閑話休題(中編)
「何を百面相しているの?ふふふ、そんなシアも、可愛いけどね」
心臓がバクバクと音を立て、手が震え、サンドウィッチを落とす。
「あっ」
ジークハルトは、咄嗟に魔法で受け止める。
優しくて、温かい魔法に見惚れる。
サンドウィッチを渡すともぐもぐと子リスのように食べる。
サンドウィッチを食すシアの隙をついて、ひょこっと背中に隠していた人形を見つける。
「あっ、えっと、それは」
「この子シアに似ているね、可愛い」
あたふたしているシアを横目に人形に蕩ける笑みを向け、シアの横に座ると、自身の膝に乗せる。
ほっぺたをつついたり、頭を撫でたり、と可愛がる。
ついつい恨めし気に見てしまうのに気付き、シアはそっと目線を外す。
ジークハルトは微笑むと、そっと人形を横に置く。
ひょいとシアを軽々しく持ち上げる。自身の膝にシアを乗せる。
シアは目を白黒させる。
至近距離にジークハルトの顔があり、緊張で目を回しそうになっていた。
現実逃避をしようと籠に手を伸ばしサンドウィッチを頬張ろうとするが、ジークハルトに取り上げられる。
「えっ」
「シア、口を開けて?」
「……っ!」
「ほら、アーンって」
「いや、あの、え」
逃げ場はなく、ツンツンとサンドウィッチで唇をつつかれる。
少し唇を開き、はむっと齧る。
心なしか蜂蜜の甘い味がする。
あまりにも恥ずかしくて耐えきれずサンドウィッチを取ろうとすると、人形を持たされる。
「サンドウィッチを頬張っているシア可愛いし、可愛いシアに似た人形を抱っこしているのも可愛いね」
瞳を覗き込まれながら言われ、飲み込もうとしたサンドウィッチを喉に詰まらせかける。
ジークハルトは背を擦るも、シアに真っ赤な顔をして睨まれる。
「これ、もしかしてシアが作ったの?」
少し間をおいて、こくんと頷く。
「美味しそうだね」
お世辞にも美味しそうには見えない不恰好なサンドウィッチ。
物欲しげな目で眺めるジークハルトに、おずおずと差し出す。
「え?いいのかい?ありがとう」
ジークハルトは輝く笑顔で受け取る。
『私にはアーンってしてくれないのかい?』
甘い甘い吐息が耳朶に触れる。
鼓動がうるさく鳴り響く。
思わずぎゅっと服の上から心臓部分を掴み、真っ赤な顔でそっと見上げた。




