ジョージ殿下とサリーのIFストーリー~ジョージ視点~【11】
「父上、大切な話があります。よろしいですか?」
「ああ、ジョージか。構わないよ」
「あら、ジョージ、サリーちゃんの傍にいなくてもいいの?」
父上の部屋を訪ねると、母上もいた。ちょうどいい、2人に話しを聞いてもらおう。
「サリーは今、部屋で休ませております。父上、母上、サリーはどうやら極端に魔力が不足している事による、体調不良の様です。どうしてサリーは、あれほどまでに魔力が減っているのですか?」
さあ、真実を僕に話してくれ。もう僕は、16歳だ。真実を聞いてもいい年齢になった。真っすぐ父上と母上を見つめた。
「ジョージ、サリー嬢の症状に気が付いていたのかい?」
「ええ…ただ、気が付いたのは最近です。たまたま魔力の本を読んでいた時、魔力が減っている時の症状とサリーの症状が一致したので、もしかしてと思って」
「そうだったのだな…ジョージももう16歳だ、話しても問題ないだろう。実はお前は、12歳から魔力が不安定で、ずっとサリー嬢が魔力を提供してくれていたんだ。王族の男児は、魔力が不安定な者が多い。
特にジョージは魔力が歴代の王族よりも不安定で、かなりの頻度でサリー嬢はお前に魔力を提供していたのだよ」
父上が、ついに僕に魔力の提供の事を、話し出した。1度目の生の時と同じように、丁寧に話しをしてくれる父上。全て知っている内容だが、初めて聞いたようにあえて驚いたような表情を浮かべた。
「なるほど…だからサリーは、あんなに体調が悪そうだったのですね…全て僕の命を助けるために…それにしても、メリンダ嬢は自ら婚約者候補を辞退したのに、どうして僕と婚約したいと迫って来たのでしょうか?
自ら放棄したのに…父上、この件に関して、うやむやにするわけにはいきません。サリーに辛い思いだけさせて、自分は美味しいところだけ持って行こうとしたメリンダ嬢の行いは、許される事ではありません。
今日も皆の前で、あのような発言をしております。サリーの権利を侵害し、王族との約束を破ったメリンダ嬢には、何かしらの罰を与えるべきです!そうしないと、今後誰も王族の婚約者候補になってくれる人がいなくなります。
これは王家存続を揺るがす、大事件ですよ!」
「確かにジョージの言う通り、メリンダ嬢の行いは、目に余るものがある。侯爵以上の貴族たちからも、メリンダ嬢の日ごろのジョージとの距離感に、疑問を抱いている者もいるし…
だが、今回は無事ジョージもサリー譲と婚約を結んだことだし、大事にしなくてもいい様な気もするが」
「あなた、何を言っているの?メリンダ嬢はあの日、はっきりとジョージの婚約者候補を辞退したのよ。書面にも残っているわ。それなのに、サリーちゃんを差し置いてジョージに近づくだなんて。
私は到底許せる話ではないわ。魔力提供がどれほど辛いものか!私が一番よく知っているのだから」
母上が鼻息荒く、父上に迫っている。
「メリンダ嬢は、自分が僕の婚約者になりたい旨を、はっきりと僕に伝えていました。その映像も残っています。とにかく一度、貴族会議の場でその件を話し合いたいのです」
「ジョージの気持ちは分かった。確かにジョージも、メリンダ嬢に迫られた被害者でもあるからな。一度この件は、貴族会議で話をしよう」
「ありがとうございます、父上。それでは僕は、これで失礼します」
部屋を出ると、今度は医者の元に向かい、サリーの薬を作った。
「殿下、昨日から魔力生成の薬を作っている様ですが…その、効果の方は…」
恐る恐る僕に話しかけてくる王宮医師。
「効果か…昨日からサリーに飲ませているが、サリーの魔力がどれくらい戻ったのか、確認していなかったな。そうだ、一度サリーの魔力量を見てくれるかい?サリーは僕のせいで、随分と魔力が減ってしまっている様だし。この薬でどれくらい効果が出ているのか、知りたいんだ」
「…承知いたしました。では、食後に伺います」
一体何をサリーに飲ませているのだろう、そんな言葉が聞こえてきそうな表情を浮かべていた王宮医師たち。とはいえ、僕は王太子だ。僕にとやかく言ってくる者はいない。
さあ、サリーの元へ向かわないと!
サリーの部屋に入ると、まだスヤスヤと眠っていた。やはり今日は、少し無理をしてしまったのだろう。それでも随分と顔色は良くなってきたな。髪も母上から貰ったオイルを使っているせいか、少し艶が出てきた。
それでもまだ、ガリガリだが…
そっとサリーの頭を撫でた時だった。サリーの瞼がゆっくりと上がり、青い瞳と目が合う。
「サリー、起こしてしまったかい?ごめんね」
「とんでもありませんわ。ごめんなさい、ジョージ様がいらっしゃっている事に気が付かず、眠っておりました」
「そんな事は気にしなくてもいいのだよ。さあ、食事にしよう」
早速サリーと一緒に、夕食を食べた。
食後医師たちが見守る中、サリーが僕の作った薬を飲む。すると今日も、ピンク色の光にサリーが包まれたのだ。
「これは…サリー様の魔力が、ほとんど回復しております…一体どういう事でしょうか?サリー様はいつも、魔力不足だったはずなのに…」
信じられないといった顔をしている医師たち。そりゃそうだ、この薬は、僕が何年もかけて開発したのだから、効かない訳がない。




