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『シアは、魔力がない落ちこぼれ』


 学園内を噂が回る。



 ただでさえ、第二王子への態度の件でかなり注目されていた為、快く思っていなかった生徒の標的となった。



 シアは、魔力を魔力石という魔力を込めた石を使うことによって誤魔化していた。


 魔力を使う授業で魔力石を持っていくのを忘れて、使えなかったことが明るみに出たのだ。




 僕は元々魔力がない落ちこぼれだ。


 魔力持ちが通う学校……特に、魔力で階級分けがされているこの学園では、それだけで格好の餌食となる。



 王国内随一の学力を誇る、誇り高き魔法学院。



 

「魔力石がないと使えないなんてな」


 馬鹿にする笑い声と嘲りの声。


「お前の居場所はここにはないぞ」


「出て行けよ、帰れ」


「殿下もお前から興味を失ったよな、いい気味だ」



持ってきていた魔力石を取り上げられ捨てられたり、教科書を破かれたり。

シアは探し出し、そっと拾い上げる。


嫌がらせは日に日に増していった。


シアは無抵抗を貫いた。


 シアが何も抵抗しないことを良いことに、男子生徒がシアに暴力を振るう。


 シアの体は軽く、男子生徒の一振りに思いっきり突き飛ばされる。



 吹き飛んだシアはむくりと起き上がり、突き飛ばした生徒の元へ向かうと思い切り襟首を掴み突き飛ばす。


その容姿からは想像も出来ない力に、生徒たちは慄くも激高し殴りかかる。


シアは避けながら、容赦なく吹き飛ばす。



 気付いた時には、周りには倒れた生徒たちがいて、周囲には人が集まっていた。

 何が起こったか、分からず、呆然とする。


「ぼ、僕はやってない」


 しりすぼみになるも、シアの言葉はかき消される。


 シアは、困惑したまま数日部屋で謹慎となる。



 謹慎明け、今まで以上に腫れもの扱い。



「シアは狂ってる戦闘狂だ、あいつは化け物だ。嬉々として人を殴っていた」


噂はまことしやかに囁かれ、学園中を駆け回る。

 



『アイツには悪魔が憑いている』


誰かがぼそりと吐いた言葉は、シアの預かり知らぬところでじわじわと広がっていった。




 白い目に、ひそひそと囁く声。


 シアが近くを通ると、道を避け目線を合わせない。



 皆が、おぞましいものを見るような目でシアを見ていた。






僕は魔力がなくとも、ここにいなければならなかった。



ジークハルトを救うためには、世間を、自分を欺いてでも————




シアの目に光はなかった。


 




悪魔は密かに嗤う。



「やはり、醜い争いはとても滑稽で甘美だ」



『さぁ、もっともっと憎んで……その身を捧げよ』





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