ジョージ殿下とサリーのIFストーリー~ジョージ視点~【10】
「そんなの決まっておりますわ。私がジョージ様のお嫁さんになる事ですわ。ジョージ様と私は、愛し合っているのです。ですから、私がジョージ様のお嫁様になる事は、ごく自然でしょう?でも、それを皆様が許してくれない。だから少し時間が欲しいと言う事ですよね」
どこまでも愚かな女だ。こんなふざけたことを、僕の誕生日兼婚約者発表の日に言っているのだから。
さすがに周りの貴族たちも、呆れていた。
「メリンダ、お前は一体何を言っているんだ。ジョージ殿下、サリー嬢、娘が申し訳ございませんでした。メリンダ、もう帰るぞ」
真っ青な顔をしてやってきたのは、彼女の父ファッショレ侯爵だ。急いでメリンダ嬢を回収する。
「どうして私が、もう帰らないといけないのよ。放してください、お父様」
かなり抵抗していたメリンダ嬢だが、父親に引きずられるようにして退場して行った。本当にどうしよもない女だな…
「サリー、見苦しいところを見せてすまなかった。僕はメリンダ嬢に興味もないし、正直今は嫌悪感すら抱いている。僕が愛しているのは、サリーだけだから、安心してほしい」
不安そうな顔をしたサリーの肩を抱き、はっきりと告げた。もう二度と、サリーを不安にさせたくはない。
「お気遣いいただき、ありがとうございます。私もジョージ様を、お慕いしておりますわ…」
少し恥ずかしそうに呟いたサリー。なんて可愛いんだ。とにかくあんな女に、サリーは絶対に傷つけさせない!何よりも、あの女を僕は絶対に許さない。今度こそ、僕の手で叩き潰してやる!
「サリー様、大丈夫ですか?まさかメリンダ様が、あそこまで頭が弱いお方だっただなんて…」
「本当ですわ。どうしようもない人ですわね」
「ファッショレ侯爵は、娘に一体どんな教育をしたのかしら?」
「よくもサリー様の前で、あのような事が言えたものだわ。サリー様がどんな思いで…いいえ、何でもありません。とにかく、殿下が味方でいて下さってよかったですわ」
いつの間にか、かつて婚約者候補に名前が挙がっていた令嬢たちが、僕たちの前に集まって来た様だ。
「皆様、私の為にありがとうございます。ですがきっと、メリンダ様はそれだけジョージ様をお慕いしていたのではないでしょうか?」
「サリー様はどこまでもお優しい方なの?あんな酷い女にまで、気を使うだなんて」
心底驚いた顔をしている令嬢たち。
「私はそんな…ただ、ジョージ様はとても魅力的な方なので、好きになるのもわかるなっと思っただけで…」
「サリー様は、とてもジョージ様の事を大切に思っていらっしゃるのですね。サリー様の一途な思い、私はとても素敵だと思いますわ」
「私もです。良かったら今から、少しお話をしませんか?お菓子でも食べながら。殿下、少しサリー様をお借りしてもよろしいですか?」
「ああ、僕は構わないけれど…サリーはどうしたい?」
「私なんかでよろしければ、よろしくお願いします」
「それではあっちで話をしましょう。行きましょう、サリー様」
令嬢たちに連れられて行ったサリー。どうやら僕がお膳立てをする必要はなさそうだな。1度目の生の時、彼女たちもサリーの事を気に懸けながら、何もできなかったと後悔していた。そんな彼女たちの無念も、今回の生で解消されるだろう。
楽しそうに話をする令嬢やサリーを見ながら、ついそんな事を考えてしまう。母上も
「あら?既にサリーちゃん、あの子たちと仲良しじゃない。良かったわ。でも、お茶会はしっかりセッティングするわね」
そう言って笑っていた。1度目の生の時は、母上にも沢山苦労をかけた。たくさん傷つけてしまった。だからこそ、今回の生では、母上にも笑顔でいてほしい。そう願っている。
「サリー、そろそろお開きの時間だ。王宮に戻ろうか」
「まあ、もうそんなお時間なのですね。皆様、楽しい時間をありがとうございました」
「こちらこそ、サリー様とお話が出来て、とても楽しかったですわ」
「王宮のお茶会、楽しみにしておりますね」
「また沢山お話をしましょうね」
令嬢たちが、次々とサリーに挨拶をして帰っていく。サリーもとても嬉しそうだ。
「サリー、令嬢たちと仲良くなれてよかったね。さあ、行こう」
サリーの手を引き、王宮へと戻ってきた。
「サリー、今日は疲れただろう。すぐに着替えて、ゆっくり休んでくれ。君たち、サリーはまだ体調がよくなさそうだから、夕食の時間までは、ゆっくり休ませてくれ。くれぐれも無理をさせないように、頼んだよ」
「承知いたしました」
使用人たちにサリーを任せると、部屋を後にする。薬を飲んでいるとはいえ、4年もの間僕に魔力を提供してきたのだ。今日は仕方ないにしろ、魔力が戻るまでは、極力部屋で過ごさせるようにしよう。
魔力回復には、睡眠と栄養が不可欠だからな。
さてと、次は…




