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『にいさま』の懺悔

sideセム

僕には妹がいます。


とても可愛い妹です。

僕のことを「にいさま」と呼び慕ってくれる、とても優しい妹です。

僕は、こんなにも歪んでいるというのに。


彼女の名前は、リオといいます。

彼女によく似合った、素敵な名前です。


リオは、とても賢いと思います。

身内の贔屓目もあるかもしれませんが、リオはさり気ない気遣いができます。

それに、何時でも、誰に対してでも常に敬語を使い、丁寧に接します。

こんな子が賢くないだなんて言われても、僕は信じられません。


しかし、リオは少し、泣き虫でした。

少しつまづいては、こちらを見て「にいさま、リオはとても痛いです。」と、大きな目を潤ませて言うのです。

僕には、それがたまらなく可愛くて。

とてもとても、愛しいと思ってしまいます。


ある日、リオが泣いているのを見ました。

また転んでしまったのかと思い、様子を窺いました。

リオは、村の少年に泣かされていました。

少年が、リオにとても酷いことを言ったそうです。

リオは、悔しそうに、苦しそうに泣いていました。


僕の中のなにかが、ぷつん、と、音をたてました。



その晩、僕は少年を殺しました。

呆気なく、死んでしまいました。


翌日、少年の死体が発見されました。

リオは、真っ青になって、泣いていました。


リオを泣かせたのは僕だ。

リオを泣かせた僕は、いても良いのか?


そう思いました。

けれど、僕は狡いから。卑怯だから。


リオから離れられませんでした。



それからも、僕はリオを泣かせた人を、殺していきました。


僕が村人を殺す度、リオは村人に怯えられました。

リオを泣かせたら殺される、と。


僕が殺したせいでリオが悲しむ。

僕が殺したせいでリオがひとりになる。

僕が殺したせいでリオは僕しか居なくなる。


嗚呼、僕は悪い生き物です。

でも、辞めることは出来ません。

リオを泣かせた人を、僕は許す事が出来ません。


とうとう、村人は居なくなってしまいました。



それでもいいのです。

僕にはリオが居れば良いから。

リオにも僕だけで良いはずです。


そうでなくては、ならないのです。


嗚呼、神よ。

穢れてしまった僕と違い、リオはとても良い子です。

綺麗な美しい心の少女なのです。


ですが、どうか。


僕の我儘のために。


リオを僕と共に地獄に堕としてください。


僕とリオを、永遠に共に居させてください。


神のご慈悲に期待しています。

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