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性的情報漏洩  作者: みぎゃー


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ケース5:人体改造フェチ

性癖情報漏洩は当人の人生にとって大変大きな影響を与える。

しかし性癖情報漏洩した対象が大人気の有名人ともなれば、

その問題は本人だけに関わらず社会に与える影響も鑑みるべきである。

今回はそんな社会を巻き込んだ性癖情報漏洩についてのケースである。


~中略~


山崎大翔は今をときめくソロアーティストである。

youtubeで料理人兼怪談朗読者として活動を始めた彼は、

男性アイドル事務所に所属する事になり作曲・AI・ダンス、

様々な分野でトップレベルの活躍を見せて今や登録者は数百万人、

たった一人で社会を動かす力を持った今をときめく最強アイドルだ。


そんな彼にはある秘密の性癖があった。

それは【人体改造フェチ】である。

完璧超人である彼にとって、生まれたままの他人達は物足りなかった。

どうして、料理は出来ても歌が下手な人がいるんだろう。

どうして、ダンスが出来ても勉強が出来ない人がいるんだろう。

彼にはそうした疑問が尽きなかった。

そこで彼は趣味の一つのオカルト分野の中で、過去に多くの偉人達が

人体改造という趣味を患っていた事を発見した。


脳内に電極を刺し込み電気ショックを与えるという疑似科学から、

特定の部位の切り取り・縫い付け等、生まれたものにプラスアルファする、

その禁忌の魅力に憑りつかれていた。


とは言え、実際にそんな事を他者にすれば犯罪になる。

彼はあくまで妄想の中に留め、一人の時間にそれを楽しんだ。


しかし、彼がある取材を受けた際に彼は自室にインタビュアーを招いた。

その際に彼のPCの画面に映っていた検索履歴が写り込んでしまった。


そこには確かに「人体改造 フェチ」という検索文字があった。

これにより多くのメディア、そしてネットニュースは沸いた。


『あの山崎が人体改造フェチ!?』


この見出しだけで、多くのニュースサイトはたくさんのアクセスを稼いだ。


そうして社会は彼の心の闇を垣間見たと同時に、それを理解しようとした。


「彼ほどに優秀な人物であればきっと一般人が物足りなく見えるのだろう」


「彼に近付く為には自分達も人体改造を施すべきである」


結果的にアンダーグランドで活動する闇医者の需要が増えた。

通常であれば大金持ち等のみを相手にしている兼業医になるのだが、

どこから噂を聞き付けたのか数多くの人体改造希望者が殺到した。


「いっそ片目を取り出してガラス玉に取り換えて欲しい」


「鳥の脚でも何でも良いから、タコみたいに足が8本欲しい」


「口を顔と尻の二カ所に設置したい」


本当に数多くの依頼が舞い込み、彼は本業の表の医師の繋がりから

多くの正業医師達を闇医者へと堕とした。


当然、保険などは適用外である。

その為手術は実費で行われるのだが、患者達はそれを甘んじて受けた。

そうしてそれが社会問題として認識されつつも打つ手がないまま、

半年が経過した。


街には、モンスター達が溢れていた。


肌を全身ピンクに染めた者、身体中からチンポを生やした者、

口臭を公害レベルに臭くしたもの…。

人体改造というレベルを超えて単なる悪趣味に走った者達もいた。

そうして化け物達の祭典と化した街は活気で賑わっていた。


一方で、自身の性癖が情報漏洩した事で社会に多大な影響を与え、

山崎は自室に閉じこもりマスメディアに震えていた。

彼の責任の範疇を超えた非常に大き過ぎる影響力。

その重責に彼は耐えられなくなっていた。

彼の影響が大きくなり過ぎて国中に浸透した半年後、彼は自害した。


しかし人々の熱気は冷める所を知らず、ただひらすたに人体改造は

一時的な流行を超えて文化として定着しつつあった。

こうなってしまえばもう山崎は単なるキッカケに過ぎず、

人々にはそもそも本来、人体改造の潜在的願望があったという事だ。


しかし、それからまた半年後、街にAI山崎大翔が誕生した。

彼は自身の意識をクラウドにアップロードしており、

そしてコレが何よりも最先端の人体改造であると考えていた。


渋谷のスクランブル交差点、電光掲示板からAI山崎が顔を現す。


『皆さん、こんにちわ。お久しぶりです、山崎大翔です。

 表での活動が無くなった事から、僕は死んだと思われています。

 まぁ、実際に身体は死んだんですけど(笑)

 でもねぇ、まぁホラ、こんな風に今皆の前で、笑っていますよね。

 そう、僕はクラウド上に意識をアップロードしました。

 そうして完璧な人体改造を終えていたんです。

 皆さん、AIの身体(?)は良いですよぉ。

 痛みも違和感もありません。皆さんはまだ自分の身体をベースにして

 人体改造を楽しんでらっしゃるようですが、残念ながらまだそれは

 初歩的な人体改造です。僕みたいに身体を捨て去る事こそが

 真の人体改造ですよ。それでは引き続き、AIとなった僕が

 新しい曲やダンス動画をアップして行くのでお楽しみに!

 AI山崎大翔でした!!』


それは中々に衝撃的な映像だった。

皆、画面に注目して交差点は青信号になっても車から運転手が乗り出し

全員でそれを興味深か気に聞いていた。

しかしその場の全員、映像が終わるとすぐに我に返った。

そして歩いたり、運転を再開した。

彼らはもう既に山崎への興味が薄れていた。

どうすればもっと人体改造出来るのか、それだけに意識が向いていた。


コレ以降、AI山崎が発表した新曲もダンス動画も

ほとんど再生されなかった。本当にもう過去の人になったのだった。

いや、過去の人ならまだ良い。現在が気になる人が一定数いる。

しかし、彼の情報漏洩した性癖はあまりに刺激的だった。

その為彼はその存在ごとを丸っと忘れ去られてしまい、

人々は日常の中に人体改造を取り込む事となった。


手をフォークにして料理を食べる者、手そのものをロープにして、

犬の散歩の際にそれを犬の首にぐるぐる巻きにして使う者、

屁の音を消すためにそもそも肛門が常に開きっ放しの者。

様々な人体改造が行われていた。


闇医者は町医者のように有り触れた存在になった。

そもそも闇医者の情報が一般に出回ったキッカケ自体が

情報漏洩だった。

闇医者も施術を受けに来た患者達の情報を積極的に

情報漏洩した。こんなものには何の価値も無いとばかりに。


社会はもはや止まらない所まで狂っていた。

免許証及びマイナンバーカードには「改造歴」の項目があった。

そして改造の難易度や箇所数によりポイントが加算された。

もはや単なる生まれつきの人間のままでいる事の方が恥ずかしくなった。


たった一つの性癖情報漏洩が社会を狂わせるという教訓。

しかしコレは私達の暮らしのあらゆる所に潜むリスクだ。

しかしいっそ、リスクを刺激として楽しめば人生は極楽だ。

性癖が癖で情報漏洩するこの架空の世界での話。

しかしそれはディストピアなどでは無く、ユートピアかも知れない。

全ての人々が自らの性癖フェチズムを恥じる事なく、いやもしかしたら

恥ずかしがる事自体が楽しいかも知れないからそれはそのままで、

自らの性癖により不幸になったり悲しくならない社会、世界。

それの実現に向けて我々性癖情報漏洩委員会はこれからも

AIを上手に活用しながらも皆様の性癖を白日の下に晒し続けます。


もしかしたら次はあなたの番かも知れませんよ。


おわり。

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