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あほとアホと阿呆  作者: ホウ


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21/22

どっちが怖いか


オカン。男子高校生において絶対的な存在と言ってよいだろう。そう、オカンは全て知っている。


なにせ赤子の時から文字通り見られているのだ。隠せると思わないほうがいい。なんなら隠せていると思っているのは勘違いである。慈悲で知らないふりをしてくれているだけだ。


なんて優しいように見せかけた恐ろしさだろうか…。やはりこの世に救いはない。間違いない。


「純。ちょっと買い物手伝って。」


休日に悠々自適に自室でゴロゴロしていたらノックもせずに扉から魔王が現れる。なんて恐ろしい世界だろう。そしてあれに対抗しうるという勇者はなんて素晴らしいのだろう。


だが、悲しいかな。現実には勇者は居ないのである。幼き日は確かに居たはずの勇者も、もう俺の心の中にも存在しない。


そんなアホなことを考えながらもスマホを見るフリをする過去の勇者は普通に魔王に捕まった。


「痛い!痛い痛い!」

「聞こえてないフリしてんなよ。」

「分かった!分かったから耳引っ張んのやめい!」

「まったく…。」


いや、最近俺の耳攻撃受けすぎじゃない?なんか悪いことしたっけ?身に覚えがあるようでないような気もする。


「とりあえずノックしてよ。思春期男子の部屋だぞ。前もノックしたら無視するって宣言しといたろ。」

「…そういやそんなことも合った気がするような…ないような気もするから、私は悪くないってことで。」

「理不尽が過ぎる!!」


これが俺がこの人を魔王と呼ぶ一つの理由でもあるのだが。


「てか、俺要らんくね?」

「お米買いたいのよ。重いから手伝って。」

「いや、俺要らん(ガシッ)」


突然消える視界。そして感じるこめかみ辺りの圧力!

これは!アイアンクロー!?


「手伝って?」

「痛い痛い!この握力で絶対米袋2つもてますよぉねぇぇ?!」

「答えはYESかyesよ?」

「選択肢になってねぇぇえ!」


YESが選択されました。ピコンッ



そうしてやってきたオカンの運転でちょっと離れたスーパーにやってきた。


どうでもいいけどオカンってなんでこっちのスーパーはこれが安いとかって全部把握してんだろうね。


ボケ~っとしながらオカンの後ろを買い物カートを押しながらついて周る。


ガキの頃は「僕が押す!僕が押す!」とあんなにやりたがったこのカードも今では面倒くさいとしか思わなくなった。歳はとりたくないものだ。(高1)


今では車輪が一つ微妙にぎこちなく回るせいで真っ直ぐ進まないカートにイラつくぐらいには大人になってしまった。(高1)


「ちょっとお手洗い行ってくるわね。」

「うぇーい。」


いってらー。


そうして暇だな〜。早く帰りたいなぁ〜。

と憂鬱な気分でいると、何の神のいたずらなのか…。


「おや?純くんじゃないか。」


…最凶がきた。誰がこんないたずら望んだのよ神様。


いつも見る制服ではなく、白いシャツにジーパン。どこかのクールなOLさんですか?と聞きたくなるほど様になっている。目の怖い美少女がいた。


うん。ばっちり目が合った。呼ばれて振り向くんだもの。そりゃそうよ。


だが、無かったことにしよう。そうしよう。俺は今耳が遠いんだ。最近ダメージが多くて。


すっと、見なかったことにして振り返りオカンを追おうとすれば。


ガシッ     ニゲラレナイ!


肩を捕まれた。


「おや?純くんじゃないか。」

「ヒトチガイデス。」

「オヤ?純くんジャナイカ。」

「Yes. I am Jun.」


やっぱこえーよこの人!頭の中のOwenに「ヤメテオケ、シヌゾ。シタガエ。」とすごいカタコトな日本語で言われた気がする。


冷や汗と泳ぐ目を隠せずとも頑張って平静を装い、さも今気づきました感を出す。


「き、気づきませんでした。奇遇ですね。先輩。」

「そうかい?さも、見なかったことにしようとしていたように見えたけど、きっと気のせいだね。」


にこやかに笑う先輩はとても愛想の良い美少女に見えるだろう。だが、俺には副音声が聞こえてくる。


(罰として1回パシるから覚えとけよ?オ?)


やはり、買い物なんてついてくるんじゃなかった…。パシられてついていった先で未来のパシリが起こりそうになる…。やったね!商売繁盛だよ!(無給)


「…先輩の私服姿を初めて見ましたが、カッコイイですね!」

「ありがとう。」


ここで少しはおだてて印象を良くしようとしてみるもあまり効果はないようだ…。


「それで、どうしたんです?」

「いや、卵を2パック買いたいんだが、どうやらちょうどタイミングが良かったようでね。」


そう言って卵コーナーを指さすと納得できた。


【本日特売!お一人様1パックまで!】


ずいぶん手書き感のある見出しがよく見えた。


「なるほど?」


えらい早くパシリ注文入ったな…。


「いいですよ。」

「すまない。助かるよ。」


そう言ってレジまでついていって。カートを隅の方に置いて。お会計すればパシリ完了である。

今回は楽でよかったぁ~。


「助かったよ。では、また学校でね。」

「うぇーいっす。」


なんだ今日は良い日だな。何も起こらなかった。やったぜ。うぇい。


「ただいま。…何か良いことあった?」

「おかえり。何もねーよ。」


最恐が何事もなく去っただけである。それだけだが笑顔にでもなってたらしくオカンに聞かれた。


「あと、何か買うもんある?」

「卵。今日は特売だし、2パック買いたいのよね。」

「…あ。」

「あ?」


オワタ\(^o^)/

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