ケース4:日本国マゾ7500万人情報漏洩
これまでのケースは、あくまで超局所的な性癖情報漏洩ケースだった。
しかし今回は、国家の根幹を揺るがすレベルの超大規模な情報漏洩だ。
国は裏で密かに各個人の性趣向に関するデータを集めていた。
そこにはS傾向やM傾向も書かれており、
近年では明らかにM傾向が有意な増加を認めていた。
「コレは、何とかしなければいけない。
だから、何とかしないといけないと思っている。」
防衛大臣は、コレに非常に危惧を抱いた。
「このデータ、省庁内で議論の際に使用して。」
そう言って大臣は担当者に大容量記憶デバイスを渡した。
しかしそれを受け取った担当者は、ついウッカリしていた。
脚フェチとタイツフェチを患っていた担当者は、家に帰る度に
妻にタイツ足で足コキをして欲しいと頼み込んでいた。
しかし妻は他の男と浮気中であり、その依頼を断り続けていた。
失意の底にあった担当者は居酒屋で一人飲んだくれた。
そして帰りの電車内、PCの入ったカバンを置き忘れてしまった。
翌日になり気付いて鉄道会社に連絡したが、カバンは見つからない。
どうやら既に何者かによって持ち去られたようだ。
更に悪い事に、一応パスワードもかけてはいたものの、
彼のPCには公用のものなのにシールがベタベタと貼られていた。
それらは明らかにニーハイソックスのシールであった。
すると、暗証番号は自ずと誰でも解る。
そう【11281(良いニーハイ)】である。
PCを持ち去った何者かはこの単純過ぎるパスワードを解き、
遂には国家レベルの機密情報を得てしまったのだった。
そしてそれを週刊誌に売った上でインターネット掲示板に晒した。
更には自身のSNSやブログ・その他各種情報媒体等、
多岐に渡るまで徹底的に情報を漏洩させた。これはもちろん大罪である。
しかし、同時に国がやらかした国家レベルの大失態でもあった。
すぐにマスメディアが報道し、世論が動いた。
「我が国の半数以上の7500万人がマゾ!?冗談じゃない。
オレはこんな国出て行ってやる(そういうヤツほど出ていかない)」
「え、マゾってたくさんいるのね…気持ち悪い。
だけど可愛い男の子なら、1~2匹飼おうかしら?」
「7500万と言う数字はあくまで単なる叙述トリックだ。
って言うか、叙述トリックってどういう意味?」
このように、国民の反応は怒りに満ちたものだった。
やがてこの情報は他国にも伝わってしまう。
某C国
「え、マゾが国民の半数以上を占めているだって?
そんな国、攻めてしまえば一気に終わらせられるだろ。」
某A国
「さすがはHENTAIの国だな、HAHAHA!!
っと、笑ってもいられないよな。あくまで国交状の付き合いもあり、
更には友好国でもあり同盟も結んでいる。
マゾばかりの国では自衛が出来ずに結局は我が国を頼る。
もう、我が国の兵士達が血を流すのはたくさんだ。」
某I国
「我が国はIT先進国になったというのに、其国は性癖先進国とは。
呆れて驚きもう何も言う事はない。
我が国の一番流域面積が大きな観光スポットの川で
そのマゾ汁を垂れ流さないでくれよ。ウチの川はうん〇とかも
流れていたりするけど、マゾ汁だけはそれ以上に汚いからな。
簡便してくれよ~、生捨て。」
こうして、世界的に知れ渡ってしまった超高齢化社会ならぬ、
超高マゾ化社会国家。国民達は国に情報漏洩の賠償と謝罪を求めた。
しかし国からは『再発防止に努め、善処します』という言葉だけであった。
更にはハッカー達からもこの情報はあまり大した価値が無かった。
その為、7500万人という最高レベルの件数にも関わらず、
この漏洩情報の情報料は500円だった。
そして国は開き直り、後程公開する予定の情報であったものが
少し早期に出回ってしまっただけだとして、
そもそも情報漏洩自体の重大さの低減を計った。
これにより、全国民のマゾ・非マゾ情報は
もはや公開共有の情報となってしまった。
その為、国によりマゾであると診断された者は隠す術を失い、
人権侵害であるとして国を相手に訴訟を起こした。
しかし裁判所は国、つまり行政の味方をした。
「この診断は由緒あるイギリスの研究結果を元にしたものであり、
マゾ診断の信憑性は99.999%である」と見当違いな擁護を行った。
国のこの大胆とも思える方向性の公示により、
いよいよマゾ達は逃げ場が無くなってしまった。
そして、いつの間にか何故か現れた反マゾ派閥の過激派達により
マゾ仕分け及びマゾ狩りが行われる事になった。
生活の中に自然にマゾが紛れ込んでいては安心して暮らせない、
と言う滅茶苦茶な主張から、何とマゾ達の服装については性器を
露出したものでなければならないとの法案を通してしまったのだった。
もはや国、つまりは国家も国民に至るまでも混乱の中で正気を失っていた。
まるで世界恐慌に端を発する戦争を扇動する過激派思想団体が
国の主たる政党になってしまう過去の恥ずべき歴史に倣うように、
マゾ達の人権は簡単に剥奪され始めた。
これら全ての原因となったのが性癖の情報漏洩である。
更に国はマゾ達に対する締め付けを強めた。
性癖が洗いざらい白日の元に晒された上で、
更にそれを書いた紙を首からぶら下げる事を強要された。
若く可愛い女性マゾはすぐに被害に遭った。
血管フェチの札を下げれば、あらゆる男達から血管を見せつけられて
逆に血管が嫌いになってしまった。
一方で弱そうなマゾオス達へのからかいも
非常に人気のアクティビティとなった。
臭いフェチ、と掲げれば関係の無い男達までが屁の匂いを嗅がせて来た。
こうしたマゾ狩りと呼ばれる行為はまるでスポーツ感覚で楽しまれ、
最盛期には専門の雑誌やお得な情報サイトまで立ち上げられた。
「もう、生きていけないよ…マゾに人権は無いんだ…。
そりゃイジめて貰える事は嬉しいけれど…さすがに限度があるよ…。」
こうして自ら命を絶つマゾ達が社会問題となり、
逆に社会はマゾに優しくなって行く。
マゾオス・マゾメスの映画料金を半額にしたり、
性癖プレートに掲げた性癖の中でもどのようなシチュエーションが好みか
それをハッキリと言えればランチ代字半額など、マゾは優遇され始めた。
そうすると逆に非マゾ側からの反発もあるものだが、
「じゃあマゾになれば?」の一言で、彼らの反発は防がれてしまった。
やがて社会の中ではマゾと言う存在が当たり前のように共存していた。
相変わらず性器は丸出しの服装のままだが、だからと言って彼ら彼女らを
不当に本人の願う以上の辱めを行う事で自尊心を傷つけた場合には、
ロボトミー手術によりイジめた側もマゾにされてしまった。
社会は再び健全な方向へと舵を切ったのだった。
現代は非常に多くの企業や団体の個人情報や気密情報が漏洩している。
それは急速なAIの発展によるものが大きいが、裏には人間の影がある。
「マゾである」ただそれだけの性癖情報漏洩。それがもたらす様々な弊害。
しかし本来、性癖は個人が自由に持っても良いものだ。
それを不当に辱められる事など、本来あってはならない。
そうは言ってもイジめたくなってしまうのがマゾの魅力だ。
漏洩した情報はもはや世界レベルでの共有財産となり、マゾ認定された者は
海外に逃げてもマゾである事がバレている。しかし海外では、
マゾを気持ち良く出来た者が格好良いという文化が根付いている。
こうしたマゾ・ホスピタリティの違いから我が国はマゾ後進国と言われる。
今回の性癖情報漏洩事件によりそうした我が国の問題点が洗い出された。
情報漏洩は単なる管理の不行き届きに限らず、こうした問題点を洗い出し
新たな時代へと向かう為の推進力になる必要悪なのかも知れない。




