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あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


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第15話:マリアの思い~アマリリス視点~

 マリアの気持ちを思うと、胸が張り裂けそうになる。あの子はずっと、サリーの事を見ていたのだろう。家族から冷遇され、4年もの間激痛に耐える娘の姿を、ただ見守る事しかできなかっただなんて。


 どれほど辛かっただろうか…


 必死に助けを求めてきたマリアに、こんなギリギリになるまで気が付いてあげられなかっただなんて。ともに生まれ、育った仲なのに。


 私達は双子だ、誰よりも強い絆で結ばれていたはずなのに…


 自分の不甲斐なさに、涙が溢れだす。


「マリアは他国で暮すあなたに、助けを求めたのね…私も子供がいる身だから、マリアの気持ちは痛いほどわかるわ。お腹に宿ったその日から、この子を幸せにしたい、苦労なんてさせたくない、たとえこの命に代えても…


 そう願うものなのよね。マリア、サリーちゃんを妊娠した時、とても幸せそうだったのよ。まだ見ぬ我が子の未来を夢見て、よく2人で話をしたものだわ。


 きっとマリアは、自分の命と引き換えになってしまったけれど、サリーちゃんを生んだことに後悔なんてしていなかった。


 でも…


 今までのサリーちゃんの生活を見ていたマリアは、きっと絶望したわよね。大切に育てるはずだったサリーちゃんが、まさかこんな酷い扱いをされていただなんて…


 私はマリアの親友なのに、サリーちゃんを守れなかった…きっとマリアは、私にも絶望しているわよね…私は親友失格だわ」


 マーガレットも大粒の涙を流した。本当は分かっている、この子は王妃だ。己の感情だけで、サリーを守れないことくらい。でも…もう少しサリーを気にかけてあげて欲しかった。


 そっとマリアの写真を取り出した。ほほ笑むマリアの瞳からは、血の涙は消えている。マリアも納得してくれたという事なのだろう。


「それがアマリリスが言っていた、マリアが血の涙を流していると言っていた写真?本当に血の涙を流しているのね。それに、とても悲しそうな顔をしているわ」


「あなた、何を言っているの?今はもう血の涙なんて流していないし、にっこりとほほ笑んでいるわよ…」


 マーガレットの言った意味が分からず、反論した。間違いなく、笑顔のマリアだ。


「え…でも…」


 そっと写真を手に取ると、固まっているお義兄様に写真を見せたマーガレット。


 その瞬間、お義兄様がガタガタと震えだしたのだ。


「…マリア…君は…私を恨んでいるのかい…どうして…私は…」


「公爵、どうしたの?落ち着いて」


 必死にマーガレットがお義兄様をなだめている。この人には、この写真がどう見えているのだろう。


「お義兄様には、どのようにマリアが見ているのですか?」


「わ…私には…血を流して倒れているサリーを…マリアが…血の涙を流し悲痛な表情を浮かべながら、サリーを抱きしめている姿が…どうしてだ?私はずっと…マリアを苦しめていたのか?マリアはサリーを、愛していたというのか?そんな事は…」


「お兄様の見解など、今更もうどうでもいいです。とにかく、サリーはもらっていきますね。それでは、私はサリーを連れにあの子の部屋に向かいますので。お兄様、この契約にサインした事、忘れないで下さいね」


 たとえお兄様が自分の過ちに気が付いたとしても、そんな事はもうどうでもいい。もう二度と、この愚か者にサリーを会わせたくはない。


 早くこの居心地の悪い屋敷から、サリーを助け出さないと。


「待って、アマリリス。あなたの気持ちも理解できるわ。でも、サリーちゃんはずっとジョージの事を大切に思ってくれていたの。もしあの子がこの国に残る事を選んでくれたら、その時は必ずあの子を幸せにするわ。


 だからどうか、サリーちゃんに選択肢を与えてあげて。お願い」


 必死にマーガレットが頭を下げている。正直サリーを何が何でも連れて帰りたい。でも…確かにサリーの気持ちが一番大切だ。私ったら頭に血が上りすぎて、先走ってしまったわ。


「わかったわ、それじゃあ、サリーに決めてもらいましょう」


 もしサリーがこの国に残りたいというのなら、養子縁組の話は一旦白紙にしないといけない。とはいえ、どちらにしろこんな屋敷には置いておけない。その時は、サリーにとって最善の方法を考えないと。

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