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セムにいさまとリオ

むかーしむかし、その昔。

片手で数えられる程かもしれませんし、ひょっとすると、もう誰も覚えていないくらい昔かもしれません。


ある村に、双子の兄妹がおりました。


聡明で優しげな兄のセム。

小柄で愛らしく天真爛漫な妹のリオ。


ふたりはとても仲良しで、そして、とても悲しい双子でした。


ふたりには、両親がいませんでした。

村の人の話によると、ある日突然、村の中央広場に捨てられていたそうです。


村の人達はとても優しく、ふたりを本当の家族のように育ててくれました。


でも、それは大人だから。

子供には分からないのです。


何故、親が居ないのか。

何故、親が居ないのに家族のように扱われているのか。


だって、子供だから。

子供だから、分からなかったのです。


子供は、時に大人よりも残酷で、無情です。


そんな残酷な子供の小さな言葉が、悲しい結末を導くだなんて、きっと誰も思わなかった。



ーーそれは、いつもと変わらない日の、お昼の事でした。


村の子供が、リオにちょっかいをかけたのです。

それだけならば、いつも通り。

リオに恋をしている小さな男の子の、小さな小さな意地悪でした。


しかし、リオにとってはそうじゃなかった。

リオにとっては、とても悲しくて、とても悔しいことだった。


リオは、泣いてしまいました。

悔しくて、泣いてしまいました。



その晩、リオを泣かせた男の子は、殺されました。



それから、何度も人が殺されました。

大人、子供、男、女。

彼等の共通点はただひとつ。


リオを、泣かせたこと。


ついに、村の人々は居なくなってしまいました。

残ったのは、ふたりだけ。



妹を愛する兄のセムと。


兄に愛される妹のリオ。



ふたりは、お互いを求め、きっと、幸せに暮らしたのでしょう。


真実は、いつだって曖昧なもの。

全てを知るのは、ただひとつの存在。


貴方が見届けた双子の全ては、貴方にはきっと知り得ない。


だから、想像するのです。


ふたりの結末を。


ふたりの幸福を。

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