光の騎士、見参!
ウルペクラが告げた言葉に猛然と反論したアルフェラだったが、その反応はむしろ信憑性を高めるようなものであり、聞いていたアルシャはコテンと首をかしげながら呟くように告げる。
「アルフェラ先輩……足が太いにゃ?」
「太くない。全然太くない! ウルペクラが適当なこと言ってるだけだよ。ほら、普段から適当なことばっかり言ってるでしょコイツ」
「でも、アタシの倍ぐらいの太さじゃねぇっすか?」
「倍もあるわけねぇだろ、クソ狐!」
必死に弁明するのだが、すればするほど怪しさというか、図星を突かれているという印象が強くなってしまうものである。
アルシャの印象では、もう既に「たぶん足の太さを気にしてるのは本当だろうな」という認識になっている。
「ムキになるのは怪しいっすよね」
「それは確かに、そうにゃ」
「ぐぬっ……ほ、本当に違うよ。ボクはただ、えっと……そう! 少し、他よりセクシーなだけだから!」
「あくまで太くないって主張するなら、影から下半身出してみればいいっす。そうすれば、ハッキリするっすよ」
「くっ、この性悪……水を得た魚のように生き生きとしやがってぇ……い、いいよ! そこまで言うなら、間違いだってハッキリ分らせてやる!!」
楽しそうに煽ってくるウルペクラに対して、アルフェラは売り言葉に買い言葉という感じに宣言した後で影の中から下半身を含めた全身を出す。
デニムっぽい素材のホットパンツに膝上から腿ほどの黒いニーハイソックスという姿の下半身が出て来るやいなや、ウルペクラはツッコミを入れた。
「……いや、太っと」
「ホットパンツなのが問題な気もするにゃ。なんかミチミチって感じにゃ」
「こ、こいつら……好き放題言いやがって……よく見てよ! ボクの足、別に全然太くなんてないでしょ!!」
この手の場面でウルペクラが煽るのはいつも通りだが、アルシャも素で刺しでくるタイプなので中々容赦のないツッコミが入った。
確かにホットパンツにニーハイソックスと、太ももが強調されるような服装であることも相まって、太腿がムッチリしているような印象はあった。
「アタシたちよりは確実に太いっす」
「君らどっちも結構小柄なタイプじゃん!? ボクは身長もあるから、このぐらいは全然普通なんだって!」
「う~ん、アルフェラ先輩、質問していいかにゃ?」
「……なにかな?」
「いや、足の太さを気にするなら別の格好をすればいいんじゃないかにゃ? アルフェラ先輩の格好だと、むしろ足が強調されてるような感じがするにゃ……」
「それやったら、ボクの足が太いって認めるようなものでしょ! ボクは認めてないからね! ボクの、足は、太くない!!」
太腿を強調するような服装なのは、あえてやっているだけであり、ゆったりとした足の太さを隠すようなズボンを履くのは己の足が太いと認めるようなものであり、断固として容認できないと主張するアルフェラに対して、アルシャはなんとも言えない表情を浮かべる。
「いいかい、アルシャ。これは、太いって言うじゃなくて、セクシーって言うんだよ。ボクのこの全身から溢れ出るセクシーオーラを見れば分かるでしょ?」
「そんな板みたいな胸でよく言うっすね」
「胸に関していえばお前も板じゃねぇか!?」
隙あらば煽ってくるウルペクラに猛然と反論するアルフェラだったが、直後にアルシャがなんの気なしに口にした言葉に思わず硬直する。
「う~ん、アルフェラ先輩の主張は分かったにゃ。でも、実際私やウル先輩よりは太いと思うにゃ。なので、アルフェラ先輩の主張通り、アルフェラ先輩の足が太くないとしてにゃ……死王配下で、アルフェラ先輩より足が太い人って誰が居るのにゃ?」
「………………この子、可愛い顔して正面から急所をぶっ刺してくるんだけど」
「キレがいいっすよね。最近のアタシの一押しの子っすよ。将来有望っす」
痛いところを突かれた。それも、とてつもなく痛いところを……アルフェラの主張云々を抜きにしたとして、事実としてアルフェラの足……特に太腿は他者より肉厚感はある。
尋ねられてアルフェラも必死に考えるのだが、明確に己より足が太いと言える相手が即座に出てこない。
「……え、えっと……リゲルとか?」
「そんだけ考えて出てくるのがでかいゴーレムなら、もう諦めるべきっす」
「まぁ、別に足が太くてなにか悪いわけじゃないにゃ」
「こ、こいつらぁ……」
ハッキリ言って状況は圧倒的に不利だった。アルフェラがどう主張しようと、相手は二人であり、人数的にも分が悪く押され気味であった。
悔しそうな表情を浮かべたアルフェラだったが、少しすると唐突に影を門の形にして、その門に向かって叫ぶように声をかけた。
「……助けて、正義の味方! 悪党ふたりに寄ってたかってイジメられてる!」
「なにっ!? 悪党だとぉ!!」
「あっ、コイツ。形勢不利と見て、黄金骸骨呼びやがったっす!?」
「カノープス先輩が来るにゃ? それはまた、騒がしくなりそうにゃ……」
アルフェラが門に向かって叫ぶと、即座に反応があり、ウルペクラとアルシャが呟くと共に勇ましく力強い声が聞こえてきた。
「轟く叫びを耳にして! 悪を誅し、正義をなす為!!」
影の門が勢いよく開き、中から眩しいほどに輝く存在が勢いよく飛び出してきた。
「光の騎士! 見参!!」
全身を黄金の騎士甲冑に身を包んだ2mほどはあろうかというスケルトンが、力強いポーズと共に着地するとあたりが眩い光に包まれる。
「さぁ、悪党ども! 成敗の時間だ!!」
「カノープスの濃さを見ると、個性云々に悩むアルシャの気持ちも分かる気がするっすね」
「あ、相変わらずギラギラのピカピカにゃ……あっ、ちょっ、カノープス先輩眩しいにゃ、光量もうちょっと抑えて欲しいにゃ」
~ちょっと解説~
【アルフェラの足】
太いか太くないかで言えば、太い。別に太っているとか言うわけではないが、なんか太いしムチムチしている。
ホットパンツとニーハイという服装も原因の一つだと思うのだが、本人はそれを止めるのは負けを認めるようなものと、断固として太腿を強調するスタイルを貫いている。
~今日の黄金騎士~
「はやくきて~はやくきて~」
「もうついたのか!?」
「はやい! きた! メイン盾(話題逸らし)きた! これで勝つる(話題が逸れる)!」
※口論は圧倒的不利と判断したアルフェラは、場をかき乱すために濃さに定評のある黄金騎士を召喚した。黄金騎士は事情はまったく知らないが、正義とか悪とか言っとけばとりあえずノッてくれる。




