真実
目を開けると、寮の自室のベッドだった。
飛び起き、呼吸を整える。
心臓は未だに早鐘を打っている。
あ、そうか……。
あれは、依代で僕自身は生きていたのか。
安堵のあまりベッドにへたり込み動けない。
危なかった。
あと、少しでも遅れていたら僕自身も消えてしまうところだった。
「やったんだ……」
当初の悪魔を祓う目的を果たしたが、気持ちは晴れない。
今朝までシアが居たところを悲しげにみる。
「シア……」
涙をグッと堪えると、覚束ない足を奮い立たせ窓辺へと立つ。
廊下が慌ただしいことに気付き、急いで荷物をまとめるとローブを羽織り窓を開け飛び降りる。
ふわりと、綺麗に着地をすると、バタンと部屋の扉が開く音がした。
ふと、上を見上げると「シア」と呼ぶジークハルトの声がした。
急いでフードを目深に被り約束の場所へと急ぐ。
「シアごめんね」
月夜に照らされて、零れ落ちた銀色の雫がきらりと光った。
「ルー!」
遠くからルシアンを呼ぶ声がする。
ふと顔を上げると、手を大きく振っている人がいる。
約束した場所で朝焼け色の髪をした親友が、笑顔で立っていた。
ルシアンが送った手紙を読んで、迎えにきていた。
憔悴しきってるルシアンの顔を見て、全てを悟る。
彼は両手を広げて出迎え、ルシアンをきつく抱きしめる。
「よくやった。よく生きて帰ってきたな」
ルシアンの目から一粒の涙が零れ落ちる。
彼は、ルシアンを片手でひょいと抱え、もう片方の手で荷物を小脇に抱えた。
近くに待機させていた馬車にルシアンを乗せ、自身も横に座る。
馬車はすぐに動き出し、学園がドンドン遠ざかる。
「俺との約束を守ってくれてありがとう」
ルシアンは、彼の胸の中で頷く。
「顔を見せてみろ」
泣き顔のまま顔をあげると、前髪を掻きあげられる。
「よく一人で耐えたな」
「ギルぅ……」
ぐすぐすと泣くルシアンをよしよしと撫でる。
「疲れただろう?隣国までまだまだ時間がかかるから寝てな」
ギルバートは微笑むとぽんぽんと背中を叩く。
あやすようなその仕草に、泣き疲れたのかうとうとと眠りへ誘われる。
魔導人形の馬は疲れることを知らず、隣国へと進む。




