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あなたに全てを捧げてきたけれど…これからは自分の為に生きます  作者: Karamimi


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第14話:私がここに来た理由~アマリリス視点~

 裁判所につくと、すぐに手続きを開始した。出された書類にサインをしていく。


「これで全てになります。承認がおりましたら、また連絡させていただきます」


「ありがとうございます」


 これで問題なく承認が下りるはずだ。それにしてもこうもあっさり、実の娘を手放すだなんて、この男、本当に最低だ。マリアはどうしてこんなクズを、愛してしまったのだろう。そのせいでサリーは…


 もうこの男の事を、考えるのはやめよう。


 再び馬車に乗り込み、公爵家に帰ってきた。


「おかえりなさい、ローレティエン公爵、アマリリス。それで、本当に養子縁組を進めてきたの?公爵、本当にそれでいいのですか?サリーちゃんはあなたの…」


「サリーのせいで、私はずっと不幸だった!アマリリスがあの厄介者を連れて行ってくれるんだ!王妃殿下、どうかもう我が家の事には、口を挟まないで下さい。そもそもあなたの息子が、サリーを拒んだのでしょう」



 まだお屋敷で待っていたマーガレットに、はっきりと告げるお義兄様。確かにマーガレットに、とやかく言われる筋合いはない。


「マーガレット、あなただってわかっているのでしょう?こんな血も涙もない男の傍にいても、サリーは幸せになれない事を。心配しないで、私がこれから、愛情を持って育てるから。


 マリアもきっと、それを望んでいるしね。そうそう、お義兄様、私からもお願いがあるのです。この契約書にサインをして下さいますか?」


 裁判所に行っている間に、執事に作ってもらった書類を、お義兄様に渡した。そこには今後一切サリーに関する事に、口を出さない事。サリーに絶対に会いに来ない事。今日から私の元でサリーは過ごすことが記載されている。


「こんなものわざわざ書かなくても、私はサリーには関わらない」


「分かっておりますわ。ですが、念のためです」


 お義兄様がマリアをどれほど愛していたか、知っている。実の娘を恨んでしまうほど、この人はマリアを溺愛していたのだ。だからこそ、気が変わらない事が一番心配なのだ。


「サインすればいいのだな。わかった」


 何のためらいもなく、サラサラとサインをするお義兄様。これでこの男は、もう二度とサリーには近づけない。


「それじゃあ、サリーは連れていくわね」


「待って、アマリリス。ずっと気になっていたことがあるの。どうして急に、この国に来たの?マリアが亡くなった時、お葬式に参列したっきりこの国には一切来なかったのに。それなのに、どうしてこのタイミングで?」


 確かにどうして私がこのタイミングで来たのか、気になるところだろう。サリーとの養子縁組の手続きも終わったし、お義兄様からサインももらった。


 もう話してもいいか…


 ソファに腰を下ろすと、近くに置いてあったお茶を一口飲んだ。


「私がどうしてこの国に来たかって?それは…マリアに強く訴えられたからよ」


「マリアにだって!一体どういうことだ!」


 お義兄様が興奮して立ち上がった。この男、マリアの事になると目の色が変わるのね。


「マリアが亡くなってから、なぜか時々夢に出てきていたの。毎回悲しそうな顔で私を見つめていたわ。きっと幼い子供と愛する夫を残して逝ってしまった事に、罪悪感を抱えているのだろう。


 ずっとそう思っていたの。でも…あの時から、マリアは私にSOSを送っていたのかもしれない。


 そんな中、1週間前から毎日毎日マリアが夢に現れるようになったの。何かを必死に訴えてくるのだけれど、声は聞こえなくて。


 マリアの家族に、何か良くない事が起こっているのでは?そう思ったのだけれど、まだ確信が持てなくて。でもね、3日前に、ついにマリアが声を発したの。


 “お願い、サリーを…私の愛する娘を助けて…このままだとあの人に…殺されてしまう…”


 そう呟くと、マリアは瞳から一筋の血の涙を流したわ。その後すぐに飛び起きたのだけれど、あまりにリアルで…


 あり得ないかもしれないけれど、私の部屋に飾られているマリアの写真も、血の涙が流れていたわ。その瞬間、いてもたってもいられなくなって、夫に夢の件を話して急いでこちらに来たの。


 やはり、マリアが言っていたことは、本当だったのね。あの子は必死に、愛する娘を守ろうとしていたのよ」

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