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渡り鳥
「あ、渡り鳥。」....と、深町は空を指さす。
松之も、つい、釣られて空を見ると
雁だろうか、ひらひらと、もう、初夏のような
遅い午後の空を北の方へ向かっていくのが見える。
「........。」鳥は自由でいいな、と松之は思う。
ひとりで想っているだけなら、自由なのに
現実にしようとすると、どうしてこんなに縛られるんだろう、と..
松之は、鳥の自由さを羨んだ。
人間みたいな制度もないから、鳥たちは恋すら
自由なんだろう、とも思った。
どこまでも飛んで行けて、空の上からなら
想う相手を探し出せるだろう。
たぶん、相手も空に居るからだ.....。
「鳥かぁ。」と、深町が呆けたように言うので
松之は、幻想から現実にもどる。
「太ったトリは相撲トリ、
来てほしくない借金トリ、
あたしゃしがない月給トリ。」
深町は、落語家のようにおどけて。




