ジョージ殿下とサリーのIFストーリー~ジョージ視点~【5】
サリーが少し困った顔をしている。この子は自分さえ我慢すればいい、ずっとそう思って生きてきたせいか、人に頼る事をあまりしない。これからは、僕に頼ってほしい。
1度目の生の時、ルーカス殿がやっていたことを、今度は僕がしたい。
ルーカス殿か…
「サリー、君は明日、僕の婚約者になるのだよ。こんなにやつれてしまって…君がこんな姿になるまで放置した、僕の責任でもある。だからせめて、サリーが元気になるまでは、僕がお世話をしたくてね。
とてもではないが、ローレティエン公爵家にいたら、体調も良くならないからね。既に公爵には話をしてあるから。
さあ、食事にしよう」
早速使用人たちが準備した料理を、サリーの口へと運ぶ。特に魔力の回復に効果のあるメニューを中心に準備させた。早速ステーキをサリーの口に運んだ。
だが…
「申し訳ございません、あまり食欲がなくて」
申し訳なさそうに頭を下げるサリー。そうか、体調が悪すぎて、普通の食事が出来ないのか。
「すまない、気が付かなくて。果物なら食べられるかい?スープはどうだい?」
「はい、スープと果物なら」
食事もろくにとれない程、サリーは弱り果てていたのか…なんて事だ、ショックで言葉を失いつつも、それでもサリーに果物とスープを与えた。
お腹がいっぱいになったのか、ウトウトとし始めたサリー。
「サリー、眠いのだね。ゆっくり休んでくれ」
「ですが…」
「君の今の仕事は、体を休める事だよ。さあ、目を閉じて」
ガリガリに痩せたサリーの手、骨と皮しかない、それでも温かい。ふとサリーの方を見ると、スヤスヤと眠っていた。ガリガリに痩せ、頬はこけ、顔は青白い。髪にも艶がなく、このまま目覚めないのではないか…そう思うほど、サリーはボロボロだ。全て僕のせいだ、4年もの間、僕に魔力を与えたせいで…それなのに、僕は…
サリー、すまない。僕が愚かだったばかりに。もう二度と、君には痛い思いも辛い思いをさせないから。だからどうか、僕の傍にいて。君の願い、何でも叶えるから。今度こそ間違えないから…
サリーの手を握りながら、1人涙を流す。
だが、泣いている場合ではない。僕にはやらなければいけない事が、沢山あるんだ。
「君たち、すぐにサリーの為に、今王都で人気の本を集めてくれ。それから、サリーの好きなお菓子とカモミールティの準備を。もしサリーが目覚めても、ベッドから出ない様に伝えてくれ。
サリーは今、非常に体が弱っている。絶対に無理はさせないでくれ。サリーの専属メイドたちが戻るまで、頼んだよ。サリーの専属メイドが戻ってきたら、彼女たちの指示に従ってくれ」
「「「承知いたしました、殿下」」」
正直今、サリーの傍を離れたくはない。だが、ジッとしている訳にはいかない。部屋から出ると、まずは王宮医師の元へとやって来た。
「君たち、薬を2種類作りたい。ここに書かれている材料を、至急集めてくれるかい?集まったら、すぐに報告してくれ。とはいえ、すぐにそろわないものもあるだろうが、できるだけ急いでくれ。
こっちの薬は、すぐに材料が揃うだろう。今すぐ準備をしてくれるかい?」
「殿下、一体どうされたのですか?急に薬を作るだなんて…」
「大切な薬なんだ!」
「…承知いたしました。こちらの材料は今すぐ準備をいたします。こちらはお時間を頂けますか?」
「ああ、構わない。必ず集めてくれ」
「承知いたしました」
医師たちが慌ただしく動いている。そしてすぐに材料が集められたのだ。早速その材料を使って、ある薬を作る。もう1つの薬に比べれば、比較的簡単な薬、失敗することなく一発で完成させた。
「殿下、この薬は一体なんですか?」
「これは減ってしまった魔力を、回復させる薬だよ。少し苦いが、効果は抜群なんだ」
養子として迎えた義理の息子、ダニエルに魔力を提供してくれた令嬢の負担を少しでも軽減したくて開発した薬だ。従来の薬に比べると安全性も高く、副作用もほとんどない。その上、従来の薬とは比べ物にならない程、魔力を回復させてくれる。
これをサリーに飲ませれば、彼女の負担も軽減するだろう。早速出来立てほやほやの薬を持って、サリーの元へと向かった。
薬を作るのに時間がかかりすぎてしまったな。既に太陽が沈みかかっている。サリー、もう起きているかな?




