ジョージ殿下とサリーのIFストーリー~ジョージ視点~【15】
翌日
「殿下、やっと全ての材料が揃いましたよ」
嬉しそうに僕の元にやって来たのは、王宮医師だ。サリーに飲ませていた薬の作り方を教えてから、なぜか僕に懐いている。正直医者共に懐かれても、嬉しくはないのだが…
「ありがとう、早速薬を作らせてもらうよ」
この薬は、非常に作り方が複雑で、僕も何度も何度も失敗しながら完成させたものだ。だが、この薬があれば、もう二度とサリーのように魔力を提供させられる令嬢はいなくなる。
そう、この薬は、魔力が欠乏している人に特化した薬なのだ。
早速作って行く。集中しないと失敗するため、真剣に作っているのだが…
「君たち、目障りだから少し離れてくれるかい?」
王宮医師たちが、僕にピッタリ寄り添い、僕の様子を伺っているのだ。はっきり言って、邪魔でしかない。
「申し訳ございませんでした」
すぐに離れる医師たち。それでも興味津々の様で、首を延ばしてこちらを見ている。
…まあいいか…
再び薬を作り始める。
そして…
「出来た!成功だ!」
「おめでとうございます、殿下。それでそのお薬は、一体何に効くのですか?」
「これはね、僕のように魔力が欠乏してしまう人向けの薬なんだ。後はここに、欠乏している人と血の繋がった人の血を1滴たらせば完成するよ」
「殿下と同じように、魔力が欠乏している人向けの薬ですか?ですが、今更その様な薬を作られても…もしかして、殿下の未来のお子様の為のお薬ですか?」
「そうだね、それもあるけれど…」
今まさに、必要としている人の為に作った薬だ。
早速瓶に詰めて、飲み方を細かく書いたメモ、さらに彼に宛てた手紙も書いた。これで彼も助かるといいのだが…
準備が出来ると、母上の元へと向かった。
「母上、これをサリーの叔母、アマリリス夫人に贈って頂きたいのですが」
「まあ、アマリリスに?あなた、アマリリスの事を知っていたのね。それで、これは一体何が入っているの?」
「大切なものですよ。急いで送りたいのですが」
「分かったわ、アマリリスに贈っておくわね。そうそう、あなたのお誕生日の時に話していたお茶会なのだけれど、来週開催する事になったわ。サリーちゃん、とても嬉しそうに今準備をしているわよ」
「そうですか。母上、いつもサリーの事を気にかけて下さり、ありがとうございます」
「あの子は私にとっても、娘みたいなものだもの。ねえ、ジョージ、いつまでサリーちゃんを王宮に置いておくつもり?あなたの気持ちもわかるけれど、そろそろ公爵家に帰した方がよいのではなくって?
あまり傍に置いておくと、サリーちゃんも公爵家に帰りづらくなるのではないかしら。とはいえ、公爵の元には返したくないという、あなたの気持ちをわかるけれどね」
母上が複雑な顔をしている。
「そうですね、ですがまだ、サリーは王宮で生活を始めて、10日余りしか経っておりません。魔力は回復しておりますが、まだまだ見た目もガリガリですし。せめて肉体的にも回復してから、公爵家に帰します」
サリーは僕の婚約者だ。それに公爵がサリーを嫌っている事は、周知の事実。サリーがずっと王宮にいても、きっと誰も何も言わない。だが…サリーと公爵、サレオ殿の事を考えると、ずっと王宮に置いておく訳にはいかないだろう。
それにまだ、全てが解決したわけではない。出来ればサリーを、全て解決してから帰したいと思っている。それまでに、何とか解決させないと。
そろそろあっちの方も、進めないと。
そう、メリンダ嬢の件だ。僕の16歳のお誕生日兼婚約者発表の日のメリンダ嬢の発言。あの後父上の元に、メリンダ嬢の発言を問題視している貴族たちから、何件も苦情が来たとの事。
父上もさすがにこのまま放ってはおけないとして、来週早々に、その件について話し合う事が決まっている。僕もあの日の音声を今、皆に聞いてもらえる様に手配を進めているところだ。
着々と準備は整っている。後はメリンダ嬢を、どこまで追い込めることが出来るかだ。




