ジョージ殿下とサリーのIFストーリー~ジョージ視点~【12】
「サリー、僕の為に4年もの間、魔力を提供してくれていたのだね。そのせいで、サリーがこんなにボロボロになってしまった。本当にすまなかった。これからはどうか、自分の事だけを考えて生活をしてほしい。
それが僕の願いでもあるのだからね。これからは沢山僕に甘えて。何でも我が儘を言ってほしい」
改めてサリーに謝罪をする。
「私はジョージ様のお役に立てて、嬉しいのです。ですからどうか、謝らないで下さい。それに今、私はとても幸せですので」
にっこりとほほ笑むサリー。いいや、まだだ。まだ君に満足してもらう訳にはいかない。まだまだやらなければいけないことが、たくさん残っているのだから…
「殿下、サリー様の薬の件、詳しく教えてください。あれほどまでに魔力が減っていたサリー様が、この短期間でここまで魔力を復活させるだなんて」
興奮気味に、医者が話しかけてきたのだ。今2人で大事な話をしているところなのに、空気の読めない医者だな。
「この薬の作り方のメモを後で渡すから、それで勘弁してくれ。それから、頼んでいた材料はそろったのかい?」
「いえ…今集めている途中でございます」
「そうか、至急頼む。それじゃあ、後でメモを渡すから、とりあえず下がってくれ」
医者を下がらせた後、改めてサリー方を向き直した。
「サリー、今後の事だが、魔力は回復した様だけれど、まだしばらくこの王宮で生活をしてくれるかい?君にはしばらく、ここでゆっくりしてもらいたいんだ」
「私は大丈夫ですが…その…ずっとお世話になっていては、迷惑になりませんか?」
「迷惑だなんて、とんでもない。正直僕は、ずっとサリーが傍にいてくれたら嬉しいと思っているくらいだよ」
だが、そういう訳にはいかないだろう。それでもしばらくは、王宮に置いておきたい。
「分かりましたわ、私はジョージ様の意見に従います」
「ありがとう、サリー。愛しているよ」
ギュッとサリーを抱きしめた。まだまだガリガリだが、王宮で栄養のある食事をしっかりとれば、きっと体も元に戻るだろう。
翌日、僕とサリーは正式に婚約を結んだ。これでもう、サリーは僕から離れる事はない。その事実が、嬉しくてたまらない。
だが、喜んでばかりはいられない。
その日の午後
「殿下、一体何の御用ですか?サリーの件は、好きにして頂いて構わないと申し上げましたよね」
僕はローレティエン公爵家を訪ねたのだ。そう、あるお願いをするために!
そんな僕に、不機嫌そうな顔で迎えた、ローレティエン公爵と息子のサレオ殿。正直僕の記憶の2人は、穏やかな表情のイメージしかなかった為、こんな恐ろしい顔の2人を見て固まってしまう。
そうだ…昔は2人ともこんな感じだったな。こんな不機嫌な2人に話をするのは気が重い。だが…これもすべて、サリーの為だ。
「ローレティエン公爵殿、サレオ殿、今日はどうしてもお願いがあって参りました。亡くなった夫人の部屋を、見せていただきたのです」
1度目の生の時、亡くなったサリーの母親は、サリーを助けるために血の涙を流しながら、必死に双子の妹に助けを求めた。その結果、サリーはマレリス王国に行く事になったのだ。
彼女の双子の妹の話を聞いた公爵とサレオ殿が、自ら夫人の部屋に入り、夫人の本心を知り、サリーと和解した。
だが今回の生では、きっと双子の妹は来ないだろう。このままいけば、夫人の気持ちを知ることなく、公爵とサレオ殿はずっとサリーを恨み続ける事になる。
サリーには、本当の家族の温もりを、そして亡き母親がどれほどサリーを愛していたかを知ってもらいたい。だからこそ、僕にはやらなければいけないのだ。
「ジョージ殿下、何をおっしゃっているのですか?その様な話なら、帰ってくれ!」
ものすごい剣幕で、公爵に追い出されてしまった。やはり僕では、無理なのか…いいや、一度断られたくらいで、諦める訳にはいかない。
翌日も、その翌日も公爵家を訪ねては、門前払いをくらう。それでも何度も何度も僕は、公爵家に足を運んだ。
だが、何度足を運んでも、公爵に追い払われる日々。でも、僕は絶対に諦めない。たとえ何年かかっても、絶対に夫人の意思を、僕が皆に伝える。
そんな思いで、今日も公爵家に向かった。
「ジョージ殿下、いい加減にしてください。何度来ていただいても、あの部屋は入らせません。さっさと帰ってくれ!」
いつもの様に、公爵に怒鳴られた。そんな中、僕に近づいてきたのは、サレオ殿だ。




