球体関節人形
お待たせしました、第5話です。
今回は新米天使のルーシーのプロフィールを記載します。
名前:ルーシー
身体的特徴:髪型はウルフボブカット。
髪色は黒に白メッシュが入っている。
目は大きく、パッチリとした印象。
体つきは華奢で背が小さい。
背中に生えた翼は純白のドラゴンのような翼。
服装:白ベースにアクセントの青地、金色の装飾があしらわれている軍服のような服装。
好物:祈り、オルゴール、クリスタル、愛
苦手な物:虫、瘴気
趣味:スイーツ巡り
引き続き楽しんでいただければ幸いです!
「……どちら様ですか?」
人形はパチパチと瞬きをすると、ゆっくりと身を起こした。深く澄んだ、透き通るような青い瞳が、じっと花菜たちを見つめる。
精巧に作られた小さな唇から漏れたのは、どこか幼くも凛とした、澄んだ鈴のような声だった。
あまりにも真っ当で、かつこちらのセリフをそのまま奪うような人形からの問いかけに、居間にいる全員が思わず顔を見合わせた。
しかし、花菜はギチ、と拳を固めたまま、元ヤンとしての鋭いメンチを人形へと突き返した。
「あ? どっちかって言ったら、不法占拠してるお前がどこの馬の骨かって話だよ。ここは今日からアタシらの職場兼・家なんだよ。おい、言葉が通じるならさっさと名前を名乗れ」
「マリーと申します、それとここは私の家です」
人形は感情の起伏が全く見えない無機質な声で、当然のようにそう言い放った。そのあまりにも堂々とした主張に、ルーシーやユウアが「ええっ!?」と声を揃えて驚く。
「いや、ちょっと待ってください。この館、今日から私たちが使うってことで、閻魔様から正式に書類が出てるんですけど……」
ふかがタブレットの物件データを提示しようとするが、人形は青い瞳をパチリと瞬かせ、花菜をじっと見つめたままぴくりとも動かない。
「そう言われましても、ここは私の家なので勝手に居座られるのは……」
「じゃあ力づくでも出てってもらうぞ」
そう凄む花菜に、マリーはいきなり、異常なほど球体関節の肩をカタカタと小さく震わせ、花菜を上目遣いで見つめた。
「わ、私は……殺されるのですか?」
「は? いや違うけど」
一同は慌ててその不穏な言葉を否定した。
「そうですそうです! 違う、違います! 誰もマリーちゃんを殺そうだなんて思ってないですよ!」
危害を加えるつもりは毛頭ないと必死に弁解するルーシーに続き、ユウアも「私達だってあなたが居るなんて知らなかったんですぅ!」と涙目で激しく首を横に振る。
「おい、ふか。アタシ、そんな物騒なこと言ったか?」
「そこまでではないですけどー、力づくなんて言ってましたし」
ふかがキーボードを叩く手を止めることなく、ニヤニヤとからかうように言う。
「花菜さん、外見が凶悪すぎるんじゃない? ガラ悪いよ〜」
ヒガノが楽しそうにくすくすと笑い、アスベルマも「嬢ちゃん、イジメは良くねぇ」と苦笑いした。
「……チッ。人聞きが悪いったらありゃしない」
花菜はバツが悪そうに腕を組み、ふいっと視線を外した。
そんな居間の大混乱のなか、ふかが「やっぱり無いなぁ……」と不思議そうな声を上げた。
「閻魔様から貰った資料でも家の外見や内装だけで、問い合わせても過去の持ち主は出てきませんねぇ」
ふかがタブレットの画面を覗き込み、タレ目を限界まで丸くする。
「この洋館について……何か知ってることはありますか? マリーさん」
「それは……」
マリーが眉をひそめる。
「私は……この家で死にました。この家で死んで……気付けばこの体になっていて……それから、は、思い出せません……」
「……まぁあれだ、無理に思い出す必要はない」
それまで気だるげに壁に寄りかかっていたガミーが、マリーの心を落ち着かせるように、低く優しい声をかけた。数え切れないほどの生と死を見届けてきた死神だからこその、深い包容力が言葉の端々に滲み出ている。
「それと提案なんだが……もしお前が良いならシェアハウスしねぇか? 見た所1人だろ?」
「シェアハウス……ですか?」
マリーは透き通るような青い瞳をわずかに見開き、不思議そうに呟いた。その言葉に反応し、隣にいたふかが明るく説明を付け足す。
「一緒に暮らすってことです! 危害を加えなければ何をしても大丈夫ですから!」
「ふふ、それは……賑やかで楽しそうですね」
マリーの唇が、ほんの少しだけ綻んだ。どこか感情表現の薄かった陶器の顔に、初めて年相応の、少女らしい柔らかな微笑みが浮かび上がる。
(……この人たちは、動くお人形の私を見ても、拒絶しないんだ……)
「動く人形だとバレたら壊されるかもしれない」などと怯えていたマリーの冷たい胸の奥に、じんわりとした温かい安心感が広がっていく。
「あ! そうでした、自己紹介がまだでした! ええっとですね、私達は閻魔大王直属の……怪異対策? 部隊でして、あ、でもマリーさんを殺すとかしないので安心してください!」
ルーシーがわたわたと必死に自己紹介を済ませる。
「おい、そこ。まだ『殺す』とか不穏なワードを引きずってんじゃないよ。マリーがまた怯えるだろ」
花菜が呆れたようにため息を吐きながら、腕を組んで一歩前に出た。
花菜はソファの上のマリーを見つめ、少しだけトーンを落として不敵に笑ってみせた。
「アタシは鷹百奈花菜。よろしくね、マリー。人外だらけの物騒な大所帯だけど……それはそれで楽しそうじゃない?」
花菜の気取らない姉御肌な言葉を聞いて、マリーは嬉そうに微笑むのだった。
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