表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/10

故きを温ねて

読みに来てくださりありがとうございます。短い駄文ですが楽しんでいってくれると嬉しいです!

連邦宇宙海軍の駆逐艦『マチルド』。破壊された二番砲塔の後ろは、艦橋が影となりどの防空火器も狙えないデッドゾーンとなっていた。


「確かに…よく見ると此処の防御砲火だけ薄いな」

「よく見ればわかるが…あんな出撃してすぐの一瞬で気付けるものでもないだろうに…。」

「実戦の差かね。」

「どうもその域にはかなり必要そうだが…。」


雑談を交えつつ、三機は駆逐艦の方へ飛んでいく。近づくにつれて、電波妨害と交戦砲火により聞こえにくかった無線が入ってくるようになっていた。


“電探に新たな反応!右弦後方より不明な敵機三!”

“まだ増えるのか…!”

“いえ、待ってください。ID照合…。はっ…!”

“どうした!早く報告せんか!”

“第十二番惑星に展開中の第六航空遊撃隊です!”

“まだ…味方はいたのだな…!総員!援軍だ!死ぬ気で耐えろ!どうやら此処が墓場というわけでもないらしい!”


三機が到着する頃、防御砲火は激しさを増し敵機は距離を詰めあぐねているようだ。だが、防御砲火が激しくなった故に穴も目立つようになっていた。


“あそこだ。小隊!ついて来い!突入する!”

“了解!早く沈めてしまいましょう!”


「グレン、リベット。左弦に展開していた敵機が右の方へと移動を開始した。」

「気づいたか。」

「ふ~む…同数か…。ホルン、リベット。タッグを組んでの戦闘は得意だったよな?」

「あぁ。今回も何かあるか?」

「なら此の機体を囮に、一瞬だけあの小隊の意識をこっちに向ける。その隙に一機を落として数的有利を取ろう」

「わかった。お前が墜ちたら教官になんて言われるか、わかったもんじゃない。失敗するなよ?」

「しないさ。君らが敵を墜としてくれるんだろ?」

「何でプレッシャーをかけてくるんだお前は。」

「ふふふ…。さぁ、やろう」

「「了解」」


かくして、二機と一機に分かれた彼らは作戦を開始した。

初動。リベットはあえて短距離誘導弾の射程圏外から誘導弾を発射。その後、7.7mm機銃弾をばらまきながら敵上方から突入した。


“おい、訓練機の弾丸なんかでシールドが落とせるわけないだろう”

“頼みのミサイルも射程外だな。やけくそか?”

“かといってこのまま飛ばれても面倒です。小隊長、俺が墜としてきます”

“任せた”


三機編隊を組んでいた小隊の内、一機が突然機首を上げリベットの方へと向かい機銃弾を掃射し始めた。しかしリベットの機体は相手に対して機体を正確に真後ろに向けることで被弾を最小限に抑えて逃げ続ける。


“いつまでも逃げ続けられると想うな!”


敵がリベットの行動に焦ってスロットルを全開にしたその瞬間。エンジンにエネルギーが周り、シールド出力が弱まったその一瞬。それを見逃す彼等でもなかった。


「シールドブレイカー、行くぞ。」

「了解!ロケット弾で墜ちろ!」


釣りあげられ、機体の腹を晒した敵機に突如、とてつもない衝撃が襲った。その衝撃と同時に、シールドダウンの警報が鳴り響く。


“なっ!!!”


その音に焦ったときには時すでに遅く。その機体の腹には大口径噴進弾が突き刺さる。シールドも消失し、120mmの弾頭が直撃した機体は当然耐えられるわけもなく、あえなく爆散した。


「大口径ロケット弾。航空戦では使えないと思っていたが、直進する敵なら当たるな。」

「フィオ隊長の話とか聞いていると、第一次内惑星動乱にいたっていう撃墜王の話も嘘じゃないのかもしれないよな。」

「ナイス、お二人さん。分析中悪いけど、下から激おこのおかわりが参上だ。」

「よし。一機はホルン、頼めるか?」

「了解。じゃあ二人は早めに一機仕留めてきてくれ。」

「任せろ。行くぞリベット。」

「はいはい。休みはくれないのね」


“小隊長、俺があっちの二機を引き付けておきますから、隊長は孤立した一機を!”

“わかった。出来るだけ早く駆け付ける!”

“任せましたよ、第二次内惑星動乱のエースさん!”


ホルンの方へと一機が追いつく。だが、ホルンは格闘戦の気配を見せることなく、むしろどんどんと加速していく。あくまでその機体には興味がないかのように。


“ちっ。こいつら逃げるのだけは早い…!”


だが、敵の戦闘機は現役配備継続中の戦闘機。一方此方は既に退役済みの訓練機。速度差は明確だった。徐々に、徐々に、距離が詰まる。


“これでトドメだ!”


早く援護に行かねばならないのに、逃げる敵機を追う為に時間を使わせられている焦りが、彼の視界を狭めた。それが、狙いだった。


“なっ!?消え…。”


ホルンの機体は突然消えた。一式戦闘機は、旧式の戦闘機である。だが、格闘戦性能に優れ、迅速な加減速が可能だった。一気に速度を落とし、ホルンの機体は敵の背後に回り込む。


「チェックメイト。」


ホルンの眼は正確に照準を見定めていた。機銃により、少しシールドを弱めた後に二発の噴進弾が撃ち込まれる。宇宙空間で作り出した、刹那の200m。ここにまたひとつ。彼らの戦歴を知らしめる記録が刻まれたのだ。


一式戦闘機。とっくに退役したはずの老機体は、此の極限下にあって新進気鋭の若者達と共に、未だその高性能と拡張性の高さ、整備性の高さを見せつけたわけである。戦場に名を残すことはなく、故に此れは傑作機たるのである。


ホルンが一機を撃墜した折、グレンとリベットは相手の格闘戦に巻き込まれ苦戦していた。敵の駆る機体は速度回復と旋回速度に優れた新式、現在も主流となっている四式戦闘機。こちらは退役済みの一式戦。相手の射線を潰し、反撃を許さないように迄は出来ているものの、こちらも攻撃の出来ない位置を常に陣取られている。


「うまいな。敵のパイロットは。」

「たった三機で駆逐艦の防空網の穴に突っ込もうとするだけあります。」


“連携の隙が無い。だが、機動も戦術も初歩的に過ぎる。優秀な教官を持った訓練兵だな”


三機は弾幕の隙間を縫って、航空戦を繰り広げていた。


しかし、それも長くは続かない。隊長機からの連絡が途絶えた。それはつまり勝ち目が無くなったことを意味する。敵は手ごわく、それに一機加わるとなれば最早この航空戦の勝利は不可能。

だが、戦争は撃墜数も撃破数も数えはしない。唯、目標を達成したか否かが総てを決する。

相手が訓練兵なれば、戦場に立った経験を持つ自分が有利である点は此れを理解しているかどうか。


二機との航空戦をやめ、一気に機首を駆逐艦方向へと転換し、対空弾幕の中へ巧みに飛び込んだ。狙うは指揮系統の詰まった艦橋。物体のエネルギーはその質量と速度によって決まる。加速。加速。どうせ墜とされるならば、作戦目標を達成して墜ちてこそ軍人の誉れ。


「まずい!グレン。あいつ、駆逐艦の艦橋に突っ込むつもりだ。」

「……ホルンを信じる。シールドを叩き割る。此れ以上は近づけないからな。」

「わかった。信じよう。」


偏差を修正し、シールドブレイカーを発射する。一発目は外れ、虚空に消える。だが、続く修正射は敵シールドに直撃。シールドを破壊する。


「頼んだぞ。」


隊長機を撃墜したホルンは、一気に反転し未だ撃墜した報告の無いリベットたちの方へと向かっていた。其処の道中、対空弾幕へ飛び込む一機を発見した。


「まずい。くそっ…。シールドが邪魔だな…。ここからでは…。」


瞬間、シールドが割れる。弾幕の向こうからの二発の無誘導弾によって。


「グレンたちだな。…そういうことなんだろう?」


機体を静止させる。ゆっくり、照準をのぞき込んだ。距離はおよそ3キロ超。狙うはエンジン。唯一つ。指が震える。この指に、『マチルド』乗員、約300名の命がかかっているのだから。だが、臆さない。信頼に応えるために。一つ息を吐いて。震えはもうない。


「墜ちろ。」


7.7mmの小口径弾がエンジンを穿つ。落下も、速度減衰もない宇宙空間だからこそなせる業。


“ぐっ!!?!”


機体の推力特性が急激に変わる。二基あるエンジンの内、一機が破損したために操縦がほとんど困難になったのだ。シールドがダウンするのとほとんど同時の攻撃。


“とんだ化け物が育っていたものだ。いい連携といい信頼だ。老兵はただ去るのみかね。革命、万歳。”


推力偏向を制御できず、対空に当たっていた主砲の真正面に飛び出してしまった機体は12.7cm砲の直撃を受け、跡形もなく消滅する。

此れにて、『マチルド』の防空の隙をついた三機は総て撃滅された。旧式機体に搭乗した、三人の新兵によって。


読んでくださりありがとうございました!

よければ忘れないうちに評価をお願いいたします…

してくださるとめっちゃ喜びます。

気に入っていただけてお時間があったらで構いませんので感想やブックマークもぜひお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ