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むつら☆ぼし  作者: 灯台


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同席をかけた戦い①



 死の大地にある死王アイシスの居城……より少し離れた場所にある空間隔離型結界の中では、時空間魔法によって拡張された広大な空間が広がっており、現在そこに死王配下のほぼ全員が集まっていた。

 そしてその空間の一角には実況席のような場所があり、拡声魔法具を持ったウルペクラの姿があった。


『あ~テスト、テスト……はい。それじゃあ、希望者は全員集まったようなので今回の趣旨を説明するっす。まぁ、皆分かって集まってるとは思うっすけど確認みたいなもんすね。近く開催される晶花宴……今回の貴賓は、カイト様、リリウッド様、クロムエイナ様っす。そして、アイシス様のテーブルは五人分の席があるわけで一席余るわけっす。そして、アイシス様はここに死王配下の誰かに座って欲しいと仰られました!』


 ウルペクラの言葉を聞いて、死王配下たちの真剣さが増す。死王配下は皆アイシスの人柄に惹かれて集まった者たちであり……全員がアイシスの事が大好きであり、アイシスと同じテーブルについてお茶を楽しめる晶花宴を楽しめる機会となれば、その権利を求めない理由など無い。


『まぁ、つまり、いつものやつっす……この一枠を決める戦いを始めるっすよ!』


 そもそも普段から、アイシスが貴賓として招待される祭りなどの同行者を決める際も当日に別の予定の無い者は全員同行を希望するため、その権利を様々な方法で奪い合うのは死王配下にとってはよくある行事のひとつだ。

 内容はその時々によって違うが、だいたいこういう場合にはウルペクラなど一部の死王配下が中心となって争奪戦を企画する。


『さて、さっそく内容を説明と行きたいところっすけど……今回は、実況と解説を呼んでるので、先にそっちを紹介するっすね。まぁ、よく見る顔っすけど……』


 ウルペクラがそう告げると、彼女の横に他の死王配下にとっても馴染みのあるふたりが現れた。


『どうも、皆さん! クレオメの精霊、クレアです!』


 薄紫で片側の髪を耳のあたりで、クレオメの花と共に編み込んだアシンメトリーなセミショートヘアの明るい雰囲気女性……界王配下に属する精霊、クレア。


『ご無沙汰してます……ってほどじゃないですね。先月も来ましたし、ガーベラの精霊、ベラで~す。ふたり合わせて~』


 金というよりは黄色に近い色のセミロングヘアで、頭にふたつガーベラの花を付けているクレアと同じく界王配下に属する精霊、ベラ。

 結構な頻度で死の大地に遊びに来るため、死王配下たちにとってはよく知っていると言えるふたりだった。


『クレアベラです!』

『ベラクレアです!』

『『……は?』』


 そして同時にコンビ名のようなものを名乗り、双方ともにキョトンと顔を見合わせる。


『いやいや、ベラクレアの方が語感がいいでしょ!』

『私の方が年上なんだから、ここは私の名前を前に持ってくるべきでは!?』

『年齢なんか正確に覚えてないし、界王配下になった時期もほぼ一緒じゃん!』

『いやいや、私が年上だって! ほら、ベラより私の方がお姉さん感あるでしょ?』

『ねぇよ、荒野みたいな胸してなに言ってるんだ』

『ああん? 胸のサイズは関係ないでしょ!?』


 コンビ名でどちらの名前を先に持ってくるかという、とてもくだらない理由で揉め始めたふたりを見てウルペクラはなんとも言えない表情を浮かべ……ふたりの頭にチョップを叩き込んだ。


『『ぎゃんっ!?』』

『……そういうのは、ここ来る前に相談しといてくれねぇっすか? ほら、時間も無限じゃねぇんすから、話進めるっすよ。というわけで、皆もよく知る界王配下の漫才コンビです』

『『漫才コンビ!?』』

『暇そうにチョロチョロしてたんで、連れてきました』

『扱いが、扱いが酷いです』

『これがアウェーの洗礼か……』


 クレアとベラは界王配下ではあるのだが、本当にしょっちゅう死の大地に遊びに来るし、気付けばしれっと夕食の席に座っていることも多いので、死王配下にとって本当によく見る顔であった。

 それ故の雑な扱いになんとも言えない表情を浮かべたが、これ以上その話題を引っ張る気は無いようで、少し間を空けてクレアが静かに口を開く。


『……まぁ、そんな訳でウルちゃんに実況と解説で連れてこられたわけですが……なぜ、私たちに参加資格がないのか、これが分からない』

『私たちもアイシス様と同じ席でお茶したい。リリウッド様もいるわけだし、私たちにも参加資格はあるのでは?』


 明らかに不満そうに告げるクレアにベラも深く頷いて同調する。


『貴女達は死王配下じゃないっすし……』

『いや、私もクレアも……《名誉死王配下》なので』

『……いきなり、死王配下の私たちが知らない概念をぶっこんでくるんじゃねぇっすよ。なんすか、名誉死王配下って……』


 ベラがごく当たり前のように宣言した名誉死王配下という単語にウルペクラが突っ込むと、クレアがグッと拳を握りながら力説を始めた。


『確かに私たちは界王配下! リリウッド様に忠誠は誓っていますし、不義理はいたしません! でもそれはそれとしてアイシス様も大好きなので、界王配下兼名誉死王配下です!』

『あと関係ないですが、今回実況と解説の報酬として夕食をご馳走になるつもりです。デザートある日だと嬉しいです』

『……マジでなにも関係ないこと言いやがるっすね。まぁ、こんな感じで喧しいコンビと一緒に進行していくっす』


 クレアとベラはかつて界王配下主催のハーモニックシンフォニーという行事の打ち上げの席でアイシスと話し、その優しい人柄を気に入って、それ以降はちょくちょくアイシスの元に遊びに来ている。

 元々界王配下であり、リリウッドの事も慕っているため鞍替えなどをする気は無いが、アイシスのことも慕っているので、死王配下たちが羨ましく……勝手に名誉死王配下を名乗っている形である。


 まぁ、実際のところ、本当にしょっちゅう遊びに来るので名誉死王配下と言われてもある程度納得できてしまう部分はあった。

 そして、サラッと夕食も食べていくことを宣言しているが、報酬とか関係なく遊びに来たらいつも食べて帰っている。


『さてそれでは気を取り直して……アイシス様との同席をかけた、《第一回、死王配下ゴルフ大会》の開催を宣言するっす!』

『わ~ぱちぱち』

『……ゴルフってなんだったっけ? 人族のスポーツだったかな?』


 こうして、賑やかな中で突発的に死王配下全員参加のゴルフ大会が開催されることとなった。



~ちょっとキャラ紹介~

【クレア】

クレオメの精霊であり、界王配下で子爵級高位魔族。

ハーモニックシンフォニーの打ち上げで話してから、すっかりアイシスのことを気に入ってしょっちゅう遊びに来て仲良くなり、その過程で他の死王配下たちとも仲良くなった。死王配下にとって完全に馴染みの顔で、居城内をウロウロしてても怪しまれたりはせずに、今回のように手伝いに駆り出されることも多い。


人と話すのが好きで、明るく元気な性格。仲の良いベラといつも一緒にいて、漫才のようなやり取りをしたりするので、漫才コンビとも呼ばれている。


なお、その胸は平坦である。

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― 新着の感想 ―
「ゴルフ」じゃなくて「GOLUFU」みたいな競技と見た。
たぶん皆さんの予想通り、まともでない競技
異世界ファンタジーのゴルフだとマリオゴルフみたいな超次元ゴルフかな?
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