落語
「なんだ?」と、松之は面食らう。
「洗濯屋さんはランドリー、
芸事、家元、本家に名トリ」
「わはははは。」
調子よく続くので、松之は愉快になった。
「ようやく笑ったか。」と、深町は笑顔でそう言う。
官庁街の向かい、お城跡公園前の舗道で
楽器を抱えたまま、こんな事をしていたので
新しいパフォーマンスか、と、人だかりがしてきてしまった。
そう言えば、この街はパフォーマンスの祭りがあるのだった。と、深町は思い出した。
「ご来訪、ありがとうございまーす。じゃ、次の曲。」
と、深町は、なぜか「サザエさん」のテーマを弾き出したので、松之は慌てて。
この日はアコーディオンをサークルから借りてきたのでそれで、バッキング。
....なんか、調子良い奴だけど。
シュウと居ると、なんか楽だな。
松之は、友人の思いやりに感謝しながら
なれないアコーディオン、左手でコード、
右手でオブリを入れた。
なかなか、風を送りながら弾くのは
難しいな、と思いながら。
もう、お堀端の桜も散り、今は藤の季節...
雨の季節ももうすぐだな..
松之は、遠い空の向こうの雨の匂いが
感じ取れたような気がしていた。
Scene #14 cut #1
その日は、早めにバスキングを止めて
気分転換に、ぶらぶらしようか、と深町が言い
楽器をケースに納めて、駅のコンコースを抜け
たまたま来たバスに、飛び乗った。
どこへいくんだよ、と松之は尋ねるが
行き先を決めないから「旅」なんだよと
深町は、本当にあてもない様子だったので
なんとなく不安になる松之だったが....
ま、このくらいなら...。
気分転換に丁度良いかな、とも思っていた。
バスは、最初のうち南に向かって走っていたが
消防署のところで東に折れたので、深町は
なんとなくチャイムを鳴らし、降車した。




