↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
宵の白鷺と千年の恋  作者: 若草 玻璃
三家会議

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/52

27

 部屋に戻り、雑炊の盆を持って右往左往していた登世子に謝ってから宵は盆を受け取った。お腹が空いた、と思っていたのに、色々思い出したら急に食欲は失せた。

 ……気がしたけれど、結局ぺろりと平らげてお替わりした。もちろん登世子は鍋にたくさん作ってくれていた。


 シャワーを浴びてさっぱりして、新しいパジャマに着替えてから庭に出る。今日は家から出ずに休んでいてと登世子に言われたけれど、もとより外出するつもりはなかった。もうすぐ夕方になる。


 そういえば。連休中に母のお参りに行こうと思っていたのだった。


 宵の家の本流は島根にある。もっとも、宵は行ったことはない。母の遺骨の大半はそこに納められているが、この本邸にも分骨して埋葬されている。先ほど行ったお社の、さらに奥。

 庭の小手毬を少し切って、つっかけをサンダルに履き替えて宵は母のもとに向かった。


 宵は小手毬を母と、祖母の墓石に分けて供えた。御影石の小さな墓石。ここには母と同じように代々の白鷺たちが眠っている。裏手の竹山までが白鷺家の敷地だ。パジャマのままで来てしまったけれど、家の敷地内だし、まあいいだろう。


 しゃがんで手を合わせる。ここに来るのは、高校に入学する前日以来。

 生徒会に入ったこと、ママが黎明学園を勧めた理由がわかったこと、そして約束を破ってしまったこと――その他にも、色々なことを報告した。


 目を開けると、今度は祖母の墓石に手を合わせた。母とは折り合いが悪かった、とは聞いていたが、折に触れ母はここに来ていた。宵もよく一緒にお参りをした。


 宵が小さい頃に亡くなった祖母。記憶はほとんどない。姿もぼやけた写真でしか知らない。


「会ってみたかったなぁ、おばあちゃん」


 本当にきらいだったなら、きっとお参りなんてしないだろう。だから、母はきっと祖母のことをきらってなんていなかったのだと、宵は思う。

 もうすっかり日が暮れ始めている。宵は立ち上がった。

 

「あなたね、あのとき朝日さまのお腹にいたのは」


 背中にかかった声に宵はびくりと肩を跳ねさせた。

 知らない声。おそるおそる振り向くと、そこには艶のある黒髪の少女が立っていた。発光するように肌が白い。一瞬、お化けかと思って目をこする。


「ど……どちらさまですか? あの、ここは私有地で、一般の方は入れないんですが」

「やだ、一般の方だなんて。私とあなたの仲でしょ?」

「仲……?」


 少女がゆっくり近付いてくる。黒い瞳が大きい。少女は宵の顔を覗き込んだ。


「はじめまして、白鷺宵ちゃん。私は小夜。鴉森小夜だよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。