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翌日、学園に行くとジークハルトを見かけた。
友人と共に談笑している横を通り抜けようとした時、ジークハルトに手首を掴まれる。
周囲も驚く中、無言でスタスタと歩く。
「ジークハルト殿下、離してください。どこに連れて行くんですか!」
叫ぶシアの声にも耳を貸さず、歩いていく。
頭一つ分小さいシアは、転びそうになりながら半ば引き摺られる形で連行される。
人目につかない場所に着き、壁際で立ち止まる。
「ねぇ」
『ギルって誰?』
聞いたこともない、低い声が聞こえた。
「誰?」
どんどん近付く、ジークハルト。
異様なまでの、目つきと地を這うような声。
彼は魔力をまとわせた拳で壁を叩き、パラパラと壁が崩れる。
シアはヒッと漏れ出る声を手で抑える。
「話せ」
「し、知らない」
聞いたこともない口調に怯える。
「とぼけるな」
「ぼぼぼ、僕、な、何も知りません」
力が抜けへたり込む。
頭上から鋭い眼光で睨んでいて、恐怖のあまり目を瞑る。
「そうか、そうなんだ。もういいよ」
ふと興味を失ったかのように呆れたような冷たい声で言うと、振り返ることなく去って行った。
シアは座り込んだまま、呆然と見送った。
ジークハルトがシアを見ることは一度もなかった。
部屋に戻ったシアは、自室の引き出しに身に覚えのない手紙が入っているの気付く。
「なにこれ」
震える手で手紙を手に取ると、裏面には「ギルバート」と書いてあった。
昼間の豹変したジークハルトを思い出す。
「こんなの僕知らない」
怖くなり、バンっと乱暴に引き出しに戻すとベッドに入りシーツにくるまる。
静かに悪魔の影は忍び寄っていた。




