第104話:2人の時間
「そうだね、サリーは散々今まで辛い思いをして来たのだから、幸せになれない訳がないよね。サリー、君をあの女から守れなくてすまなかった。僕が少し油断をしたばかりに。もう二度と、誰にもサリーを傷つけさせないから。
サリー、愛しているよ。これからもずっと僕の傍にいてくれるかい?」
「もちろんですわ、これからもずっと、ルーカス様のお傍におります」
笑顔でルーカス様に伝えた。ゆっくりと私から離れたルーカス様、まだ瞳から涙が流れている。彼の涙を、そっとぬぐった。
ゆっくりとルーカス様の顔が近づいてきて、唇に柔らかくて温かい感触が。
「サリー、僕の可愛いサリー。もう離さないよ!」
「私もルーカス様から離れません。ずっと一緒です」
再び強く抱き合い、何度も口づけを交わした。その時だった、グルグルと私のお腹が鳴ったのだ。
ちょっと、どんなお腹をしているのよ!今いいところなのに、空気を読んで欲しいわ。恥ずかしくて俯く事しかできない。
「ごめんね、サリーはまだ体調が万全ではないのに、感情が抑えられなくて。すぐに夕食にしよう」
「いえ…私は別に…」
お腹は空いているが、我慢できない程ではない。それにもう少し、ルーカス様と甘い時間を…そう言いたかったが、言葉が出てこない。
モジモジしている間に、食事の準備が整い、今回もルーカス様が食べさせてくれる。
デザートまでしっかり食べた私は、すぐに眠くなってしまった。魔力が欠乏している為仕方がない事なのだが、食べてすぐに眠くなるだなんて、なんだか恥ずかしい。
「サリー、眠いのだね。湯あみはどうする?今日は体をふくだけにしておくかい?」
「いえ、体も随分動くようになったので、湯あみをしたいですわ」
「わかったよ、それじゃあ、着替え場まで僕が運ぼう。さすがに湯あみは手伝えないからね」
私を抱きかかえると、湯あみ場までルーカス様が連れて行ってくれる。まさに、至れり尽くせりだ。それにしても、どうしてルーカス様は、私が考えていることがわかるのかしら?
「サリー、大丈夫かい?あまり長風呂は良くないから、早めに出てい来るのだよ。君たち、サリーの事を頼んだよ」
「「「はい、承知いたしました」」」
使用人たちに私を託すと、ルーカス様は出て行った。
服を脱ぎ、湯あみをする。やはり湯あみは気持ちいいわ。それにさっぱりするし。
湯あみが終わり、服を着た後、そのまま部屋に戻ろうとしたのだが…
「お嬢様、勝手に動いてはいけません。すぐにお坊ちゃまを呼びますので」
なぜか使用人たちに怒られてしまった。そしてすぐにやって来たルーカス様に抱きかかえられ、ベッドに寝かされたのだが…
なぜか私の隣にくっ付くように、もう一つベッドが置いてあったのだ。
「サリーの容態が急変するといけないから、僕も今日から君の部屋で寝る事にしたんだ。大丈夫だよ、結婚するまで、手は出さないから。叔父上や叔母上、公爵殿には許可をとったから、安心して。
それから、サリーが元気になったら、正式に婚約を結ぶ方向で話が進んでいるよ。せっかく君の父上も我が家にいるんだ。皆がいる場で正式に婚約しようという話で今、まとまっているよ」
そう教えてくれたルーカス様。いつの間に、そんな話をしていたのだろうか?そう思うほど、話しが進んでいる。もしかしたら私が眠っている間に、話しが進んでいたのかもしれない。
「サリー、おいで」
ベッドに入り込んだルーカス様に、引き寄せられた。どうやらルーカス様も湯あみを済ませている様で、いつも以上にいい匂いがする。
「こんな風にルーカス様と一緒に寝られるだなんて、なんだか不思議な感じですね」
「そうだね、まるで夢のようだ。サリーが隣にいてくれるだなんて。明日になったら全て夢でした!何てことは、ないよね」
「そんな事はありませんわ。ルーカス様、沢山不安にさせてごめんなさい。もう二度と、不安にはさせませんから」
「その言葉、忘れないでね」
にっこりと笑ったルーカス様。それは一体、どういう意味だろう…
それにしても、眠くてたまらない。魔力が欠乏していることに加え、ルーカス様の温もりがさらに安心感を与えてくれる。
もうダメだ…
「おやすみなさい、ルーカス様…」
「おやすみ、サリー」
私のおでこに口づけをするルーカス様。
私もルーカス様に…そう思ったのだが、眠すぎてそのまま意識を飛ばしてしまったのだった。
次回、ジョージ視点です。
よろしくお願いします。




