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Visitors From Another World〜世界を渡る魔法で旅立つと知ってる世界でした〜  作者: 重力 リノ


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EP.2-Side.L 冒険者ギルドで

 あれからセレナさんが冒険者ギルドへ行くと言うことを聞き、レオンと俺も同行することになった。友人と待ち合わせをしているらしく、待ち合わせ場所へ移動して待っている。


「やっほ〜セレナ!おまたせ〜……ってライト君にレオン君じゃん!久しぶり!」


 待ち合わせ相手はシャルド・リールさんだったらしい。黒髪ウルフカットで赤と青のオッドアイを持つ男の子っぽいかっこいい感じの女の子だ。


「シャルちゃん!私達もさっき来たところよ。」


「ライト君達はアレ?カフェ巡り?」


「え?シャルドさんなんで知ってるの?」


 俺の驚きを見てシャルドさんは笑っている。


「ライト君、君カフェの妖精って言われてるんだよ。学園じゃ有名だよ?」


 そうだったのか……それにしても妖精って……


「とりあえずもう昼過ぎだし、飯食いに行こうぜ。シャルドは飯食ったか?」


「元々セレナと合流してからご飯食べる予定だったから、ボクもまだだよ。」


 シャルドさんは「お腹空いちゃった」となんとも言えない表情でお腹を擦る。


「それは良かった。しかしどうする?冒険者ギルドにあるらしい食堂で食べてもいいし、途中のレストランとかでもいいけど。」


 レオンが考えながら候補を上げる。


「この近くからギルド方面に乗合魔導車が出てるから、それでギルドに行っちゃおう。ちょうど5分後に一本あるからそれに乗ろう。」


 シャルドさんが懐中時計を見ながらそう提案する。


 乗り場に移動してみんなで乗合魔導車を待つ。


「乗合魔導車ってどこの工房が作ってるんだろう。」


「この路線のは確かタキメトロ工房だったかな。他の路線だとストラーダ工房のもあるよ。」


 タキメトロ工房かぁ。特徴的な見た目で目を引くんだよなぁ。


「ライト君、パフェを食べていた時みたいにすごく目がキラキラしてるけど、魔導車も好きなんですか?」


 セレナさんが訊いてくる。


「魔導車は夢でしょ!あの動力機関は芸術だよ!」


 シャルドさんが到着した事を教えてくれて、乗合魔導車に乗り込んで、ギルドへ向かった。


◇◇◇◇


冒険者ギルド ゼーリア支部


「はぁ……もっと乗っていたかった……」


 3人は俺の言葉を聞いて苦笑いしている。


「受付で仕事してるルイーズに声を掛けてくるね!ルイーズがご飯まだならルイーズも誘ってくる!」


 シャルドさんが受付に向かったので、俺達は食堂へ向かう。


「それにしても広いですね。」


 セレナさん周りを見渡しながら言う。確かに広い。ゼーリア支部の構造はエントランスの奥に受付があり、入って左側に依頼を掲示するボード、右側に食堂へ入るための扉がある。食堂は冒険者がごった返しているエントランスとは隔離されていて、冒険者でなくても利用できる。


「とりあえず席取って2人を待とうぜ。」


 レオンが5人座れるテーブルに座る。セレナさんと俺も続いて座って待つことにした。


 そんなに待たずにシャルドさんが女性を連れて戻ってきた。彼女がルイーズさんらしい。


「ルイーズ連れてきたよ〜。」


「シャル!?レオンとライトがなんでいるの!?」


 シャルドさんが話してなかったらしく、ルイーズさんが驚いている。


「私が誘ったの。午前中に偶然会ってね。午後に冒険者ギルドへ行くって話したら、興味あったらしくて。」


 セレナさんが説明してくれた。


「そうなのね。興味持ってもらえるのは良いことだし、2人も今日はよろしくね。」


 美人の笑顔ってなんで眩しいんだろう。


 みんなでわいわいご飯を食べて、午後のメインイベント。セレナさんとシャルドさんが冒険者登録するらしいので、俺とレオンはその見学。


「2人も冒険者登録しちゃったら?高等部入る前に登録しておいた方が楽よ?」


 ルイーズさんが提案してくれる。


「レオンどうする?俺らも一緒にさせて貰っちゃう?」


「そうだなぁ。小遣い稼ぎにもなるし、登録しちまうかぁ。」


 と言うわけで俺達も一緒に登録させてもらうことにした。


「お父様に2人増える旨を伝えてくるからちょっと待ってて。」


 ルイーズさんがそう言うとギルドの奥へ消えた。


「ねぇレオン?今ルイーズさん、お父様って言った?」


「言ったな。」


 レオンと顔を向かい合わせる。


「知らなかった?ルイーズってここの支部長の娘なんだよ。」


 シャルドさんが説明してくれた。なんでも大型の休みの時はギルドの手伝いをしているらしい。


 戻ってきたルイーズさんが、俺達も一緒にやってくれるらしいと言うことを教えてくれた。


「ちなみに冒険者登録って何をやるんだ?」


 レオンがルイーズさんに訊く。

 確かにただ書類にサインして終わりなら支部長に確認取る必要もないだろうし……なにか試験的なことをするんだろう。


「そんなに難しいことはしないわよ。魔力測定と実技試験だけ。内容は試験官との模擬戦だけど、勝つ必要は無いしね。でもライト?貴方そんな脚で模擬戦やっても大丈夫?結構動くことになるわよ?」


 どうやら義足を心配してくれているらしい。


「ほら見て。こんなことしても平気なんだ」


 義足だけで片脚立ちをしてくるくると回って見せる。いつもより多く回っております。


「驚いた。身体を動かす授業は見学していたから、てっきりあまり動けないのかと思っていたわ。でもそれなら大丈夫そうね。じゃあ着いて来て。」


 俺達はルイーズさんに案内されて、ギルドの奥へ入る。

 会議室のような部屋に案内された。そこにはルイーズさんと同じ髪色の男性が居る。でっか!


「予定より2人多いが、本日案内をさせてもらうハーミット・サンジェルマンだ。支部長をさせてもらっている。先にやるのは魔力測定だが、その後の模擬戦闘試験、普段なら支部長自ら、もしくはシルバー級の冒険者にやってもらうのだが、たまたまプラチナ級冒険者が立ち寄っていてな。娘の友達の試験をすると話したら引き受けてくれたんだ。」


 シャルドさんとセレナさんが黄色い声を上げる。


「ルイーズ!プラチナ級冒険者って本当!?」


 シャルドさんが興奮気味にルイーズさんに訊く。ん?プラチナ級って確か……昔ルイがプラチナ級になったって喜んでた事があったような……


俺が「プラチナってそんなにすごいの?」と訊くと、セレナさんとシャルドさんがすごい剣幕で詰め寄ってきた。


「すごいも何もプラチナ級は最高ランクだよ(ですよ)!」


 ハーミット支部長がそこからかと言わんばかりの表情をしていた。


「仕方ない説明しよう。冒険者にはランクがある。ギルドカードの箔押しがそのまま級になる。下から箔無し、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナだ。試験結果によるが、大体はブロンズ級から始まる。つまりプラチナ級は最高到達点と言う訳だ。」


 え?じゃあルイはあの歳で最高ランク行ったの?どういう事?


「最高ランクの冒険者の方に試験官をして頂けるんです。そんな表情にもなりますよね。」


 俺は驚きすぎてすごい顔をしてたらしい。


「試験官とは模擬戦闘試験の時に顔合わせになる。先にやるのは魔力測定だ。」


 支部長はそう言うと人数分の魔導具を取り出し、俺達4人の前に置く。金属のタブレットに魔法陣が彫られた物だ。両サイドに取っ手がついている。


「これは現時点の魔力の量を測定するだけだし大雑把な事しかわからないので、結果を気にする必要はない。やり方は、両方の取っ手を握り、魔力を込めればいいだけだ。そうすると、魔法陣が光るので、それを見せてほしい。」


 光り方とかで量がわかるのかな?

 話を聞いた俺達4人は各々言われた通りに魔力を込める。すると、魔法陣が水色に光る。

 周りを見ると、レオンはオレンジっぽい黄色に、セレナさんとシャルドさんのは2人とも薄黄色に光っている。若干シャルドさんの方が色が薄い。


「驚いた。ライトと言ったかな?何か特別な訓練でもしていたのか?」


 そんな所ですと適当に返す。


「セレナとシャルドも中々だ。魔力量で言えばシルバー級とも引けを取らないな。レオンもブロンズ級上位と同等レベルだ。皆誇っていい。」


 支部長は豊作豊作と喜んでいるようだ。


「白でも驚くのに水色だなんて。貴方凄いわね。」


 後ろで見ていたルイーズさんが驚いたように声をかけてくれた。


「18歳の平均は赤色なんだが、4人とも大分上回っているな。さて、じゃあ次は模擬戦闘試験だ。地下訓練場に移動するので着いて来てほしい。」


 支部長にみんなで着いて行く。


◇◇◇◇


地下訓練場


 厳重な扉を抜けると広い広場に出る。

奥でローブを纏った人物が椅子に腰掛けている。腕と脚を組んで……船を漕いでいるように見える。

 横にブロードソードと思われるハンドガードが付いた剣が立て掛けてある。あのローブ、見覚えがある。ルイが着ていたものと凄く似ている。だけど、そうだとするとどう考えてもサイズが合わない。


「ハーミット支部長。あの方がプラチナ級冒険者の方ですか?」


 セレナさんが支部長に質問する。


「そうだ。試験官のプラチナ級冒険者だ。プラチナ級冒険者の名前は、本人の許可が無いと俺達ギルド側からは公表できないので、知りたいのであれば試験後個別に本人から聞き出してくれ。」


 支部長はそう言うと試験官さんに合図をした。


 合図を確認した試験官さんは立ち上がり、ブロードソードを手に取って歩いてくる。広場の中央付近で鞘から剣を抜いて、左手に鞘を持ったまま構えて待っている。

 人型ゴーレムと言われても疑わないぐらい芯がしっかりしている。


「誰からでもいいぞ。相手はプラチナ級だ。胸を借りるつもりで打ち込んでこい。一応受験者側は、魔法が使えるならば使用しても良い。試験官は身体強化の魔法のみ許可されている。」


 支部長の言葉にレオンが手を上げて先鋒を務めると言い出した。


「よし、レオン。あそこにある武器の中から得意な武器を取って彼の前に立て。試験官の物を含めて全て刃は潰してあるから安心していい。」


 そう言われたレオンは、ハンドガードの無いブロードソードを手に取り試験官さんの前に立つ。

 レオンが正対したことで試験官さんが俺とレオンのちょうど間ぐらいの身長であることが見て取れた。


「始め!」


 支部長の開始の合図と共にレオンが飛び込む。相手が自分より小柄だから体重を乗せれば押せると判断したのか、しっかりと両手で握ったブロードソードに勢いを乗せて振り抜くつもりだったらしい。相手は身体強化が許可されているプラチナ級だ。片手で握ったブロードソードに易易と受け止められてしまう。

 その後もレオンは何度も斬りかかるが、全ていなされてしまう。

 試験官さんが打ち付けられた剣を軽く払い除ける。レオンが弾き飛ばされるが、なんとか受け身を取って体勢を整える。


 打ち合いじゃびくともしないと理解したのか、レオンはファイアボールを放つ。

 試験官さんは一瞬ビクッとして、ハーミット支部長に顔を向けた。

 支部長が露骨に視線を反らしたので、きっとあの人は魔法の事を聴いていなかったのだろう。


 支部長の方に顔を向けたまま、レオンのファイアボールをブロードソードでかき消す。

 あの人剣圧だけで魔法をかき消したよ。プラチナ級ってこんな事もできるのか。

 シャルドさんもセレナさんも凄い凄いと魅入っている。


 それから魔法を絡めつつ剣を打ち込むが、鞘と剣で全ていなされてしまっている。


「そこまで!」


 支部長の合図で2人が止まる。

 レオンは試験官さんに対して頭を下げ、手合わせしてくれた事を感謝しているようだった。


「次は私に行かせてください!私が得意な武器はうちの工房で作った専用の武器なので……代わりにこれで!」


 セレナさんが挙手する。セレナさんはファルシオンを手に取り、試験官さんの前に立つ。


 支部長の合図でセレナさんは身体強化を使用する。

 そのまま試験官さんに打ち込む。相変わらずびくともしないが、レオンの時よりいなし方が優しく見える。


「試験官、俺の時より力入ってないな。流石に女の子が相手で気を遣ってるみたいだ。優しそうな顔してたしな。」


 借りたブロードソードを戻して来たレオンがセレナさんの模擬戦闘試験を見ながら言った。


「流石にねぇ。それよりもレオンがファイアボール撃ったとき試験官さんビックリしてるように見えたけど……」


「さぁ?魔法が弱くて驚いただけじゃないか?にしてもプラチナ級は本当にすげぇな。全力で打ち込んだのにびくともしない。地面を斬りつけてるみたいだったぜ。」


 嬉しそうにそう語る。レオンも冒険者に興味持ってたから、強い冒険者と手合わせできたことが嬉しいのだろう。


 レオンと話をしていると終了の合図があり、セレナさんの模擬戦闘試験が終わった。


「可愛らしいお顔なのにあんなに強いの凄いです!」


 戻ってきたセレナさんが興奮気味に語る。


「じゃあライト君、トリは君に任せたよ!」


 シャルドさんは俺が何か言う前にさっさと試験官さんの前に立った。いくらプラチナ級とは言え、休憩無しで大丈夫なのだろうか?

 シャルドさんはウォーハンマーを選んだらしい。


 支部長の合図でシャルドさんは身体強化しながら踏み込む。

 接敵直前にアーススパイクを放ち、試験官さんの回避を誘う。

 シャルドさんの思惑通り試験官さんは後ろに飛び退く。飛び掛かり気味にウォーハンマーを振り下ろす。

 試験官さんはブロードソードでハンマーの軌道を逸らす。

 シャルドさんの表情が凄く怖い。言うなればバーサーカー。笑顔なんだけど、怖い。


 その後シャルドさんはウォーハンマーを身体強化に物を言わせて振り回して攻めていく。試験官さんはシャルドさんの猛攻に回避を繰り返している。身体強化込みのウォーハンマーの重量は、いかにプラチナ級の身体強化であってもあの体格では受けきることは出来ないらしい。


 支部長の終了の合図がかかるが、聞こえていないのかシャルドさんは攻め続ける。

 試験官さんは振り回されるウォーハンマーをブロードソードで叩き落とした。ウォーハンマーを叩き落とされてハッとしたシャルドさんは試験官さんにペコペコと謝っている。

 声は聞こえないが、恐らく諭されて戻ってきた。


「最後はライト。お前だ。」


 レオンと同じブロードソードを手に取り、試験官さんに正対する。

 この距離でも顔が見えない。レオンが優しそうな顔って言ってたし気になるんだけど……。


「始め!」


 支部長の合図と共に身体強化をかけ、さらに右脚の義足に魔力を流す。ブロードソードを両手でしっかりと握り、踏み込みと同時に義足の足裏から魔力を一気に噴出させる。

 瞬間に加速する。移動できるのは短距離だが、傍目には瞬間移動しているようにすら見える。

 初見で対応するのは難しい、魔力を用いた技術だ。ルイや師匠のことを思い出すまでこの技術も忘れていたが、8年のブランクがあるのに上手くできたのは身体が覚えていたかららしい。

 一瞬で距離を詰め、左手側から袈裟懸けに斬りかかる――

 が、簡単に止められてしまった。鍔迫り合いになり、試験官さんの顔が見えた。何処か見覚えがある顔が驚いたような表情をしていた。

 そのまま弾き飛ばされるが、空中で姿勢を整えて着地する。それと同時に再び義足の裏から魔力を噴出させて距離を詰め、打ち込む。

 初太刀を見切られては歯が立たない。鍔迫り合いの最中、質問をぶつけてみた。


「試験官さん。俺、試験官さんとは初対面ですよね?」


 試験官さんからの返事は無かった。

 再び弾き飛ばされた。意固地になって着地と同時に再び距離を詰めようとする刹那、試験官さんが視界から消えた。

 消えたと思った矢先、お腹に重い激痛が走り、吹き飛ばされた。

 同じ機動戦術を使ってブロードソードでぶん殴られたと分かったのは地面を転がり壁に激突して止まってからだった。


「反撃は禁止だと言っただろ!やり過ぎだ!」


 支部長が叫んでいるが、試験官さんは無視してこちらに向かって歩いてくる。


「……これがお前の質問の答えだ……ライト……」


 俺の前でしゃがみ、俺にだけ見えるようにフードを上げる。

 そこには酷い傷跡があった。それは兄弟子と同じ――火傷の跡だった。


「ル……イ……」


 そのまま俺は意識を手放した。

シャルド・リール(Chard Lille)

身長:173cm

性別:女

種族:ヒューム

黒髪をウルフカットにしている。赤と青のオッドアイ。いわゆるボーイッシュな女性で、パンツルックやマニッシュな服を好む。セレナやルイーズと仲が良く、よく一緒にいる。興奮すると暴走しがち。


乗合魔導車

いわゆるバス。


魔力測定機

簡単に魔力量を測ることができる魔導具。魔法陣の光の色で使用者のおおよその魔力量を知ることができる。魔法陣の色は光のケルビン数と同じ。

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