなたの弟か妹になる子よ。生まれたら可愛がってくれる?”


 “うん、ぼくかわいがるよ。ぼくがこのこをまもるんだ”


 “まあ、たのもしいのね。私の大切なサレオ。あなたならきっと、いいお兄さんになるわ。どうかこの子を、可愛がってあげてね”


「母上は確かに…俺にサリーの事を可愛がってくれと…言っていた…あの時俺は、母上と約束したんだ。生まれてきた子を可愛がる、俺が守るって。それなのに…母上との約束を守れていなかった…


 俺は、間違っていたのか?」


「そうね、間違っていたのかもしれない。でも、きっとあなたのお父様が、サリーを憎む様に仕向けたのね。あなたもサリーも、お義兄様の犠牲者だわ。サレオ、あなたは本当に純粋な子ね。


 きっと今、間違いに気が付いてくれた事を、マリアも喜んでいると思うわ」


「母上が?」


「ええ、そうよ。だってマリアにとって、サレオもサリーも、大切な子ですもの。どうかこれからも、マリアに自慢できるような優しくて強くて素敵な人間になってちょうだい。あなたならきっと、なれるわ」


「でも俺は、サリーを…母上の最後の願いを…」


「人間間違いは誰にでもあるわ。それに父親でもあるお義兄様から、“サリーのせいで母親は亡くなった”そう聞かされ続けていたら、サリーを恨んでしまう気持ちも無理はないわ。幼いあなたにとって、母親を失うという事は、辛いものだっただろうし。


 でも、今間違いに気が付けたのですもの。きっとサリーも、あなたの事を恨んでいないと思うの。あの子は、とても優しい子だから…本当に、優しすぎるくらい優しい子なのよ。


 今はまだ、サリーの気持ちも落ち着いていないから無理だろうけれど、もしサリーの気持ちが落ち着いたら、一度マレリス王国に遊びにいらっしゃい。その時は、全力で歓迎するから」


「はい…いつかサリーに顔向けでいるようになったら、必ずマレリス王国に…叔母上とサリーに会いに行きます。それまでに俺自身も、一度気持ちを整理したいですし…」


「そうよね、あなたにも少し、時間が必要よね。サレオ、私はあなたの事もサリーと同じくらい、大切に思っているわ。何か困ったことがあったら、いつでも連絡して来て。出来る限り、力になるから」


「ありがとうございます、叔母上」


 少し恥ずかしそうに笑ったサレオ。この子もまた、辛い思いをして来たのだろう。どうかサレオも、幸せになってほしい。そう願わずにはいられなかった。

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