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アルカディアの子ども  作者: 梨香


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お金を貯めなきゃね!

 待ちに待った西の商隊がやってきた。まぁ、あちらは師匠の調合薬を買うのがメインの目的だけどね。


 ラリックさんは、調合薬を南の島の風土病の万能薬として売って利益を得ているみたい。


 この前、アルカディアに来た時は、オリビィエ師匠は、私達の指導で忙しくて、竜を退治したりできなかったから、調合薬が少なかったんだよね。


 今回は、何頭も竜を討伐したから、調合薬も五箱も用意してある。


 オリビィエ師匠は、これが町では金貨四枚にも五枚にも売られているのは知っているけど、せめて三枚までにするようにと言って一枚で売っている。


 金貨一枚でも、狩人の村にいた頃なら、絶対に無理だったし、人間にも無理な階層が多いと思う。


 その調合薬とは、別にオリビィエ師匠なりに風土病について聞き取り調査して、熱冷まし、ある程度病原菌が出てからの下痢止め、などの薬草を乾かしたのも何袋も用意している。


「言っておくけど、いきなり下痢止めを飲ましてはいけないよ。下痢を起こす原因が体内にあるんだから。それを排出した後で……ああ、やはり現地に行きたい!」


 私も、その気持ちは理解できるけど、やはり風土病は怖い。前世は、病弱で早死にしたから、今回は長生きしたいんだ。


 少なくとも、光の魔法を完全に習得するまでは、近寄りたくない。


「オリビィエ、訳の分からない風土病は怖いわ。いくら光の魔法が使えても、効かないかもしれないのよ。それに、今は育てている弟子がいるでしょう!」


 アリエル師匠は、オリビィエ師匠が心配みたい。弟子の私達を足枷にするのは、微妙な気分だけど……本当にやめて欲しい。


「また詳しい情報を手に入れておきますから」


 ラリックさんも、オリビィエ師匠に危険を犯して欲しくないみたい。


 私も、ラリックさんに大量の動物性の石鹸、そして少しハーブで香りつけした植物性の石鹸を売った。


 これは、手伝ってくれたヨシ、ヨナ、サリー、ジミーにもお金を分けるつもり。


 優しい? 違うよ! これは、労働に対しての賃金。ヨシには、他の子より多めにあげるのは、動物の脂を煮るのを一番多く手伝ってくれたから。


 それに、多分、ヨシは私達の中で一番先に人間の町に行く。

 能力判定で、知識のハズレ(酷いよね!)を賜ったとされた時に、教会の子になるしかないと思われていた。


 今は、少し違うみたい。勿論、他の森の人(エルフ)ほどは、スーパー運動神経は無いけど、人間の冒険者以上には動けるようになった。


 それに、知識スキルって凄いんだ! 薬師のスキルは無かったヨシだけど、薬草の本を暗記しちゃっている。


 それに、光の魔法を少しずつ習得して、前より身体も丈夫になった。普通の人間の二歳児って、こんなに働かないよ!


 その上で、ヨシなりに考えて、神父さんに教会で勉強したいと伝えたみたい。教会の子になるしかなくて、教会に行くのではなく、狩人の村の森の人(エルフ)に、光の魔法を教えたい。そして、人間の町に住む貧しい人たちを薬草や得た知識で助けたいと考えたのだ。


 まぁ、私も人間の町の貧しい人達を助けたいと思っているけど、教会は考えていなかった。それに、卒業試験がまだまだ無理だからね。


 オリビィエ師匠が、ヨシにも竜を討伐しないと卒業はできないと言わないかな? と少しだけ期待しちゃった。


 サリーがいるけど、ヨナは春までに光の魔法を習得できしだい、バンズ村に帰るって言うんだもの。


 ジミーは、竜の討伐を目標にしているから、長期滞在しそうだけど……力仕事、それに意外と手先が器用だから、助けにはなるけど、ヨシみたいに一緒にオリビィエ師匠について学ぶ立場じゃ無いからね。


 どちらかというと、アリエル師匠に「狩りに行こう!」とせっついている感じなんだ。サリー的には、迷惑半分、仲間が増えて嬉しさ半分じゃないかな?


 つまり、ヨシにはお金を貯めなきゃいけない理由が、他の子より大きいって事なんだ。


 教会で、食べさせてくれるし、住むところも用意してくれるだろうけど……親元から離れるんだよ! お金が無いと困る場面も多いと思う。


 だって、失礼だけど……神父さんって清貧を絵に描いたようような人だもの。

 多分、森の人(エルフ)だから、魔の森を巡回の管轄にされているのだろうけど、狩人の村は寄進も雀の涙だからね。


 アルカディアで、やっと年間の生活費が出ているんじゃないかな? 魔の森の近くの人間の町や村も貧しそうだもの。


 石鹸の売り上げ、金貨二枚ずつを私とヨシ。金貨一枚をサリー、ヨナ、ジミーに分けた。

 

「こんなにもらって良いの?」


 サリーが心配そうだ。


「うん、魔物の脂身を買うお金は、プールしてあるから大丈夫! それに、私は他にも売る物があるから」


 料理だけでも、かなり貯金している。勿論、手伝ってくれる仲間にも分けているけど、元手もかけているから、儲けの半分は貰っているからね。


「私も、火食い鳥(カセウェアリー)の卵の加工品を売らなきゃ!」


 サリーは、実家に帰る時に、布をいっぱい買ったから金欠だと頑張ってガラス細工をしていた。


 私は、ラリックさんから、西の国や南の島の変わった植物の種も買いたい。


 それと同時に、商隊の人達に美味しい食事も売りたいんだ。これは、皆に手伝ってもらう。

  

 だって、商隊の人たちだけでなく、アルカディアの森の人(エルフ)も、絶対に食べに来るからね。


 いつもは、木の家(アビエスビラ)の前で食事を販売するけど、ジミーやヨナやサリーに手伝って貰って、集会所で売る準備をする。


「今夜は、肉まん!」


 蒸し器を重ねたら、一気に蒸せるからね。


「ピザも美味しいのに!」


 サリーは、肉まんよりピザが好きみたい。


「ピザ窯は、流石に動かせないよ」


 皆で、加熱できる窯は運んだんだよ。ヨシは力仕事は免除して、細々とした物を運ぶのを手伝って貰った。


「じゃぁ、明日はハンバーガーね!」


 ヨナは、見た目はスレンダーな美少女だけど、肉食大好きだ。ハンバーガーにハマっている。


「フライドポテト……」


 ジミーは、フライドポテトが大好きみたい。籠いっぱい盛り上げても、一瞬でなくなる。


 西の商隊の人達にも、肉まん、ハンバーガー、フライドポテトは、大好評だった。

 勿論、アルカディアの森の人(エルフ)達にも! 


「次にハンバーガーを作る時は、チーズを買って、チーズバーガーにするわ!」


 前にもそう考えていたけど、商隊が来たのが急だったからね。


 種もあれこれ買ったけど、お金もかなり儲かった!

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