初恋
最初の記憶は温かい笑顔だった。
同年代の子が集まる、王家主催のお茶会。
初めて訪れた時、怖くてずっと親の後ろに隠れていた。
他の子が交流する中、いつまで経っても離れな僕に親は困り果てていた。
突然鈴を転がしたような声がした。
「こんにちは」
そーっと様子を窺っていた僕は、人見知りをして後ろに隠れてしまう。
不敬だと謝らせる父を制止して、その人は優しく声をかけてくれた。
「こんにちは。ぼくは、じーくはるとともうします。きみとおはなししたいなぁ」
そーっと、父の足の後ろから顔をのぞかせると、腰を屈めて同じ目線で笑いかけてくれた。
恐る恐る、近付くと彼は手を差し出した。
僕も、指先だけちょんと握手をした。
ふと、彼を見るとはにかんでいた。
ジークハルト殿下とは三歳差で、小さい頃の三歳は大きくて。
たまにしか会えなかったけど、僕は兄のように慕っていた。
ジークハルト殿下は、僕を色んな所に連れていってくれた。
小さい時は、王子という身分をよく分かっておらず「あそこにいこう、ここにいこう」と沢山の約束をした。
それが叶わぬ願いと言うことは、大きくなって気付く。
気付いたころには、簡単に会える距離ではなかった————
「そっか、あの頃から好きだったんだなぁ」
眠い目を擦りながら大きく伸びをすると、横に置いていたぬいぐるみと人形を抱き締め、また深い眠りについた。




