動乱
読みに来てくださりありがとうございます。短い駄文ですが楽しんでいってくれると嬉しいです!
「宣戦布告だぁ!?!?」
プラットフォームのお祝いムードはレギュータスの怒号が全館に響いたことにより困惑へと変わった。捕虜のいうことを纏めるとこうなる。突然、本国から微弱な電波で開戦の通信が届いた直後、通信衛星が破壊され、それ以上の状況把握が不可能になった。補給は明後日。すでに物資の少なかった防衛航空隊は、誰が敵かもわからないここ数日を生き残るにも物資の簒奪が不可欠だったという。
「……状況は理解した。いまだ敵は不明なんだな。」
「あぁ…。なぁ大佐。俺たちも此処で働かせてくれないか…。死にたくなかっただけなんだ…。」
「その感情は理解できるし、言いたいこともわかる。俺としてはそれを認めてやりたいところだが、今働けば君たちは針の筵になるだろう。だからしばらく営倉にいてくれ。」
「……わかった。あんたの言うとおりにするよ。」
「助かる。」
レギュータスは考える。我々もここで待機すべきなのだろうか。それで状況は変わるのだろうか。否、変わらないだろう。このままではいずれ彼等と同じことをせざるを得なくなる。幸い、彼らの保有していた中型輸送艦であれば、このプラットフォームは牽引可能であることも判明している。なれば…。覚悟を決め、マイクを入れる。
「諸君。第十二番惑星外縁防衛プラットフォーム司令官、レギュータスだ。本星が、何者かに宣戦布告され現在連絡が取れない状況にある。此れより先、情報も補給も見込めなくなったわけだ。我々は此れより、輸送艦の牽引を用いて現宙域を離脱。情報収集、並びに本星援護の可能性を探る事を目的とし、移動を開始する。総員、緊急マニュアルに従い、職務を果たせ。第六航空遊撃隊、第三十二訓練小隊は速やかに司令室まで来てくれ。以上だ。諸君らの働きに期待する。」
息を吐く。此れで最早後戻りはできない。決心を固めていると、部屋の扉をノックされる。
「第六航空遊撃隊です。」
「第三十二訓練小隊です。」
「入れ。」
彼らの眼は困惑に染まっている。事実、そうなるしかないだろう。司令官ですら事態を飲み込むので精一杯なのだ。
「諸君…。」
「司令官、どういうことですか。」
「ホルン…!」
グレンの止める手が若干弱かったのは、これが彼らの総意であることを示していた。
「諸君らに先ほど伝えた通りの事態だ。本星は何者かに宣戦布告され、我々は正体不明な敵と戦闘をする羽目になった。」
「なぜわざわざ戦闘をするような真似を…!此処に留まるという選択はなかったのですか!」
「ない。第十二番惑星、第十一番惑星は現在のところ開発がされていない。このまま現宙域に留まったとしても、いつかここを発たねばならなくなるのだ。」
「ですが、戦闘が早期に終結する可能性も…」
「しない可能性もあるだろう。現在、当プラットフォームにはそれなりの備蓄と余裕がある。だが一週間、二週間後、余裕がなくなってから動いてみろ。最早何をしてでも生きていかなければならない事態になっている可能性の方が高い。それが略奪でも。」
「それは…。」
「諸君らの気持ちは痛いほどわかるつもりだ。だが、どうかついてきてはくれまいか。此のプラットフォームにいる百数十名の為にも。」
「了解しました。第六航空遊撃隊はレギュータス大佐の決定を支持します。」
たった一瞬の目くばせとうなずきで、彼らは意思を固めた。
第三十二訓練小隊の彼らも、疑念と困惑に包まれた目からやがて覚悟を決めた目に変わる。
お互いに目を合わせ、しっかりとうなずく。
「俺たち三人も、ついていきます。」
「助かる。諸君たちが頼りなのだ。」
「また英雄になってしまいますね。」
モスカートの軽い声が彼らの緊張をほどいた。
「英雄が三人増えるかもしれませんよ?」
リベットも乗っかって、軽い笑いが部屋を包む。それだけで彼らはまとまれた。それほどに、先ほどの食事と、戦闘で信頼が芽生えていた。
「先程の君たちの働きと連携を見て、少し考えていたのだが、今ので確信した。軍令にある。非常事態の場合、司令官の任にあるものは所属部隊を自由に統率する権利を得る、と。故に、この権限を以って、第三十二訓練小隊を解体、第六航空遊撃隊に統合することとしたいのだが、いいか?」
「俺たちは構いませんが…」
「教官…。それはつまり。」
「第三十二訓練小隊の諸君…。ここからは実戦部隊だ。死ぬなよ。」
「「「了解!!」」」
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