第107話:僕が出来る事~ジョージ視点~
「ジョージ殿下」
この声は!
声の方を振り向くと、サリーとルーカス殿が立っていたのだ。
「サリー、どうして…」
「今日ジョージ殿下と王妃殿下が帰国されると聞いて、お別れを言いに来たのです。ルーカス様に聞きましたわ、メリンダ様の件、色々と調べて下さりありがとうございました。あなた様は非常に優秀なお方です。きっとミレンズ王国を、もっともっと良い国にして下さる事でしょう。
あなた様のご活躍を、この国から応援しております。どうか…どうか幸せになって下さいね」
今にも泣きそうな顔で、サリーが訴えてきたのだ。
「ありがとう、サリー…きっとミレンズ王国を、もっと良い国にするよ。いつかサリーがミレンズ王国に遊びに来た時、素敵な国になりましたねと言ってもらえる様に」
「はい、期待しておりますわ。どうかお元気で。お体には十分気を付けて下さいませ」
「サリーもね。ルーカス殿、どうかサリーの事を、幸せにしてやってください。お願いします」
ルーカス殿に頭を下げた。今僕にできる事は、これくらいだから。
「もちろんです、サリーの事は僕に任せて下さい。必ず幸せにしますから」
サリーの肩に手を置き、穏やかな表情を浮かべるルーカス殿。サリーも幸せそうな顔をしている。そんな2人を見ていると、胸が張り裂けそうになる。
「それではこれで失礼いたします。皆様、本当にお世話になりました」
皆に向かって一礼すると、そのまま馬車に乗り込んだ。
母上が少しサリーと話をしている様だが、何を話しているかはわからない。しばらくすると、母上も馬車に乗り込んできた。
そしてゆっくり走り出す馬車。皆がこちらに向かって手を振ってくれる。僕も必死に手を振った。
もう二度と、サリーに会う事はないかもしれない。そう思うと、最後に少しでもサリーの姿を、目に焼き付けておきたい。そう思い、サリーが見えなくなるまで見つめ続けた。
「ジョージ、あなたにとってサリーちゃんとの別れは、辛いかもしれない。でも、いつかきっと、笑顔で再会できる日が来るわ。その為にも、立派な王にならないとね」
母上が僕の肩に手を置きながら、そう呟いたのだ。
「ええ、もちろんです。サリーともし再会できることがあれば、その時に胸を張れるように、僕は人生をかけて、今まで以上に魅力的な国を作って行きます。それがサリーの、願いでもありますから」
物心ついた時から、ずっと傍にいてくれたサリー。どんな時でも僕に寄り添い、いつも僕の事だけを考えてくれていた大切な子。
サリーは最後まで、僕の事を気にかけてくれた。その優しさが、僕の胸に突き刺さる。僕が愚かでなければ、きっとサリーはずっと僕の傍にいてくれただろう。もし僕が、メリンダ嬢にうつつを抜かさなければ、今頃は…
もしもなんて、存在しない。どんなに後悔しても、過去には戻れないのだ。だからこそ、前を向いて進むしかない。
正直しばらくは立ち直れそうにない、だが、それでも僕は、前を向いて進まないといけない。サリーがくれた沢山の思い出と優しさ、そして最後に僕の為に残してくれた
“ミレンズ王国をもっと素敵な国にする”
という思いを胸に、これから頑張っていこう。
サリー、どうか幸せになってくれ。君の幸せを、遠くからずっとずっと願っているから。
さようなら、サリー。
ジョージ殿下は帰国後、国をもっともっと良くすることに己の人生のすべてを捧げました。その結果、ミレンズ王国は今以上に豊かな国になりました。特にサリーが気にかけていた孤児院の改善、王族の婚約者候補に関する改革などに力を入れていたとの事です。
貴族からはもちろん、平民からも愛される国王になりました。また彼は、貴族たちの強い反対を押し切り、従兄弟(父親の弟の子供)の子供を養子に向かえ、自身は生涯独身を貫いたとの事です。
あと少しで完結です。もう少しだけ、お付き合いいただけると嬉しいです。
また本編終了後、ジョージ殿下とサリーのIFストーリーを投稿したいと思います。もし興味がある人は、引き続きIFストーリーも読んで頂けたらと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします。
※次回、最終話です。
サリー視点です。
よろしくお願いいたします。




