凄いご褒美
テンションの上がったリゲルとの話も一段落し、カオスメサイアはウルペクラたちに告げる。
『それでは、店主……香織との約束の時間が近いので、我はそろそろ失礼することにする』
「カオリさんのところにいくんすか?」
『ああ、本日は定休日ではあるが、カイザーと我が持ってきた食材を調理してもらえると話が付いている』
カオスメサイアはこれから香織の店に行って、エヴォルカイザーとそれぞれ持ち寄った食材を香織に料理してもらい雌雄を決するとのことだった。
『重ねて今回は有意義な時間だった。感謝を……また機会があれば、相まみえよう』
そう告げて軽く頭を下げた後、ウルペクラたちに改めて別れを告げると、カオスメサイアは飛行形態に姿を変えて飛び立ち、直後に黒い火花がスパークするような様子が見えた後、姿が消えた。
「消えたにゃ!?」
「たぶん、エヴォルカイザーさんもやってた次元跳躍ってやつだと思うっす。アタシたちで言うところの転移魔法っすね」
『去り際もカッコいい……凄いイケロボを見れて、小生は満足であります!』
「どころ指してイケロボって言ってんのか、俺にはよくわからねぁな」
『おぉ! ムジさん、ロボットの外見に関して興味がおありで!!』
「え? いや、無いが……」
『それであれば、これから小生とロボットについて熱く語り合いましょう! 安心して欲しいであります! 分からないところは小生が教えるでありますから!!』
「い、いや、待て、なんでそんな話に……」
完全なる失言であった。少しでも興味ありそうな……少なくともリゲルにはそう聞こえる言葉を発してしまったムジカは、明らかに興奮した様子のリゲルに迫られて冷や汗をかく。
このテンションに流されようものなら、興味のない話を長々と聞かされる羽目になると理解したが、目の前のリゲルは正直話をまともに聞いてくれそうなテンションではない。
「お、おぃ、ウルペクラ、アルシャ、た、助け……」
「じゃ、お疲れっす」
「お疲れにゃ」
「待て! 待ってくれ!! 俺を置いて行かないでくれっ!!」
『ムジさ~ん!』
「ひぃっ!? お、落ち着けリゲル……死王配下たるものクールに……」
実際のところリゲルの性格上、ムジカが嫌だと言えば無理強いはしないのだが……大好きなロボットについて語れるとウキウキした様子のリゲルに対して、拒否したり突き放したりはできないぐらいにはムジカは心優しい。
頼りのウルペクラとアルシャもさっさとどこかに行ってしまったため、ムジカは引きつった笑みを浮かべながら……全てを諦めたような表情を浮かべた。
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ムジカをサクッとリゲルの生贄にして城内に入ったウルペクラとアルシャは、廊下を歩きながら言葉を交わす。
「……ところで、ウル先輩? 凄いご褒美があるって話はどうなったにゃ?」
「うん? 気になるんすか?」
「気になるというか、疑い始めてきたにゃ……ウル先輩の事だから、性悪発揮して私を騙してこき使ってる可能性もあると思うにゃ!」
「こき使うってほど、仕事させたっすかね?」
「……それはまぁ……してないにゃ」
最初はアッサリとウルペクラの凄いご褒美という言葉に釣られたアルシャだったが、ある程度時間が経過すると「また騙されたのでは?」という気持ちが湧き上がってきた。
実際すでに買い物は済んでいるが、凄いご褒美とやらの詳細は不明なままである。ウルペクラの言う通りこき使われたというほど働いてはいないので、騙されていたとしても多少文句を言う程度ではあるが、それはそれとしてそろそろハッキリさせておかなければという考えだった。
「まったく、アタシがアルシャを言葉巧みに騙すなんて、そんな酷いことをすると思ってるんすか?」
「それは、すると思ってるにゃ。というか過去に何度の騙されてるにゃ。性悪狐なのは間違いないのにゃ」
「ドストレートにそう言うあたり、本当にいい性格してるっすね。まぁ、そんなに心配しなくても、もうすぐ分かるっすよ」
「うにゃ? ……あれ? ウル先輩、この先って……」
アルシャの容赦ない言葉に苦笑しつつウルペクラは廊下を進んでいく、そして自分たちが向かっている場所を察したアルシャが戸惑うような表情を浮かべる。
いま進んでいる廊下の先にある部屋を知らない死王配下はなど存在しない。この廊下の先にあるのは、居城内で一番重要な部屋……王たるアイシスの私室である。
ほどなくして予想通りアイシスの私室の前に辿り着くと、ウルペクラは扉をノックして口を開く。
「アイシス様、ウルペクラっす! 頼まれていた品、全て買ってきました」
「……ありがとう……入っていいよ」
「失礼します」
「し、失礼しますにゃ」
ここにきてようやく、ウルペクラが行っていた買い物がアイシスに頼まれたものであるとしったアルシャは、若干戸惑った表情を浮かべつつ、ウルペクラに続いて入室する。
「……急にお願いしてごめんね……ウル……助かった」
「いえいえ、このぐらいお安い御用っす! いちおうアタシが確認しましたけど、念のために再確認をお願いします」
「……うん……全部揃ってる……ありがとう」
購入してきた贈呈品っぽい品を取り出して間違いが無いか確認しているふたりを見つつ、アルシャの頭にはとある疑問が浮かんでいた。
というのも、なぜウルペクラがこのことをいままで黙っていたかということだ。わざわざ凄いご褒美などと言わなくとも、アイシスからの頼まれ事であると言えばアルシャは喜んで協力した。
そして同時に、ウルペクラが「他の死王配下に聞かれたらまずい」と言うような言い回しをしていたことも思い出した。
すると、そのタイミングでアイシスがアルシャの方を見て軽く微笑んだ後で、ウルペクラに声をかける。
「……一緒に行くのは……アルシャで間違いない?」
「はい。アルシャにも買い物を手伝ってもらいました」
「……そうなんだ……ありがとう……アルシャ」
「い、いえ! このぐらい、いつでもやりますにゃ! ……えっと……ウル先輩?」
どういうことか説明して欲しいと目で訴えるアルシャを見て、ウルペクラはいたずらが成功したような表情を浮かべつつ説明をしてくれる。
「ネタ晴らしをすると、事の発端はアイシス様がちょっとした事情で急遽開催されることになった晩餐会に招かれたことっす。生憎とアイシス様は今日は予定があって、晩餐会に手土産として持ってく品の買い出しをたまたま通りがかった私が頼まれたわけっすよ」
「なるほどにゃ……それで、さっきの一緒に行くってのは……」
「その時に合わせて、アタシともうひとりお供として晩餐会に連れて行くって話になって、そのもうひとりを誰にするかも私に一任されたんすよ。さて、ここまで言えばもう凄いご褒美ってのがなにか分かるっすよね?」
「つ、つまり、アイシス様と一緒に晩餐会に行けるってことにゃ!?」
ウルペクラの言葉を聞いてようやく内容を飲み込めたアルシャは、パアァと表情を明るい笑みへと変える。それも当然だろう。
様々な行事ごとの際にアイシスに同行する枠は、いつも死王配下全員で争奪戦になるほど……ウルペクラが他の死王配下に聞かれたらまずいと言っていた理由も理解した。
アイシスと一緒に晩餐会に行ける枠がひとつだけあり、その決定権をウルペクラが握っていると分かれば、城中の死王配下がウルペクラの元に殺到していただろう。
嬉しそうな笑顔を浮かべるアルシャを見て、ウルペクラはニヤリと笑みを浮かべて口を開く。
「……で? 誰が、人を騙す性悪だったっすかね?」
「私はウル先輩は、いつも優しくて頼りになるカッコいい先輩だと常々思ってたにゃ!」
「……ホントいい性格してるっす」
素早く掌を返してウルペクラを褒める調子のいいアルシャに、ウルペクラは思わず苦笑を浮かべる。その様子を微笑まし気に見ていたアイシスは、穏やかな表情で告げる。
「……それじゃあ……ふたりの準備が大丈夫なら……出発しようか」
「「はい!」」
アイシスの言葉にウルペクラとアルシャが息の合った返事をして、さっそく目的の場所に向かうこととなった。
「……ところでウル先輩、どこで晩餐会にゃ?」
「リッチ伯爵領のリプル子爵家っすね」
「たまにリプル贈ってくれるマリーさんのところにゃ?」
「そうっすよ。あそこにある黄金リプルは実が生る時期がランダムっすからね。実が生ったタイミングで記念の晩餐会を開くのが習わしなんすよ」
「ああ、それで急にってことなのにゃ……納得にゃ」
~ちょっと小ネタ~
【カオスメサイアによる、死王配下能力値チェック】
※単純な戦闘力ではなく、魔力や技量を含めた総合値
イリス・イルミナス 9800兆
ポラリス 550兆
ウルペクラ 480兆
シリウス 530兆
ラサル・マルフェク 420兆(本体のみ、無限の死霊兵込みなら520兆)
スピカ 850兆
リゲル 23兆
ムジカ 38兆
アルシャ 5憶
コルネ 26兆
ベルゼ・カルネ 1400兆(暴食の魔力全開の無差別捕食状態なら8500兆)
アルフェラ 20兆
カノープス 22兆
~おまけ~
クレア 8000億
ベラ 7800億
エヴォルカイザー 5000兆
カオスメサイア 6666兆
アンリ・アルベルト 53万
ナタリア 10万(吸血によるブースト時45万、メイド力4万)
クリームヒルト 520万(精霊の力による強化時2億)
レン 23万
アイシス・レムナント 4京8600兆(死の魔力完全制御前の本編時は2京)
宮間快人(補正なしの素) 5
宮間快人(祝福+他諸々の補正あり) 測定不能




