ジョージ殿下とサリーのIFストーリー~ジョージ視点~【21】
「それではこれで、貴族会議を終了する」
父上の挨拶で、会議は終了した。今頃メリンダ嬢は逮捕され、地下牢に連れていかれている頃だろう。この後裁判所に、書類の提出を行わなければいけない。
既に証拠はそろっているし、明後日には判決が出るだろう。
そう、我が国では裁判とは形だけで、実際には貴族や王族が判決を下すのだ。今回の話し合いで、メリンダ嬢には強制労働施設に行く事で話はまとまった。国外追放や修道院という話もあったが、あの女を野放しになんて出来ない。
きっとうまく逃げ出し、サリーに刃を向けるだろう。さすがに極刑には出来ない以上、厳しい監視下に置かれる強制労働施設が一番安全なのだ。あそこなら厳しい警備をかいくぐる事は、まず不可能。
死ぬまでずっと、施設から出る事が出来ない過酷な場所なのだ。そこで一生、自分の行いを反省すればいい。僕はそう思っている。
ふとローレティエン公爵の姿が目に入った。
「ローレティエン公爵、先ほどはサリーの為に、メリンダ嬢の厳罰を求めて下さり、ありがとうございました」
ローレティエン公爵に向かって、頭を下げた。
「ジョージ殿下、頭をあげて下さい。こちらこそいつもサリーに寄り添い、守って下さりありがとうございます。正直私にメリンダ嬢を責める権利などない事くらい、分かっているのです。ですが…サリーが苦しみながら魔力を提供する姿を見たら、どうしても感情が抑えられなくなって…
マリアがサリーを王太子殿下の婚約者にはしたくないと言った理由が、よく分かりました。大切な娘に、あれほどの苦痛を与えたい親などいないでしょう。サリーがずっと苦しんでいたのに、ガリガリに痩せ細り、髪も肌もボロボロになっていたのに、私は気に懸けるどころか…
本当にダメな父親です。こんな父親の顔なんて、もう二度とサリーは見たくはないでしょう」
切なそうに呟くローティエン公爵。
「それでも今日、あなたがサリーを思い、意見した事実は変わりません。いつかサリーも、あなたの事を受け入れる日が来ると、僕は信じています。どうか公爵も諦めずに、いつサリーに会っても恥じない様に生きて下さい。
それではこれで失礼いたします」
公爵に頭を下げて、その場を後にする。
そして3日後
「メリンダ・ファッショレを国家反逆罪及びサリー・ローレティエンに対する侮辱罪で、強制労働刑に処する。またファッショレ侯爵家は、サリー・ローレティエンに18億ゼニーの慰謝料を支払う事を命じる」
多くの貴族が見守る中、メリンダの判決が読み上げられた。
「どうして…どうして私が強制労働刑に処されないといけないのよ…私はただ、王妃になりたかっただけなのに…どうして…」
とても貴族令嬢とは思えない程ボロボロの服を着たメリンダ嬢が、ブツブツと呟いている。
「ジョージ様、助けて…私はただ、あなた様を愛していただけなのに…お願い、嫌よ。強制労働なんてしたくない。私は悪くないわ」
僕の姿を見つけたメリンダ嬢が、フラフラとこちらにやって来ようとしたのだが、すぐに護衛に止められた。そんなメリンダ嬢を睨みつけ、無言で裁判所を後にした。
ちなみにサリーに暴言を吐いていた令嬢たちも、名誉棄損で一緒に訴えた。彼女たちは罰金刑になったが、それを知った家族たちは顔面蒼白。自分の家を守るために、彼女たちをこの国で最も厳しいと言われている、北の修道院に入れる事を決め、早々に入れられたらしい。
彼女たちは何度も何度も涙を流し、サリーに謝罪の言葉を述べていたが、今頃そんな事をしても後の祭りだ。自分の身分もわきまえず、サリーに暴言を吐いた報いは、しっかり受けてもらおう。
そして裁判後、すぐにメリンダ嬢は強制労働施設に送られた。相当抵抗した様で、かなり厳重な警戒の中、王宮護衛騎士団が責任を持って送ったとの事。
僕も施設に収監されるまで、定期的に魔道具を使ってその様子を確認し続けたほどに。収監が完了する姿を見届け、やっと肩の荷を下ろしたのだった。
これでやっと、メリンダ嬢の件が片付いた。
ホッと胸をなでおろしたのだった。




