『妹』の願い
sideリオ
ねぇ、にいさま。
リオは、知っているんです。
にいさまは、リオのことが、とっても大好きだということ。
にいさまは、リオと一緒にいる時が、いちばんきらきらしていること。
にいさまが、リオのために人をころしたということ。
ねぇ、にいさま。
にいさまが初めて人をころしたのは、リオが7さいの頃でしたね。
あの時は、いつも偉そうにしている村の子供のリーダーが、リオにとても嫌な事を言いました。
リオは、とても悔しくて、泣いてしまいました。
それがいけなかったんですよね。知っています。
にいさまは、リオのことが大好きですから、リオを泣かせたあの子を許せなかったんですよね。
あの日の夜、にいさまはあの子をころしました。
翌日、ころされたあの子を見て、リオはすぐに気づきました。
あの子をころしたのは、にいさまだと。
最初、リオはとてもこわかったです。
にいさまが、リオに優しいにいさまが、人をころしてしまったことが。
とても、こわかったんです。
リオは、これ以上にいさまにヒトゴロシをさせないよう、何を言われても泣かない、と決めました。
でも、それはとても難しいことでした。
なにせ、リオはとても泣き虫でしたから。
リオが泣いてしまう度に、リオを泣かせた人はころされました。
にいさまに、ころされました。
リオは悪い子です。
途中から、にいさまがリオのために罪を犯してくれることが、心地よいと感じるようになりました。
リオは、己が快楽のために、にいさまに『ヒトゴロシ』という罪を背負わせました。
にいさまは優しい人ですから、ほんとうは、人をころすことが心苦しかったはずです。
それなのに、にいさまは人をころしました。
リオのために。
リオは嬉しかったんです。
にいさまが、リオのために、やりたくないこと、つらいことをしてくれることが。
リオは知っていました。
リオが、とてもずるい子だということ。
リオは知っていました。
にいさまの、歪な愛情に。
知っていたから、リオは演じました。
ずるい本性を隠して、無邪気な、可愛らしい妹を。
そうしないと、にいさまはリオを見てくれないと思ったから。
知っていたから、リオはそのままにしていました。
にいさまの歪な愛情が、そのままリオに向くように。
ああ、リオは悪い子です。
にいさま、ごめんなさい。
悪い子なリオを、赦してください。
ずるいリオを、赦してください。
にいさま、にいさま。
リオは、リオはにいさまのことが大好きです。
ですから、リオと一緒にいてください。
ずっとずっと、一緒にいてください。
リオだけを見ていてください。
ずっとずっと、リオだけのにいさまでいてくださいね。
そしたらリオは、ずっとずっと、にいさまだけのリオでいられますから。




