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Elevator_Girl  作者: 深町珠
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ぶらり




Scene #15 cut#1



「どこへ行くんだよ」松之は、また。


「まあ、ふらふらしようよ。」と深町は

フェンダー・ストラトキャスターのソフトケースを

肩から下げたまま。


今日は、袖口が擦れたリーバイスのジーンズ・ジャケット70505、-これも20年もの-を羽織っている。ボトムは同じくリーバイスの、これは505-US。

やはりボロボロだけれども、自分で履き古した

ものらしく、何か思い入れがあるらしく

大切に扱っている様子がよくわかるそれ、を

穿いていた。


そんな様子を見ると、なんとなく

ミュージシャンっぽく見えるから、不思議なものだ。



その深町の後を、松之は重いアコーディオンを

ハード・ケースに入れて抱えているので

少々閉口したが

それでも、歩くことに集中していれば淋しい気持

も紛れたので、そうした。


20分ほど歩いたところだろうか、風に潮の香りが混じりはじめた。



Scene #16 cut#1


「ああ、海か」と、深町は

ギターを肩から下げたまま、伸びをした。


松之も、アコーディオンを下ろして

潮風を吸った。清々しい思いだった。


歩みを更に進めると、砂混じりの風が吹き付け

松の木が、ちらほらと見え始めた。


ああ、海岸まで着いたんだな、と

ふたり、もう夕刻に近い海岸、砂浜に踏み入れた。

さくさく、と、砂を踏む音がする。


シーズン前の海辺は、静かだ。



波が寄せる音が、効果音のように規則的にリフレイン。


松之はなぜか笑いたくなった。

解放されたから、だろうか。


わはははは、と叫ぶように笑うと

深町が驚いたように松之を見た。


「どうしたんだ....?!」


いや、だって、なんだかおかしくて...と

深町の方を見ると、その向こうに。


か細いシルエット、白い犬を散歩させている...


松之は、言葉を失った。




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